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その2

カランカランと、扉の鈴が寂れた店内に響く


「いらっしゃい…今日は終わりだよ」

店内を掃除する1人のドワーフは、

扉の方には目もくれず無愛想に声を出す


しかし扉を開けた者は、その言葉を気にしていないのか、ドカドカと足音を鳴らして入って来くる


「姉ちゃん、すまねぇな!!!今、裏開けて来っから!

ちょっと表で待っててくれ!」


かなりの大きな声で店の外の誰かと話している。

大声に目を向ける店員のドワーフ


「なんだ…兄貴か」と、店員ドワーフは掃除を続ける


兄貴と呼ばれたドワーフは、そのまま店員ドワーフを横切り、店の奥に進んで行く

早足で歩きながら、ぼそっとつぶやく

「俺の客だ…工房使うぞ」

声は真剣そのものだ


声をかけられた店員ドワーフは

「はいはい…てか、兄貴もそろそろ働けよ……え?」


先程の兄の言葉が信じられなかったのか、

ポイっと掃除用具をほっぽり出して

すぐさま、自らも工房に向かう!


目に映ったのは、長年開かれる事のなかった

搬入用の大扉を開ける兄の嬉々とした姿と

工房に入ってくる立派な馬型のゴーレム


「あ、兄貴?これは…」


「いいから、コッチの灯りつけろ!!久ぶりのお客様だ!飲み物ぐれー用意しねぇーか!」


「あ、兄貴…」


「ちんたらすんな!早くしろ!!!」


怒鳴る兄ドワーフとは対照的に、

「あっ!ごめんごめん!!すぐに支度するよっ!!」

と満面の笑み答える弟ドワーフ



〜それから、10分程〜


「いや〜すまねぇ!挨拶が遅れちまった!

俺は、この店の主人でドワーフのパンサってんだ!!

よろくな!で、こっちのハゲてんのが!」


「ハゲは余計だろ!!俺が弟のホーテ!この店の表で武器屋をやってる。正確に言うと、この建物は俺の店だ!」


「だーてっろ!!お客様の前で恥かかせんな!そうゆう小せぇ事ばっか気にするから、ハゲんだよ!」


ごつん!と拳骨が飛ぶ

2人とも、とにかく声がデカい!


「で〜!こっちの姉ちゃんと兄ちゃんが……すまねぇ!すまねぇ!俺とした事があんたらの名前もまだ聞いてなかったな」


ようやく会話の番が回ってきた2人の客


「いえ、お気にならさず、俺はシドウ村から来たオグナと言います」


オグナは頭を下げる


「で…コッチが…………あっ!」

オグナが一瞬固まると


「ん?どうした…姉ちゃんがどうかしたのか?」


(やべっ!名前考えてなかった…んーどうしよ?さすがに28号は、まずいよなぁ…)



28号はキラキラした瞳を輝かせ、今か今かと

名前を呼ばれるのをまっている!


「彼女の名前は、えぇ…とぉ…」

考えていたのも、束の間!

「エイトかい!くぅ〜コイツはますます気に入った!」

ドン!っと一発!机を叩くパンサ!

パンサの大声に目を丸くするオグナ


「エイト?」と聞き返す28号に


上機嫌でパンサが続ける


「あのエイトだよ!エイト!皇帝エイト!しらねぇか?」


「さぁ」と答えるオグナと28号


「本名メエット・ビスコンティ!8度の王座(チャンピン)に輝いた伝説のゴーレムライダーよ!このエイトの強いのなんの!ついたアダ名が皇帝エイト!エイトの連勝記録まだ誰にも破られてねぇー!」


パンサは興奮しながら続ける


「忘れもしねぇ37年の第6回大会だ!

その年は優勝候補ばかりが揃った大会だった!

大注目は2連覇のかかった、緑の稲妻ジャック・ジャックと第1回大会の優勝者!ブラウン・カーネルの一騎打ちだ!

皆が優勝は2人のどちらかだと話していた!だかなそんな予想をひっくり返して優勝を持って行ったのは、大会初参加の無名選手!エイト・ビスコンティ!!!他の誰もが追いつけねえぐらい、ぶっちぎりの1位だった!

ゴールへ向かって来る、たった一騎の純白の馬韋駆(バイク)!太陽に照らされた車体(ボディー)が宝石みてぇにキラキラ輝いてよ!これがめちゃくちゃカッコいいのなんの!でだ!その馬韋駆(バイク)がスゲェ速さで、俺の目の前を走り抜けたんだ!もう見てる観客連中と来たら!スゲェどんちゃん騒ぎよ!とんでもねえ魔力炉(マジックモーター)の音が搔き消えちまうぐれぇの大歓声!俺はあんなデカい歓声なんて、後にも先にも経験がねぇ!エイトの登場でレースシーンは一変しちまった!次の年から、どいつもコイツもエイトのゴーレムを真似してな!モンスターや幻獣の心臓からつくられた魔力炉をつんだゴーレムばかりになった!」


パンサの熱弁に28号も興味津々だ!


「良いねぇ!エイト!この名前気に入った!!」


28号の発言に一瞬だけ『ん?』となる、ドワーフ達


「なぁそのエイトの馬韋駆(バイク)は何で造られたんだ?」

こちらも興奮気味の28号


「おう良く聞いてくれた!ボディーと魔力炉に使われたのは幻獣ペガサス!これが地面を飛ぶように走り抜けるんだ!車体に付いた翼のマークは、ペガサスじゃねぇ奴も真似したもんだ!!!!」



テンションの高いパンサと、エイトこと28号を尻目に

オグナが聞き返す


「皇帝エイトが凄いってコトはわかったが、俺達になんの用があるんだ?」


「そうだったな!単刀直入に言えば、あんたらのゴーレムを俺に整備させて欲しいんだ!」


「整備?」

オグナの問いに、真剣な表情に変わったパンサが続ける


「俺の夢をあんたらに託したい!」

パンサの目は情熱に燃えている


「俺がゴーレム馬韋駆(バイク)の整備しになったのはエイトのペガサスを超えるゴーレムを造るためだ!」


「本当はレーサーになりたかったんだけどな」


「一言 余計だバカ野郎!」

再びパンサの拳骨がホーテに飛ぶ


「たしかに俺はレーサーになりたかった…が、いかんせん才能っちゅうのかな…レーサーには向いてなかった!でもなエイトを超えるって夢はレーサーだけじゃねぇ!整備や設計士でも叶える事は可能だ!俺は昔っから1つの計画があった!神獣スレイプニルを使ってゴーレムを作れないかってな!

だがコイツの製造は不可能だった…強力な魔力を馬力へと変換する魔法式が俺には思いつかなかった。

まぁそもそもスレイプニル自体が少な過ぎて心臓や体を手に入れる事もあの頃の俺には到底無理だったけどな。

だがなスレイプニルのゴーレムさえあれば、絶対にエイトを超える事が出来る!」


うん!うん!と前のめりの28号


「そんな時にあんたらがやって来たって訳だ!俺はぁ…俺はぁ…興奮したねぇ!6本足の車体(ボディー)!雷みてぇな魔力炉(マジックモーター)の音!間違いねえ!俺が望んだ馬韋駆(バイク)が目の前に現れた!」


急にゴチン!とテーブルに頭を打ち付けるパンサ


「頼む!俺にあんたらのゴーレムを整備させてくれ!

絶対ぇ後悔はさせねぇ!だから頼む!」


「いいよ!!!!!!おっさんに預ける!!」

テーブルに片足を乗り出し答える28号


「本当か!!!!!!!!!!」

顔を上げたパンサは、目を輝かせるている


「おいおいおいおい!」

オグナの意見はそっちのけで話が進む


「今よりも、もっと速く出来るのかい?」


「あたぼうよ!!」

ピンっと鼻っ面を弾くパンサ!


「でもな!材料が足りねぇ!」

テーブルから乗り出して前のめりで話すパンサ


「材料?」と首をかしげる28号


「おぉよ!必要なのは、魔法金属【オリハルコン】だ!」


この会話の次の日、

ノリノリの28号を先頭にオグナはオリハルコンの調査に出向く事になった。

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