毛玉の王様
むかしむかし、ある所に
大きな森に中に建つ、鉄で出来た綺麗な綺麗な、お城がありました。
そのお城には、とっても怒りん坊の
王様が住んでいます。
王様は、すぐに怒ります
『ぷんすかぷんすか』怒ります。
今日も、
『ぷんすか』
明日も
『ぷんすか』
朝でも夜でも
『ぷんすかぷんすか』
王様は毎日毎日、怒っていました。
怒りん坊の王様はケンカが
大好きで、いろいろな国の
王様と、いつもケンカをしています。
とうとう、怒りん坊な王様は、
自分の弟と大きなケンカを始めてしまいました。
そんな、怒りん坊の王様に困った、森の女神様がある日、王様に言いました。
「今日から、怒ってはいけません。
一度でも怒ると、罰として、お城を取り上げますからね。」
森からお城に戻って来た、王様は、その日から、怒らなくなりました。
その代わりに、笑顔で笑うようになりました。
王様は、すぐに笑います
『にこにこ、にこにこ』笑います。
今日も、
『にこにこ』
明日も
『にこにこ』
朝でも夜でも
『にこにこ、にこにこ』
王様は毎日毎日、笑っていました。
王様が笑うと、お城のみんなも笑います。
『ワッハッハッハ』と笑います。
雨が降っても
『ワッハッハッハ』
風が吹いても
『ワッハッハッハ』
みんなで、毎日
『ワッハッハッハのワッハッハッハ』
いつも笑って幸せそうな王様達を見ていた、意地悪な弟は
王様が、羨ましくてしかたありません。
すると、意地悪な弟は、王様を怒らせようと、王様の大事な物に呪いの魔法をかけました。
最初は、王様の大好きな森からです。
森の木が、全部死んだ獣になりました。
しかし、王様は怒りません。
つぎは、産まれたばかりの王子様が獣にされてしまいます。
それでも王様は怒りません。
なかなか怒らない王様に
ついに、意地悪な弟は直接呪いをかけました。
みるみる王様の体に、ふさふさした毛が生えてきて、王様も獣になってしまいました。
毛玉だらけの王様は、
それでも『にこにこ』笑います。
しかし、誰も笑いません。
誰も笑ってくれないものだから
とうとう、毛玉の王様は女神様との約束を破って怒ってしまいます。
すると、女神様が現れて
王様からお城を取り上げてしまいました。
ひとにぼっちの毛玉の王様は
悲しくなって『ポロポロ、ポロポロ』泣きましまた、朝でも夜でも
『ポロポロ、ポロポロ』
王様は毎日毎日、泣きました。
怒る相手も、好きな家族もいないから。
「ポロポロ、ポロポロ」
泣きました。
今も毛玉の王様は、どこかでひとり泣いています
おしまい。
ー パタリ、と絵本が閉じられる。
コンコンとノックと共に
「コーラ様、お茶が、はいりましたよ」
「ありがとうございます。アルフレッドさん」
茶器を運んでくるアルフレッドは、シスターの持つ本に目をやる
「何を読まれていたのですか?」
「あぁこれですか?『毛玉の王様』です。今度、孤児院の子供達に読み聞かせる機会があるのです。」
「懐かしいですね。私も昔は寝る前は、母に読んでもらいました。」
「えぇ私もです。まぁ、読まなくても大体言えてしまうのですが…」
「わかります、それ!『ドワーフとロバ』とかも言えますよね!」
「そうですね、ふふふ」
アルフレッドが、ふと思い出す
「そう言えば、この本の内容は、本当にあった話なんだそうですよ」
「そうなのですか?」
「ええ、たしか………ゲルババ沼地とか…その辺りの話しだったと」
「そうなのですね、知りませんでした。」
「ゲルババと言えば、オグナさんが向かった方角ですね、もう里帰りは出来たのでしょうか?」
「どうでしょう、無事に着いていればいいのですが…」
「きっと大丈夫ですよ!あのお方なら!さぁ、お茶がさめてしまいますよ」
「いただきますアルフレッドさん」
アルフレッドと談笑するシスター・コーラは
一時の旅の仲間の事を思いながら温かい紅茶を口に運んだ。




