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異世界転生、裏から見れば  作者: 黒魔
7章 勇者パーティーを追い出された役立たず実況者がとんでもなく有能なんだが
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新人パーティー・呂里馬場の視点

 気が付くと、わらわは宿屋のベッドで寝ておった。様子を見に来た怜が声をかけてきた。


「あ、気づかれましたか。このたびはうちのメンバーが大変な失礼をしてしまい、申し訳ありません」


 怜は仲間を呼んで来おった。心と、カナエルと、もう一人見知らぬ茶髪の小娘じゃ。


「私たちは冒険者パーティーでして、私は魔法使いのレイ・オッカーといいます」


 こやつらはわらわと初対面という設定なのじゃな。


「わらわはロリバー。実況者じゃ。ついさっきまで『ブレイブアックス』におった」


「やはりあの名高い勇者パーティーから脱退なさったのですね。さぞやお強いのでしょうから、その実力の一端をうかがうべく先ほどこちらから攻撃を仕掛けさせていただきましたが、不意打ちのようになってしまい申し訳ありませんでした」


 台本じゃとわらわがカッコよく心をねじ伏せる展開じゃったのかのう。そのあと怜が手をたたきながら現れて「さすが勇者パーティーの一員」とでも言う展開じゃったのじゃろうか。まったく、わらわは戦わぬと言うておるのに、いきなりドロップキックなぞかましてきおって。


「はじょろろろーん! 武闘家のココロ・オサナーイだよー!」


 心は全然悪かったと思うておらぬようじゃのう。そしてなぜ巻き舌なのじゃ。


「私は癒しの天使カナエルといいますぅ」


 その気色(きしょく)悪い笑顔で癒しの天使を名乗るとは。そなたは治癒魔法など使えたかのう?


「私たちのパーティー『にゃんこそば同盟』はまだまだ実績不足でしてぇ、あなたのような実力ある冒険者に引っ張っていただきたいのですぅ」


「『にゃんこそば』とは何じゃ、『わんこそば』なら知っておるが」


「にゃんこそば同盟に加入してくれませんかぁ?」


「言うたであろう、わらわは実況者じゃ。そんなの冒険者パーティーに必要なかろう。パーティーには入らぬ」


 するとカナエルは笑顔をもっと気色悪くして近づけてきおった。


「まあそう言わずにぃ、にゃんこそば同盟に加入してくれませんかぁ?」


「入らぬと言うたら入らぬ」


 わらわが後ろを向くと、カナエルはわらわの前に回り込みおった。


「まあそう言わずにぃ、にゃんこそば同盟に加入してくれませんかぁ?」


「台本通りに話を進めるまで無限ループするつもりか!」


 これではらちがあかぬのじゃ。


「仕方ないのう、不本意じゃがそなたたちのパーティーに加入してやるのじゃ」


「ありがとうございますぅ。こんな申し出を(こころよ)く受け入れてくださるなんてぇ、心の広いお方ですぅ」


「今のわらわの返答のどこに快さがあったと言うのじゃ」


 もう一人のパーティーメンバーである茶髪の小娘が、おどおどしながら何か言いたそうにしておる。


「何じゃ?」


「あ、私は魔道具士のマリー・モーテルと言います。あの、実況者というのはどういったジョブなのでしょうか?」


「実況者というのはのう、皆が戦っておる様子を動画配信のために撮影するときに、皆が何をしておるのかをわかりやすく説明する役割じゃ」


 マリーは笑顔で聞いてくれておるが、少し眉間(みけん)にしわが寄っておる。


「なるほど。それで、その説明は何に役立つんですか?」


「もし戦闘動画に実況が無かったら、視聴者はどこに注目して何を考えながら見ればよいかわからぬのじゃ。わらわが視聴者と一緒の気持ちで戦闘を説明することで、視聴者は皆と一緒になって盛り上がることができるのじゃ」


 マリーは眉間にだいぶしわが寄った笑顔をしておる。


「そうだったんですね。それで、視聴者ではなく私たち冒険者にとって、実況者はどう役立つのでしょうか?」


「何を言うておる、視聴者の支持が無ければ冒険者の人気なぞ出るわけなかろう。わらわは最も重要な役割を果たしておるのじゃ。まあ、戦闘の現場におる必要は無いがのう」


 マリーの眉間には限界までしわが寄り、かろうじて苦笑いを保っておる。


「わあ、すごいですね。それで、戦闘に役立つスキルはお持ちですか?」


「わらわの鑑定スキルはなかなかのものじゃぞ。どれ、そなたを鑑定してみせよう」


 わらわはマリーのステータスウィンドウを開いてみた。


「ふむ、マリー・モーテル、本名は茂手(もて)まくり。おや、生前の名前とは違うのう」


 マリーはあわてて叫びおった。


「わー! それは言わなくていいです!」


 なんじゃ、隠し事があるのか。まあよい、まだまだヒヨッコの地味なステータスじゃ。


「パーティーに入ると決めたからには、そなたらを人気者にしてみせようぞ」


「うわぁ、心強いですぅ。元勇者パーティーのロリバーさんがいれば百人力(ひゃくにんりき)ですぅ」


「私たちのパーティーって、いつから動画配信の人気を目標にするようになったの?」


「今からだよー! 動画を見ているみんな、大人の魅力いっぱいのココロをよろしくねー!」


 真面目に冒険しようとしておるまくり、台本通りにしか言わぬカナエル、台本に無いツッコミを入れる怜、台本も冒険も無視して好き勝手する心。ドラマがどう転ぶかわからぬ面白いパーティーじゃわい。


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