VS究極生物 その1
「…ですから、再び通路を通る者があれば、シシカバ様だと思っておりました。」
話し終わると、空になった銀の湯呑みをテーブルに置くサルサ
「そう…だったんですね」
オグナの持つ湯呑みは、ずいぶん前から空だ
横に座るエイトは、話が始まったすぐあとから眠りこけている
「いけませんな、歳をとると、どうにも涙脆くなってしまいます。さぁ、オグナ殿も少し休憩なさって下さい」
立ち上がるサルサ
「そうさせていただきます。」と
眠るエイトを優しく抱えソファーへと運ぶオグナ
「サルサさん、1つよろしいでしょうか?」
「ええ…なんでございましょう」
「もし全てが終わって、この部屋の時間停止がとけたら、あなたは………」
「お考えの通り…止まった時間の波が押し寄せて…城と私も運命を共にするでしょう」
「シシカバには貴方が必要なのでは?」
柔和な老人はニコリと笑い
「シシカバ様に必要なのは、こんな老いぼれでは無く、同じ時を歩むオグナ様達でございますよ」
…………
……
…
それから数時間後。
「ここは……?」
辺りをきょろきょろと見渡すシシカバ
傍のソファーで眠るオグナと、それに体を預けて眠るエイト、気づけば自分は見知らぬベッドの上。
「お目覚めになりましたかな。」
柔和な老人が沸かしたお茶を運んで来てくれる。
体を起こそうとするシシカバに
「おお、あまり無理なられるな、さぁコレを…」
差し出された温かなお茶を受け取ると器から手のひらにゆっくりと熱が伝わってくる。
「…あなたは?」
「ご安心を、貴方様の敵ではございません。」
老人は優しく語りかける
「助けていただいたのですね、ありがとうございます」
「いえ、礼に及びません。」
まだ熱いお茶を口にすると
「はぁ美味い!生き返ります。」
と、シシカバがニコリと笑う
サルサの脳裏に、いつぞやの風景が浮かぶ
午後の柔らかい日光を浴びながら笑う男性の笑顔
ー “美味いなサルサ!生き返る!”ー
「その笑顔、お父上様によく似ておられる」
ハッとするシシカバは
「父を!父を知っているのですか?」
「はい!存じてございます。」
「もしや、あなたは?」
「王室世話周り役サルサ・ザール、お父上様のおじい様の代よりお仕えしておりました。」
サルサはスッと、床に膝をつき
シシカバの右の足を自らの肩に乗せる
なすがままのシシカバが不思議そうな顔をする
「我が牙を王の剣とし、我が爪を王の盾とする。
主命に背かず、敵に媚びず、鼓動の最期の一打まで
我が魂の全霊も持って、ここに永劫不変の忠誠を誓います。」
ー 「許す!」
自然と口から出た言葉。
聞いサルサにこみ上げる万感の思いは
とたんに瞳から大粒の涙になって溢れだす
「御心のままに!!!!!!」
と、言うと。うわぁーと泣き崩れてしまう
シシカバは、ただ…無言まま見つめた。
2人の気配に目が覚めた2人
「はぁーよく寝たー!よう!シッシーもう体は大丈夫か?」
「ええ!おかげさまで!…ご迷惑をおかけしました。」
「良いって」
「サルサさん、お話は出来ましたか?」
「はい、これで心残りはございません。」
老人はゆっくりと頭を下げてる
「さあ!行くとしますか!」
オグナの声に、ベッドから立ち上がるシシカバ
「行きましょう!奴を倒しに」
「待ってろよーオリハルコン!」
すこぶる元気なエイト
出口に向うオグナ達に
「この扉の向こうは城壁の中、かの者のテリトリーでございます。充分にお気をつけください。御武運を祈っております。」
と声を掛けるサルサ、少し間を置いてから
「シシカバ様!!!!お会いできて光栄でござました。」
サルサに微笑みを返し、3人は部屋を後にした。
(ご立派になられた……シシカバ様…必ずや…王を…ドネルケバ様をお救いください…)




