その3
シシカバの胸に去来する、絶望と怒り
「貴様ーーーーーーーーーー!!!!」
着地するドネルケバを睨め付ける
その肉体は、オグナの力を取り入れて
ふた回り程大きくなっている
ドネルケバが、手にした力を試す様に
フッと前足を払う、キラリと一閃!
地面に深い亀裂が走り、衝撃がシシカバを襲う
グルルと喉を鳴らす心の無い獣
間髪いれずに、難を逃れたシシカバに向かい
バガッと口を開く!
解き放たれた破壊の咆哮がシシカバを飲み込む
再び訪れた、静寂
まるで、先程まで何も無かったかの様に
ドネルケバはヒタヒタと足を踏み出す。
ー オグナさん あなたの力をお借りします ー
ドネルケバの後方から立ち昇る!巨大な闘気
光の中から現れる、明王の姿!!
怒髪天を突くかの如く、
逆立つライムグリーンの頭髪!
膨れ上がる筋肉!!盛り上がる力こぶ!!!
発達した四つ腕は それぞれが、竜の尾の様に太い!
巨木の首筋!!
そびえ立つ、広背筋!
この世の筋肉!
それを一点に集約した様な猛き姿!
沸騰した血液に!筋肉が喜び勇む!
まるで【益荒雄】!その姿!!
擬似・益荒男と言うべき身体変化は
シシカバの持つ種族的特徴に由来する
すぐさま迫り来るドネルケバの右前足の猛攻を
いとも容易くシシカバは受け止める
すると、ドドドドン!と打ち込まれる
幾百の乱打!!
ドネルケバの巨体が宙に浮きあがると
ぐるりと身体を回転させ突き刺さるシシカバの回し蹴り
吹っ飛ばされるドネルケバ!
そこに続けて無数の火の玉が飛んでいく!
「炎魔法:焔乱舞」
着弾時の閃光がまだ、光を放つ中
シシカバの拳が振り下ろされる
2つに別れた左腕を巨大な一本にまとめ上げ
炸裂するハンマーパンチ
バコン!!!!!
と強烈な打撃音とともに、地面にめり込むドネルケバの顔!
横たわりながら、体毛を針の様にしてシシカバへと伸ばすが、シシカバは再び4本になったそれぞれ腕を、刃状に変形させ、それらを全て斬り払う!
空中で深く呼吸を整えるシシカバに魔力が集中する
四つの拳それぞれに炎がともり
「炎魔法:豪炎大瀑布」
掛け声とともに放たれる火柱!
空間させえ焦げる様な強烈な熱気
真っ黒な消し炭状態で意気消沈のドネルケバ
その目の前に降り立つシシカバ
ドカン!と閃光!
首だけを起こし、魔力を放つドネルケバ
弱った体でも充分するぎる破壊力の魔力の光線
しかし、その光の中から歩み出る人影
「あなたに始めて抱き抱えてもらった時はこの姿でしたね」
歩み出したシシカバの姿は既に明王の様な人型ではなく
ライムグリーンの毛並みの美しい
獣の姿に変わっている
「お休み…」
シシカバの胸がぐぐぐと膨らむと
ドネルケバが、魔力砲を放つ様に開かれた口に
魔力の光が漏れる
ー 生き延びろよ ー
ふと、脳裏に微かな記憶が過ぎる
父さん…
思ったのも束の間
ドスドスドス!と体を貫くドネルケバの体毛!
「しまっ」
ギュンと奪い取られるシシカバの生命力
途端にミイラの様に細くなったシシカバの体
すでに力無い体からドネルケバの鋭い体毛が引き抜かれると
シシカバの体は、まるで紙切れが落ちる様に
音も無く地面に倒れ込んだ
さらに力を増した獣が1つ遠吠えをあげる
…
……
…………
ー ドクンッ! ー
…
ー ドクンッッ!ー
…あれ?
ー ドクンッッッ!ー
………オレ…寝てるのか…
ー ドクンッッッッ! ー
…胸が…
ー ドクンッッッッッ!ー
…熱い…
ードックン!ッッッツツ!!!!!ー




