冒険者ギルド
「ここが……ギルド?」
汚い建物の前に立ち、呟いた。
今にも崩れ落ちそうだ。
通りがかりの老人に尋ねたら、ここがこの町で一つしかないギルドだと言われた。
こんなのがまだ稼働してるわけがない。
気になって近づき、ドアをじっと見つめる。
手で触りたくないな……誰が触ったか分からないし。
「どけ」
突然、誰かに背中を押された。今だ!
ドアを開けた男に続いて中に入った……くっさ! ここ、ゴミ捨て場かよ!
なんで全部こんなにボロボロなんだ?
足元に気をつけながら、受付嬢のところへ向かう。
受付くらいは、もう少しきれいだと思っていた……って、何だこれ!?
床に赤っぽい何かが、大きな水たまりになっている。
無理無理無理!
こんな場所、いられるわけがない!
気持ち悪さをこらえながら進み、かなり可愛い受付嬢のところまで来た。
「コホン……」
「……いらっしゃいませ。冒険者ギルドへようこそ! 本日はどのようなご用件でしょうか?」
「冒険者登録を……したいんだけど」
「かしこまりました! こちらの用紙にご記入をお願いします」
「ああ」
受付嬢から紙を受け取った。
これ、初めて冒険者登録した時のことを思い出すな……正直、あんまり思い出したくないけど。
どれどれ……年齢……クラスは魔法弓手……別に変なところはないよな。
冒険者歴は4年。
なんで身長まで知りたいんだ? 測ったことなんてないのに。
マナのランクはB……出身国はサレン……よし、全部埋めたかな。
空欄のままのところもあるけど、まあ大丈夫だろ。
受付嬢に用紙を返すと、彼女はしばらくそれをじっと見ている。
「んー……ソエン・アルデリア、これが名前かしら?」
「はい!」
「問題なさそうね……最後に、登録料の240リラになります」
「……え? 240?」
「大丈夫ですか?」
「……高すぎるだろ! 金がないわけじゃないけど、ここ崩れかけだぞ!? その金、一体どこに消えてんだよ!?」
引きつった笑顔で、彼女はなんとか場を収めようとする。
「お、落ち着いてください。何かご意見が……」
「やっぱりやめる! こんな汚い場所にいたくない!」
何も言わずに走り去った……って、ドアを開けなきゃ!
結局、開いてた窓から飛び出すことになった。
最悪だな!
まあ、金がないってバレずに、堂々と逃げるにはこれしかなかったけどな。




