【第5話】王都に到着
(ステータスオープン!)
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名前:ケイタ LV3 ★前回より+2
HP:70 ★前回より+30
MP:25 ★前回より+20
属性:水
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あれから森を抜けるまでに何度かモンスターとの戦闘があった。
2回目もびびって、踏ん切りがつくまでに少しだけ時間がかかったけど
3回目からは覚悟が決まって、投石を交えたりむしろ大胆に立ち回って見せた。
・・・疲れ果てたけど。
休憩しながら何事も経験だなと考えた。
ちなみに最初の戦闘以降、森の中で移動するときはオモチを抱っこをしない事になった。
転んだとき危ないし、腕も疲れた。抱っこは休憩中だけにしようと決まった。
◇◆◇◆◇◆
「あれが王都にゃ」
かなり離れた場所に、大きな壁が見える。
「王都は城塞都市ってやつか」
「そうなるにゃ」
「あ、あっちで誰かがモンスターと戦っているな」
左側の、川の向こう側で誰かが剣で動物型モンスターとやり合っている。
「冒険者だと思うにゃ」
「距離を取って話しかけずに行くよ?」
「それでいいにゃ。 むしろ話しかけるのは何かあった時ぐらいにしないといけないのにゃ」
「了解」
◇◆◇◆◇◆
王都が見えてから更に1時間掛けてやっと王都の門までやってきた。
そろそろ太陽がてっぺんに差し掛かり始めた。
「でかいな壁」
「王都を守る壁にゃ」
時間帯がよかったのか列は少ない。
このまま二人で並んでしまってもいいと、ここまでの道中で確認している。
15分もオモチと会話をしていたらあっという間だった。
「次の者前へ」
兵士に呼ばれて前に出る。
「こんにちは」
「身分証はあるか?」
「何もないです」
「ではこちらのゲートをくぐってくれ。先の受付で別の人間が続きをやるから」
「了解、どもです」
ゲートをくぐると受付があったので話しかける。
「こんにちは、証明書もっていないです」
「分かりました、ではこちらに必要事項を記入して下さい」
渡された紙に記入していく。
問いが多いが仕方がない。
名前はケイタ、37歳で、男。目的は冒険者登録、路銀を稼ぐため・・・と。
従魔は〇で、ケットシーと。
10分ほどですべての項目を書き終え、オモチから渡されたお金と共に受付に渡す。
「はい、内容は問題ありません。ようこそ、ピリカ王国の王都へ。」
「おお。ありがとうございます。」
事前にすべてオモチから聞いていたのですんなり王都の城下町へ入ることができた。
というかすごいな、ケットシーの学校。
いろんな分野に分かれるらしいけど、オモチが専攻したのは「転移者サポート科」というもので、俺みたいな転移者を保護することを目的とした勉強をするらしい。
なんでも、昔の転移者たちに助けられた一族が作ってくれた科らしい。
転移者は力の強い専用スキルを発現させることが多いらしく、誤った道へいかないよう誘導する意味もあるそうだ。
ネコに保護される人間って・・・と思いながらその話を聞いた。
もちろんこんなに一生懸命なオモチにそんな失礼な事は言わない。
「無事に入れたにゃあ」
二足歩行の人形モードのオモチが伸びをしながらそう言った。
右手をあげて、左手はくの字にして、のび~
あざとすぎる!
「そうだね、人が多いから、ここでは抱っこしようか?」
「ボクと同じくらいのコたちだって、自分の足で歩いているからここではいやにゃ。」
目の前を親につれられた小さな子供が通りすぎたのを見ながら聞いてみたら、そんな事を言った。
ここではってことは、人がいないところなら抱っこしてほしいんだなぁ。
かわいいなあ。
「恥ずかしいの?」
「恥ずかしいにゃ」
そう言って、ジト目でこちらを見てくる。
よしよし、と頭をなでてから予定していた冒険者ギルドからまず向かうことにした。
ちなみに人前でも、よしよしは許される感じか。
気持ちよさそうに撫でられているからいいんだよね?
◇◆◇◆◇◆
この王都は正方形の防壁に囲まれている。
それを横に半分に切って、上部が貴族や王族が住んでいる場所、
下部が平民や冒険者が住んでいる場所と大まかに分けられている。
ただし、厳密にいうと貴族・王族エリアは凸を逆さまにしたような形で少し
平民エリアにはみ出ている。
そのはみ出た部分は平民側の王城の玄関部分になる。
北の貴族エリア側にも南と同じような玄関が設けてあるそうだ。
まっすぐ中央方面へ歩いて、王城の壁を左側に見ながら、南門側へと向かうことになる。
冒険者ギルドは、南門から入ればまっすぐ歩いたところにあるため、何となくで街を突っ切る形で歩いてみた。
「城下町だけで、どんだけ広いんだよ」
思わず愚痴ってしまった。
というのも、西門から冒険者ギルドまでで、オモチに合わせて
少しゆっくり歩いたとはいえ1時間も掛かったからだ。
「ちょっと、疲れたのにゃ・・」
「休憩挟んだとはいえ、森からだもんな。足が痛いよ、限界が近い。お腹もやばいけど」
実はこの城下町に入って歩き始めて10分もしないうちから、二人してお腹が減ったぞコールをしながら歩いていた。
オモチは何となく楽しそうだったが、俺は本気でお腹が減っていて泣きそうだった。
近道の為に大通りから2本道をずらしたら、住宅街しかなかったのだ。
素直にメインストリートを歩いていたら屋台があったかもしれない。
「冒険者ギルドの周りには屋台が沢山あるから、何かつまんでいくのにゃ」
「またまたごちになります」
「お金は転移者支援金から出てるから、お礼は先輩転移者さんへいうといいのにゃ」
「なるほど。」
こんな異世界にもセーフティーネット。
地球からくる転移者はマメだな。
二人は冒険者ギルドの前の道にある屋台を遠めに物色し始める。
この世界の通貨について、さっきの城下町に入る門のところでも
軽くは聞いたのだが、通貨はまさかの「円」だった。
レートが同じかは分からない。
定番の「果物の値段で比較」を思いついたが、そもそも前の世界では自分で果物を買うことはなかったし、ブランドで値段が全然違ったのであまりアテにはできないことに気づいた。
貨幣の方だが、10円で言うと、一回り小さくて、薄っぺらい。
多分表だろう面に何かの建物の絵があり、裏に日本語で10円と書いてあった。
これは先輩方の仕業だろう。
想像がつかない名前の動物の串焼きを買って、ベンチに並んで座って食べる。
四足歩行の動物らしいが、それは動物全般そうだろと思った。
お店の人はむしろなんでオマエ知らないんだと、顔で語っていた。
「実物を見たら多分わかると思います」と、
適当なことを言っておいたら納得したのか解放された。
「まあアリだな~」
「これはおいしいほうにゃ」
「そうなんか」
「さすが王都の、冒険者ギルド周辺で屋台をやっているだけはあるのにゃ」
「なるほど、そういうことだな」
オモチは串を1本、俺は2本を食べてやっと落ち着いた。
串は屋台のオヤジに言われていたので返却した。
「ゴミはこちらで回収する」ではなく、「串は返却してくれ」だったので
洗って、再利用なのか?
「じゃあ、冒険者登録と、登録時にステータスを教えて貰うって事で行きますか」
「そうにゃ!楽しみだにゃ」
冒険者登録をする際に使う魔道具では、結構深いところまで鑑定されるらしく
今後の自分の立ち振る舞いの参考になるらしい。
今のところ、レベルとHPMP、属性が水ってことぐらいしかわかっていないからな。
時間的には、冒険者登録をしたら、教会に行って、
そのあと宿に入ってごはんを食べたらゆっくり疲れを取るって流れかな。
そう話しながらベンチからでも見えていた冒険者ギルドに向かって歩き出した。
誤字報告ありがとうございます。
反映させて頂きました!




