閉話 編入生は規格外(2)
随分とお待たせしてしまって申し訳ありません。
もう少し書き溜めましたら、更新ペースを速くする積もりです。
観閲有難うございます。宜しければ、感想、ブックマーク等よろしくお願いします。
side とある男子生徒
俺が衝撃に備えている間にも、学園長の髪は赤い魔力に染まり、魔法発動の気配がする。
本当に駄目かと諦めた瞬間だった。
ふわりと風が頬を撫でる。ホールの窓は朝会の最中に開くことがないというのに。
驚いて、学園長をよく見つめると、本当に小さく、内容がわからないが、学園長とレアンという編入生を囲むように風属性の防御魔法がくみ上げられていた。
誰か高いクラスの生徒が魔法をかけてくれたのだろうか?
最初はそう思ったが、僕と同じ焦ったような顔をして魔力を放出させていたのはもう一人のたしかラヴィウスと言った銀髪の編入生だった。
彼の髪が染まるほどの魔力量は見ればわかるが、完全に魔力を体に広げている学園長の魔法を、魔力を体に広げずに対処するとは、彼はかなりの魔法の使い手なんだろう。
彼が学園長の魔法を押さえてくれるとわかると余裕が出てきて、剣を抜いている編入生が何をする気なのか気になってくる。
編入生は好戦的な笑みを浮かべながら、学園長に向かって剣を構えている。
学園長が腕を前に突き出すと炎が生まれ、赤く輝く蛇を形づくった。
え、避けないの?編入生!
風属性の防御魔法の中で編入生へ炎蛇が向かっていく。
だが、編入生は一向に魔法を避けない。
魔法を消すには同程度の反対属性魔法をぶつけるか、その魔法を構成している魔方陣を修復不可能な位に破損させなければいけないのに、編入生は魔法を放つ気配もない。
その間にも炎蛇は編入生に近づいていき、もうスレスレだ。
つい、目を瞑ろうとしてしまった時だった。
編入生が剣を華麗に振り下ろし、炎蛇の体を真っ二つにする。
炎蛇はボワンという音を立てて綺麗さっぱり、まるで最初から存在していなかったかのように消えた。
普通では考えられない事だ。
一体、何が起こったというのだろうか?
編入生は剣を仕舞うと、得意げな顔で話し始めた。
「驚いたか、俺、実は魔法を切ったんだ。
魔法の中にはな起動するときに使う小さな魔方陣が有るんだ。
魔法の本体はその魔方陣、だからその魔方陣を修復出来ない程に、壊す。
今やったように真っ二つとかな。
そうすると、案外簡単に魔法は切れるんだ」
いや、知っていたけど、まさかこんな神業が出来る奴が居るなんて…………。
今年は編入生もレベルが高いらしい。
朝会の会場は大騒ぎだった。
目の前で、神業と言ってもいい技が披露されたのだ。
誰だって、興奮して、騒ぎ立ててしまうだろう。中には、興奮しすぎて声も発せない奴も居るけど。
しばらくして、やっと会場が静かになると、今度は銀髪の編入生の挨拶が始まった。
銀髪の編入生には同情してしまう。きっと、どんな魔法を披露したって、紅い髪の編入生の神業には負けてしまうだろうから。
それでも彼は堂々と挨拶をして、ふと、Sクラスの方向へ視線を向ける。
そして、彼の雰囲気には似合わない、不敵なそしてどこかゾワリとするような笑みを浮かべると銀髪を完全に魔力に染めて、魔力を練り始めた。
会場に、さっきまで流れていた彼を侮るような雰囲気が消える。
いや、彼があの笑みで黙らせたのだ。
静な緊張の中で彼が魔力を練り上げる。
彼が腕を前へ突き出すと、現れた水が蛇と槍の形を取り凍っていく。完全に魔法が発動した。
彼は魔法が発動したというのに、魔力を送るのをやめなかった。
魔力を注ぎ込むことで、魔方陣が大きくなっていく。
こうやって魔方陣を大きくする方法は座学で教えられていた。だが、扱う魔力が大きくなるためとてもコントロールが難しくなっている筈だ。
彼が魔力を注いでいくうちに、二つの魔法は発動した時の逆再生のように溶けていく。
彼は水の形になった、魔法を近づけの魔方陣を重ねる。
重なった二つの魔方陣が淡く光る。遠目で有るため、よく見えないが、魔方陣の形が変わっていく。
魔方陣の変換が終わり、彼が魔力を注ぐのをやめると水になった二つの魔法は一つに凍りつき、竜を形作った。
これは複数の魔法を組み合わせて、他の魔法にする方法だ。
普通に魔法を発動する以上の集中力を求められ、少しでも失敗すれば狂った魔方陣により魔法が暴走する。
僕も座学で教えられていただけで、本当にこんな事が出来る人はみたことがなかった。
壇上で、銀髪の編入生は満足げな笑みをうかべる。
やっぱり、この世代はバケモノだ。
補足: ラヴの無詠唱が話題にあがっていないのは、壇上からの距離が離れているため、聞こえないからです。
学園長の詠唱がないのは、風属性の防御魔法によって、空気が遮られているためです。なので、レアンにはきちんと聞こえています。
観閲ありがとうございました。




