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俺が生きる理由は、身の回りのものを全部きれいにして消毒することだけだ!  作者: ニシキ
第2章 今、俺は使用人だ。

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心配

お嬢様が、俺の名字が世界で一番強い国と同じだと気づいてから、20日がたった。

もちろん、ただの偶然だと、お嬢様を必死に説得した。


ただの偶然だ。

あれからずっと落ち着いている。

前は8リラだったリンゴが、今は20リラだ。さすがに高すぎやしないか?


最近、屋敷の食べ物が減っている。

リテンでも、すでに食べ物が足りなくなっている。


住民が混乱する日も、そう遠くない。

突然、お嬢様がまたため息をついて、机にガクッと頭を乗せた。


「これはまずいな……」


「今日も商人は来なかったのか?」


「うーん……それに、また作物がたくさん失われた……」


「最近、雨ばかりだな……」


「……食料もあと三十日分しか残っていないわ」


お嬢様が不安そうに爪を噛み始めた。

俺もお嬢様を助けたいが、こんな問題をどう解決すればいいのか思いつかない……。


「アルカディアからの商人は?」


「来てくれないわ……道が危なくて……」


「魔物がいるのか?」


「ううん、道が荒れていて、あのあたりには盗賊もいるみたいよ」


「それなら、兵士を何人か送ったらどうだ?」


「リテンには兵士が一人もいないのよ」


俺はサンタナに侵略されたほうがましだと思い始めている。

兵士が一人もいないなんて、どういうことだ……。

急に、お嬢様が立ち上がった。


「決めたわ、あの道の様子を見に行きましょう」


「すぐに馬車を用意する」


「いいえ」


「いえ?」


苦笑いを浮かべながら、彼女は言った。


「馬で行くわよ」


「……あぁ、ユレを呼んでくる」


急いでユレの部屋へ向かった。




◇




「ユレさん、ユレさんっ!」


必死に扉を叩いた。

扉が開き、ユレが眠そうな顔を出した。


「……死にたいのか?」


「まだ死なないさ! でも、大変なことになってるんだ!」


「何があった?」


「お嬢様が馬に乗るって言ってるんだ!」


「……」


「おい、扉を閉めるな!」


ユレが部屋から出てきて、俺はその格好に驚いた。とても、とてもきれいで、よく似合うネグリジェを着ていた。


「お嬢様は馬に乗れるさ」


「それに、馬は危ない! しかもアルカディアへ続く道を見に行く気だぞ!」


ユレは俺を一人残して部屋に戻った。

数秒後、使用人の制服に着替えて、また姿を現した。


「どうしてあそこに行きたがるんだ?」


「アルカディアの商人が、なぜあそこを通るのを怖がるのか確かめたいらしい」


「あの辺りには盗賊が出るからな……」


「そんなの関係ないだろ、ユレさん! お嬢様が馬に乗るなんてダメだ!」


「どうしてだ?」


「だって女の子だからな! 体もか弱いし、馬の揺れで怪我をするかもしれないだろ!」


困惑した様子で、ユレは俺の心配を軽くあしらった。


「何ともないさ」


「だが……!」


「落ち着け。行くぞ」


「馬車で行ったほうがいいって言ってくれ……」


「馬に乗って何が悪いんだ?」


馬に乗らないほうがいい理由はいくらでもある。

そして一番の理由は、子供の頃に聞いた古い話だ……。いや、俺が勝手にそう思っているだけかもしれないが。




◇




本当に俺まで行く必要があるのか?

ここに残って番をしたり、シアが屋敷を燃やさないように見張ったりするんじゃダメなのか……?


目の前には二頭の大きな馬がいて、それぞれに女の子が乗っている。

乗馬服を着たお嬢様が、厳しい表情で俺を見つめている。


「行くわよ」


「いや、行きたくない。屋敷を見張らないと……」


「質問しているんじゃないわ」


「だって、俺は馬に乗ったことがないんだ……すごく怖い」


お嬢様はため息をついて、動き出した。

もう一頭の馬に乗っているユレが、俺を見下ろしている。


「乗れ」


「お前と? この馬に二人でか?」


「そうだ」


「ええーっ……ユレが嫌だってわけじゃないが、お前と同じ馬に乗るなんて無理だ」


「どうしてだ?」


ユレが聞いてくるとは思わなかった。

怒って行ってしまうと思ったのに、そうじゃなかった。

気がつくと、指をいじっていた。


「そ、その……ふ、夫婦だけが一緒に馬に乗るんだ……」


思わず顔が赤くなってしまった……えっ?

すごい力でユレに服の襟をつかまれ、そのまま馬の上へ無理やり引き上げられた。


「行くぞ」


「待てっ!」


馬が走り出すと、俺はユレの腰にしがみついた。

これって誘拐になるんじゃないか……?

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