もう一度
次の日、俺は冒険者ギルドの建物の前に立っていた。
準備はできている。手ぶくろもしている。
自分に支援魔法を三つかけて、心の準備をした。
昨日は弓を持っていたが、今日は剣をにぎっている。
迷わず、中へと足を踏み入れた。
うん、何も変わっていない。カウンターへと向かう……そこにいたのは、昨日の受付嬢だった。
俺の姿を見るなり、なぜか彼女は見なかったふりをしてそっぽを向いた。
「どーも……」
「お、おはようございます……何かご用でしょうか?」
その顔には、ハッキリと不快感が浮かんでいる。
「冒険者として登録したいんですが」
「ええ……まずは、こちらの書類に書いてください」
「はい」
またしても、こうして書類を書く羽目になった。昨日は魔弓士だと名乗ったが、今日の俺は剣士だ!
すべて書き終えると、それを受付嬢に手渡した。
昨日までは気づかなかったけど、この受付嬢、かなり綺麗な人だ。
黒く艶やかなロングヘアがまっすぐに垂れていて……まあ、相変わらず俺の前では居心地悪そうにしているけれど。
「すべて問題ないわ。そ、登録料は240リラよ」
誇らしげにカウンターの上に金を置いた。
彼女はホッとしたように溜息をつく。なぜか、無性にイライラする。
「じゃあ、自己紹介するね。受付担当のナエだよ。これからよろしくね」
「あ、はい……! こちらこそ!」
「今、冒険者カード取ってくるね」
「ああ」
心臓が飛び出るかと思った!なるほど、これが可愛い女の子の力か……。
危険すぎる……!
気を紛らわそうと、周囲を見回す。
大体、受付嬢が依頼を割り当てるものだ。剣の扱いは初心者なんだから、ナエ、手加減してくれよ。
数分後、彼女が戻ってきた。
「はい、お待たせ。カードだよ」
名前が入ったカードだ……。
前にも持ってたけど、この国のやつはすごくかっこいいな……。
昨日の発言は取り消そう。
「コホン……ソエン、依頼を受けないか?」
「ああ! 土、泥、大量の血、狭い場所、洞窟、沼、動物、墓地、教会、長旅、不衛生な人間との会話、それか、大勢の人混みが入ってなければ何でもいい!」
ナエの顔がまっ白になってる。
「ええと……この依頼を受けてくれないか?」
「どれどれ」
依頼か……牛を殺してる魔物を退治する。
弓があれば超簡単なのに。
「これ、断れるのか?」
「うん、じゃあこれはどう? 貴族がパーティーの警備を頼んでるの。三日後よ」
「受けるよ。でも、今すぐできるやつは?」
「うーん……これ! 掃除する人を募集してるみたい……」
「それにする! どこに行けばいい!?」




