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その3

「一ッ!刀ッ!両ッ!断ッ!」


翼竜(ワイバーン)の体が強烈な力でもって、縦に裂ける


「一ッ!刀ッ!両ッ!断ッ!」


続け様にもう一体の翼竜の体も上下に分けられ生き絶える


「一ッ!刀ッ!両ッ!断ッ!」


その掛け声のもと振り抜かれる棍棒(クラブ)の一撃

そんな凶暴な一撃を繰り出し続けているのは、

なんとも可憐な女性、28号こと


「エイト!あんまり飛ばすなよ!」

「はーい♪ダーリン♪」


エイトである。


オグナ達は魔法金属【オリハルコン】を求めて

かつて竜人達が築いた国、廃都レジーナ・モービーを目指していた。



__________【廃都 : レジーナ・モービー】_________


広大なゲルババ沼地の中央に存在する

竜人族が築き上げた、かつての王国跡地

希少金属の輸出で栄えたこの国は、

とりわけ、加工の難しいオリハルコンの製品の産地として有名であった。しかしこの王国は100年前に突如崩壊してしまう。その時の様子は童話「毛玉の王様」として、今も語り継がれている。

_____________________________________________




「オラ!一ッ!刀ッ!両ッ!断ッ!」


楽しそうに吠えるエイト!

彼女がこの言葉にハマっている理由

それは、アン・ファング出発の少し前に遡る



〜アン・ファング内 『ホーテの武器屋』にて〜


「オリハルコン?」

声を揃えるオグナとエイト


「この世で、1番しなやかで、伸びがあり、硬い金属だ」

グッと身体を前のめりで話すのはドワーフのパンサだ


「お前さん達のゴーレムの心臓部分はとんでもねぇしろもんだ!だがな車体(ボディー)や骨組みが、てんでなっちゃいねぇ!!」


無言でドワーフの熱弁を聞くオグナ達


「もしも全速力でかっ飛ばしたら、あのゴーレムはバラッバラになっちまうだろうよ」


「バラバラ?」エイトは首をかしげる


「今のままじゃ、強度が足りないんだ。」

パンサの隣で聞いていたもう1人のドワーフ、ホーテが久ぶりに口を開いた


「こいつの言う通りだ、いくらゴーレムに全力で走る様に手綱(ハンドル)に魔力を送っても、ゴーレム自体がブレーキをかけちまう、ゴーレム馬韋駆(バイク)はただの乗り物じゃねぇ、テメェの体がトップスピードの力に耐えないのを知ってやがるんだ!!」


「へぇー」

っと関心しながら、かたわらのゴーレムを見るオグナ達


「にしても…めちゃくちゃなゴーレムだぜ!神獣を使ったゴーレムとしての心臓部分、魔力炉(マジックモーター)の魔法式は完璧……だが馬韋駆(バイク)としてコイツを見ると空気抵抗の事や車体(ボディー)のフォルム、強度がまったく考えられてねぇ素人のソレだ!コイツを製造したヤツの頭をいっぺん覗いてみたいねぇ………姉ちゃん達コイツをどこで手に入れたんだい?」



「これはなんて言うか……死んだオヤジにもらったて言うか…」


「おっと野暮な事聞いちまった…すまねぇなオヤジさんの形見に素人なんて言っちまった。」


「いいって!気にしてない」


「そうか悪りぃ……でだ!俺はコイツを本気で走らせてやりたい!俺の手でコイツを完璧に仕上げさせて欲しい。

コイツの全力に耐える素材は1つしかねぇ」


「だからオリハルコンか…」

オグナは何かを考えているのか、腕を組み遠く天井の辺りを見ている


「必要なのはわかったが…このサイズのゴーレムだろ?、こんな量のオリハルコンなんてどこで手に入るんだ?」


「場所なら1つあてがある!ゲルババの毒の沼地にある廃都 レジーナ・モービー だ!」


「あー、あそこか…」

オグナは前世の記憶からレジーナ・モービーが希少金属の

輸出で栄えていたの知っている


しかし毒の沼地は聞き覚えが無かった。

しかもレジーナ・モービーの前に『廃都』の二文字が付いている


(モービーは、今は無いのか……毒の沼地が関係あるだろうな。)


「なんだ兄ちゃん知ってんのか!?そうだ、あそこにさえ行けば、今も大量のオリハルコンが眠ってるはずだ」


「まかせな!行ってくる!」

エイトは嬉しそうに返事をする


「たがな、あの辺りのモンスターは強力だ。行けたとしても無事に帰って来れる保証はねぇ…それでも行くかい?」


「なめんなよ、オッサン!」

エイトは得意げに答える


「良い返事だ!ますます気に入った!腕っこきの冒険者達に声かけてやるよ」


「いや…いらねぇよ、ダーリンと2人で充分!充分!」


「おいおい!それは流石に無茶ってもんだぜ!依頼する俺にも責任があるからな」


「2人で大丈夫ですよ」

オグナが割って入る


「ヤバかったら戻って来ますから」

「でもよ…」


オグナの体がドンっ!と膨れる

上半身の服は破れ、みるみる巨大になる体

その頭は天井に付くほどだ


「…いやはや…こいつぁ〜は…」

「すげぇ〜や……」


オグナの見上げる2人のドワーフ達は口をあんぐりとさせている。


そんなドワーフ達にエイトは満面の笑みをたたえながら

「いい男だろ?」と一言


しゅるしゅるっと元に戻ったオグナに

「…あんた」と何か言いたげなパンサ


「俺はバーサーカーです、周りに人がいない方が戦いやすい」

とオグナは答える


「バーサーカーの戦い方は敵も味方も関係無ぇって言うしな!わかった!2人で行ってきな!!」


オグナのめちゃくちゃな筋肉量に強さを確信したパンサ


「俺…こんなゴツいバーサーカーは初めて見たぜ」


ホーテが驚くのも無理はない、ドワーフ族は小柄な種族だ、先程のオグナが山の様に見えていた。


「ありがとう!!」

ホーテの言葉になぜか、嬉しいそうにエイトが答える


「あぁ兄ちゃんなら、ドラゴンでも殴り殺せそうだぜ…」

苦笑い混じりのホーテ


「2人で行くのはわかったが、そのままじゃ行かせられねぇ」


パンサがニヤリと笑うと、

「おい!」と一言


それに答えて

「付いて来な二人とも」と、ホーテが席を立つ


2人のドワーフにオグナとエイトが案内されたのは、

作業場の反対側、建物の正面の武器屋だ


「兄貴が気に入った客だ、店にあるもん、どれでも持ってきな」

とホーテが店内の灯りをつけると、

目に飛び込んでくる数々の武器!!!!

しかし、よく見ると、その全てが…


「さぁ選んでくれ!この街1番の武器屋!鈍器専門店ホーテの自慢の品だ!」

と、自信たっぷりに店を紹介する店主のホーテ


店内には、

ハンマーやトンファー、三節棍にモーニングスター

古今東西の鈍器がズラーッとならんでいる。


「うわーー!最高!!」

とテンションの上がるエイト

目を輝かせながら、あっちに行ったり!こっちを見たり!

まるで、オモチャを選ぶ少年か、宝石店に入った少女の様な喜びぶりだ。


店内を見回したオグナがホーテに問いかける

「もしかして、全部鈍器ですか?」

若干呆れた様なオグナの声


「おぉよ!鈍器は男のロマン!だからな」

片方の眉をピクっと上げて、自慢げな表情で話すホーテに


(あの兄あって、この弟ありって感じだな)

とオグナが思っていると


「かわいい〜〜!」エイトの黄色い声が店内に響いた。

「ん?かわいい…?」とオグナがエイトを見ると


エイトが一本の棍棒クラブ)を手にしている

その棍棒は真っ黒で少し細めの作り

中央には白く異国の文字が書かれている


(おいおい、あれのドコが、かわいいんだ?)

とオグナは頭をひねる


「ねぇちゃん!わかってるねー」とホーテが嬉しそうな声を上げる。


白く書かれた、4つの異国文字をまじまじ見つめながら

「なぁ、コレなんて書いてるだー?」

と、エイトが質問する


「あぁそれは」

と、答えようとしたホーテより先に

「いっとうりょうだん、だな」

と答えるオグナ


「ふーん、一刀両断(いっとうりょうだん)…」

とさらに、マジマジと黒い棍棒を見つめるエイト


「なんだお前さん、異国文字が読めるのか?」

「えぇ」

「何だ南東の島国の出かい」

「カイナ島って端の端にある島ですけどね」

「そうかぁ、ずいぶんとまぁ遠くまで来たもんだ」

「えぇ…色々ありまして」

「ほぅ、なんだか苦労してるみたいだなぁ、兄ちゃんも」

「んー苦労と言うより、ドタバタって感じですね」

ここ最近の出来事に苦笑いするオグナ


「文字の意味はー?」

とエイトが質問を続ける


「1回振って真っ二つ!だよな?」とホーテがオグナをに投げかける


「ん〜まぁ、そんな所だ!」

(普通、棍棒には 使わないけど…)


と思いつつ、エイトに聞こえるように答えてあげるオグナ


「決めた!コレにするー!!!」


と、棍棒を抱えてエイトがホーテの所にやってくる


「ねぇちゃん!スジがいいねぇ!俺も気に入ったよアンタ!!そうだ!ついでにコレも持って行きな!」


とテーブルの上に4本のスパイクが飛び出たメリケンサックを2つ並べた


「ヤベーーー!超いいじゃん!」

とぴょんぴょん跳ねて喜ぶエイト


「お!いいね〜おねぇちゃん!ちょっと手に付けてみな?」

とエイトにメリケンサックを渡すホーテ


それを左手にはめると、エイトはもじもじ しながら

オグナに問いかける

「わー!ぴったりー!ねぇダーリン、この指輪似合うかなぁ?」


恥ずかしいそうに顔の横にメリケンサックを持ってくるエイト


「うん、超ぉ〜似合ってる、それ、指輪じゃねーけど」

と真顔のオグナが答える


「もう!!」と、より一層恥ずかしいそうに

体をくねらせるエイト

どうやら『指輪じゃ無い』の否定の部分は聞こえていないらしい


「この指輪も貰うよ」とエイトは嬉しいそうに

ホーテに伝える


「あいよ!!」答えたホーテも嬉しそうだ


…………

………


そんな訳で、エイトは棍棒(クラブ)を振り回しながら

ゲルババ沼地を廃都へ向け奥へ奥へと進んでいた。


無慈悲なまでの腕力で振り抜かれる棍棒は

襲い掛かる魔物達を両断

もとい

真っ二つに、ちぎり飛ばす


「一ッ!刀ッ!両ッ!断ッ!」

間違った四字熟語を叫びながら楽しげに魔物を狩るエイト

であった

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