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俺が生きる理由は、身の回りのものを全部きれいにして消毒することだけだ!  作者: ニシキ
第1章 この世界をきれいにする俺の仕事が始まる

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魔法の契約





殺し屋(ころしや)におそわれた翌日(よくじつ)、俺はまたお嬢様の部屋で、自分がやらかした後のそうじをしている。

手袋とマスク、それに自分で作ったばかりのエプロンをつけている。

つまり、汚れと戦うためのよろいだ!

大きなブラシを手に取り、床をみがき始める。


「情けないわね」


「情けなくないよ。ただ、こいつの残りで汚れたくないだけだ……これ、こいつの目かな?」


一緒にいるのはユレだ。

いつもの冷たい目で、手伝う気もなく俺を見ている。


「大丈夫?」


「いや、大丈夫じゃないよ。はきそうだ……」


「人を殺した後でも、気分が悪くならないの?」


「やるしかなかったんだ。あいつかお嬢様か、どっちかだった。俺は使用人として、真剣にやってるんだ」


「じゃあ、ずっとここにいるつもり?」


「わからない……誰かの世話をしたいとは思うけど、それは……特別な人じゃないとだめなのかもしれない」


これが俺の生きる目的なんだと思う。

周りの人たちを清潔《せいけつ》に保つこと……。


「どこから来たの? それに、なんでここにいるの?」


「なんでそんなこと聞くの……?」


「答えて」


「北から来たんだ。船に乗って、シトコ大陸に行くつもりだった」


「何しに行くつもりだったの?」


「……パーティーを追い出された後、使用人の仕事を持ちかけられてさ。様子を見に行くつもりだったけど、ここに残ったんだ」


ええと……血が落ちないな……。ブラシにエンチャントをかけてみた。

これでよし……。


「ビリボート様がお前と話したいそうよ」


「様!? まさか、そうじがちゃんとできてないの!?」


「そういうわけじゃない」


「ふぅ……なるほど」


「ここが終わったら、旦那様(だんなさま)の執務室《しつむしつ》に行って」


「あの……手伝ってくれないの?」


もう行っちゃった……。

ビリボート様が俺に会いたいらしい。怖い人じゃなければいいけど……。




・




ここがその部屋のはずだ。


トントン


「どうぞ」


部屋の中から声がする。

緊張(きんちょう)しながらドアを開けて、中に入る。そこには、若くて服装のいい男がいる。

この人がお嬢様の父親か? あまりにも若すぎる。


「お、おはよございます……っ。あ、俺に会いたいって聞いたんです……」


「ああ、入って、座りなさい」


「あ、ありがとうございます……」


言われた通りに席に座った。


「ここ、初めてか?」


「はい!昨日、お嬢様の専属の使用人になった……ソエン・アルデリアです。よろしく」


「私はダレン・ビリボートだ。お前と話したい。それと、昨夜のことだが……」


昨日……昨日、お嬢様の部屋を汚した!


「し、すみません! やりすぎて、お嬢様の部屋をめちゃくちゃにしてしまった……」


「気にするな。昨日は娘を守ってくれて、よくやった。お礼を言いたかっただけだ」


安心させようと笑った。


「なるほど……。じゃあ、俺に何の用ですか?」


「お前の仕事についてだ。ダンから聞いたぞ。お前はまだ、正式に娘の使用人として働くかどうか決めていないそうだな」


「はい、迷っていて、これが自分のやりたいことなのか分かりませんでした」


「で、ここで正式に働くことに興味はあるのか?」


ここで正式に働く……この大きな屋敷を毎日掃除できる。

お嬢様や他のメイドたちの世話もできるし……。

悪くないな……しかも、メイドたちの料理はすごくうまい。


「引き受ける……。本当にいいんですか?」


「もちろんだ……。それに、お前は……あるスキルを持っているとも聞いたぞ」


「持っている」


「それじゃあ、そのスキルを私たちのために使ってくれないか?」


「ビリボート家のためだけにそれを使えるなら、誇らしく思う」


「ここに……」


机の上を一枚の紙が滑ってきた。

それはあるじと使用人がむすぶ魔法だ。これで、個人的な使用人はあるじを絶対にうらぎらない。


おたがいに、いつ相手を必要としているか分かる。

そして、使用人のマナの一部があるじへ流れる。あるじしか契約を破れない……。

これじゃ一生出られない牢屋だ。

どれいじゃないか!


「よく考えたら……やっぱり断る——」


契約から黒い煙が出て、急に俺の魔力をすい取っている……。

動こうとするが、動けない。

なんてバカだったんだ。



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