宿屋
15,000リラを受け取った後、最初に買ったのは1,000リラの剣だ。
ミッションで使ったことは一度もないけど、使い方くらいは分かる……と思う。
もう夜だし、ギルドに行くのは明日にしよう。
魔道具屋の女の子はすごく親切だった。名前はヤミだと言って、何か売りたいなら来てくれって。
今探してる宿を紹介してくれた……
ここがその宿屋に違いない。
中に入ると、まず目に入るのは、テーブルと椅子が並ぶ広い食堂だ。
静かに食事をしている人たちがいて……って、なんで店の中に牛がいるんだ?
魅惑的な雰囲気の女性が身を乗り出しているカウンターへ向かった。
「あの……」
「んん? あら、いらっしゃい、ダーリン。何かご用かしら?」
「ダ、ダーリン……!? あの……泊まる場所を探してるんですけど……空いてる部屋ってありますか?」
「ええ、一泊63リラで夕食付きよ……でも、もしそれ以上のものが欲しいなら……」
彼女は突然、胸元をさらに強調するように肌を見せてくる。
これって、いわゆる「夜のお相手」をしてくれる人なのか?
「ちょっと高くつくけど、絶対楽しませてあげるわよ……」
「へ、部屋だけで大丈夫です! よろしくお願いします!」
2泊分の料金を払い、彼女に言われるまま書類に記入した。
……どうやら、ここで何かあっても一切責任は負わないらしい。
「……で、部屋は綺麗なんですか?」
ちょっと照れくさそうに聞いてみると、彼女は怪訝そうな顔でこちらを見つめながらも、答えてくれた。
「ええ、綺麗よ。でも、ぴかぴかを期待しないでね」
それに納得するしかない。今の俺には、高望みできるような余裕なんてないんだから。
女性に促され、その後についていった。
宿屋の2階に上がると、そこには狭い廊下が続いていて、いくつもの部屋が並んでいる。そして……
ちょうどある部屋の前を通った時、変な音が聞こえ始めた。
まるで拍手でもしているかのような音と、女性の声……。
「壁がすごく薄いのよね。気にならないといいんだけど」
「えぇぇ……」
俺たちは立ち止まり、彼女はあるドアを指差した。
「ここよ」
部屋に入ると、まさに思っていた通りの光景が広がっていた。
ここで過去に何があったのか、考えるだけでも恐ろしいベッドがひとつ……それ以外には何もなかった。
「居心地が……よさそうだね」
「夕食は部屋まで運んでもらう? それとも下に降りて食べる?」
「運んでもらおう……」
そう言うと、女性はそのままドアを閉めた。
さてと……リュックはここに置いておいて、その間にこの剣で何ができるか試してみよう。
買う前にできる限り消毒しておいたからな!
……この部屋も消毒しようかと思ったけど、さすがにやめておいた方がよさそうだ。
剣を振ろうとしたその時、ドアが勢いよく開いた。
「きゃっ!」
そっちを見ると、木のトレイを持った若い女の子が入ってきた。
「ルームサービスです!」




