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霊媒師募集  作者: たまこ
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第二十八章 霊媒師 三年後ー8

めっちゃテンパるらんさんは一気にジュースを飲み干した、……が、それだけじゃ足りないようで、氷の溶けたお冷さえも一気に飲んでしまったの。


こんなん怪しさ100(パー)だ。

あばばばすぎて、”ボク、隠し事をしてまーす!” と言ってるようなもんじゃない。


キーマンさんはそんならんさんを見て、


「キャッスリーンはベリベリ(めっちゃ) サースティ(喉が渇いてる)のか。今日は特に乾燥してるからな。オッケー! 俺が今、ニュードリンクをオーダーしてやるからア リトル ウエイト(少し待ってろ)だ」


と、メニュータブレットを手に取った。

その顔はすこぶる真面目、どれが良いかと画面をポチポチし始めた。

僕はその間にもう1回、……そう、メールの事を聞いてみたんだ。


「一通目のメールには ”僕がらんさんを助けた” って書いてあったけど、その後のメールには人違いだったってあったよね、」


「え、えっと、そ、そう! あ、あとから、人違いって思い出したというか(ゴニョゴニョ)」


「ふぅん……そっか、思い出したのかぁ(横向いてジトー)」


「う、うん(目線逸らしー)」


「なるほどねぇ、」


「お、お、岡村さん、も、もしかして怒ってる……?(チラチラ)」


「え!? お、怒ってなんかいないよ! なんで怒るの?」


「え、え、えっと、い、いや、その、だって、(シューン……)」


イ、イカン、らんさんがシュンとしちゃった!

本当に怒ってなんかいないのに、僕の言い方がまずかったのか。

誤解をさせてしまったかもしれない。

これは……ちゃんと順序だてて話した方が良いな。


「あ、あのね、僕ぜんぜん怒ってないよ。ただ、あの二通のメールに違和感と言うか……そういうのを感じてさ。あの時僕は事務所にいたんだけど、社長の動きも変だったんだ。らんさんからこんなメール来たって話したすぐ後、社長は自分のスマホを持ったまま、しばらくいなくなっちゃったの。その間にらんさんから二通目のメールが来たんだ。そこにはらんさんを助けた人は僕に似た別人だったってコトと、それから……らんさんには話してないはずなのに、僕が今、カレンダー通りのシフトになってるコトが書いてあって……タイミング的に、社長がコッソリらんさんに電話をかけて僕の事を話したのかなぁって。誤解しないでほしいのが、その事に腹を立ててる訳じゃないんだ。きっとなにか……僕の為にそう言わざるを得なかったんだろうなって思ってる。でもゴメン。その理由が気になっちゃって、それで聞いちゃったんだ」


こう、一気に喋ったその後…………


…………シン、


僕もらんさんも黙ってしまって、なんとも言えない空気になったんだ。


あ……せっかくのお買い物なのに、僕のせいで楽しい気分じゃなくなっちゃったらどうしよう……失敗した、聞くにしても今じゃなかったんだ。

夜、家に帰ってから電話をすれば良かったよ。


大後悔で心の中は大反省。

なにか言わなきゃ、この空気をなんとかしなきゃと焦っていた時。

和服姿の店員さんがトレイを持ってやって来た。


で、


「お待たせいたしました。こちら ”麵つゆソーダ” でございます」


慣れた手つきでグラスを3個、僕とらんさんとキーマンさんの前に置いたんだ。


「「 麺……つゆソーダ……!? 」」←僕とらんさん同時に石化


え、ちょ、待って!

コレ、ホントに僕らのオーダーなの?

てか麺つゆに炭酸って、今そーゆーの流行ってるの!?

てかてか店員さんが ”お好みでそうぞ” ってミルクとガムシロップ置いてったけど、コレ入れるもんなの!? 


「ワーオ! ドミニク! チェリーボーイ! これが今ネットで噂のヌードルスープソーダ(麵つゆソーダ)らしい! まさかココでオーダー出来るなんてミラクルだ! さっきメニューで麵つゆソーダ(コレ)を見つけて、思わずハイになっちまった! さぁ、ツーボーイ! アンノウン(未知)なドリンクでチアーズ(乾杯)しよう!」


ヒャッハーーーーー!


グラスを持って乾杯のスタンバイ。

キーマンさんはハイテンションで、僕らにもグラスを持つように言ったんだ。


「キ、キーちゃん! 飲み物頼んでくれたのはありがたいけど、なんで麵つゆソーダなの!? 冒険しすぎだよぉ!」


「そうだよ! パッと見これコーラっぽいけど……(スンスンスン)香りはカツオダシじゃーん!」


僕とらんさん、店員さんに聞こえないよう小さな声で文句を言うと、キーマンさんはニヤリと笑って言ったんだ。


「ジェーン、ナイスガイならアドベンチャー(冒険)エニタイムウェルカム(いつでも歓迎)だろ? ノープロブレム! チェリーボーイはノーズが良いんだな! メニューに ”カツオダシ使用” って書いてあった、ビンゴォ!」


ビンゴじゃないしぃ!

わあっ!

キーマンさんたらめっちゃ笑顔で僕にミルクを、らんさんにはガムシロップを勧めてきたよ!

ヤメテェ!

せめてストレートで飲ませてよぉぉ!


なんて。

世界で一番エアーを読まないキーマンさんにかき回されて、さっきまでの変な空気が一掃したんだ。

麺つゆソーダは飲んでみたら(もちろんストレートで)意外と美味しく、美味しいからこそ、なんだかすごく笑っちゃう。


散々笑って一息ついて。

目尻の涙を指で拭ったらんさんが、突然こう言い出したんだ。


「岡村さん、……あのね、ごめんね。やっぱりボク、黙ってるとか出来ないや。社長も……”どうせらんは長いコト嘘はつけねぇだろうけど” って言ってたし、ちょっと早いけど、本当の事を話すよ。先週の現場で僕を助けてくれた人、……あれは確かに岡村さんだった、」


え……それって……らんさん、もっと詳しく教えてくれる?


らんさんは麺つゆソーダをグィっと飲んで、それから……C県の現場で、僕に助けて(・・・・・)もらった時の事(・・・・・・・)から話してくれたんだ。



「C県の現場は人形供養の依頼で、そんなにハードじゃなさそうだったし、ボクがソロで入ったの。依頼内容としては、依頼者所有の古びたタヌキの縫いぐるみがね、夜な夜な……」


夜な夜な……?(ゴクリ……)

もしかして……依頼者を襲ったりとか、ポ現で食器を割っちゃったりとか、そういう感じのヤバめの霊障だったりしたの……? 

…………と、予想したのに、らんさんの続く言葉はすこぶる平和なものだった。


「……歌を歌って、陽気に踊りまくるんだ」


なぬ!?

タヌキの縫いぐるみが?

歌って踊るの?

……って、ん? それだけ?

人を襲ったりは……? 

あ、そう、しないんだ。

ふぅん……(頭の中で想像してみた)…………やだぁ! 

それってめっちゃ可愛くない!?

生者に害を成さないし、ただ歌って踊るだけでしょう?

ビジュアルはタヌキだし、和みそうだし、癒されそうだし!

そんなんだったら祓わなくても良いじゃーん!


「あはは……はは……ボクもね、最初はそう思ったんだ。でも詳しく話を聞いてみると、そうも言ってられないの。タヌキちゃん、夜中の2時から明け方5時までノンストップで歌って踊るの。しかも、お遊戯みたいなカワイイ感じじゃなくってね、ボクも実際に視聞きして驚いたんだ。なんて言うか……生でミュージカルを見ている感じ。声量も歌唱力もズバ抜けてたし、あれだけ歌って、同時に激しく踊るんだもの。うるさいなんてモンじゃない。ハッキリ言って騒音レベルで、依頼者さん……まったく眠れなくなっちゃったんだ。目の下のクマすごかったし」


な、なるほど……そういう事ね。

歌も踊りもガチなんだ。

依頼者が睡眠不足になる程か……あー、確かにそれは祓いたくもなるわ。


「依頼者さんを慢性的な寝不足に追い込んだ犯霊はんにん。それは……タヌキちゃんを依り代に憑依をしてた二尾のキツネちゃん。霊力ちからの強い動物霊だったの」


えぇ!?

タヌキの中に(縫いぐるみだけど)キツネの霊? しかも二尾?

な、なんか取っ散らかってる。

情報量が多いんだけど。


「キツネちゃんは歌と踊りに自信があって、是非とも誰かに聞いてほしいと思っていたの。そんな中、ある日突然尻尾が増えて霊力ちからも増して、偶然視つけた縫いぐるみに憑依して、歌と踊りをやっと披露する事が出来て嬉しかったんだって。だから ”絶対この家から出て行かない!” って暴れちゃって……それで、仕方がないからボクの式神、社長とジャッキーさんを召喚して捕まえようとしたんだけど、その前にボクのコントローラーを奪われちゃったんだ。アレがなければ召喚出来ない。どうしようってアタフタしてたら、どこからともなく岡村さんが現れて、印を結んで大きな網を構築してさ、あっと言う間にキツネちゃんを捕まえちゃったの!」


やっぱりおかしいよな……その頃僕は、東京の事務所にいたんだ。

みんなの書いた報告書に夢中になってた……それなのに……


「ねぇ、らんさん。その……助けてくれた人というのは確かに僕だったの?」


疑う訳じゃないけれど、でもさ、その人は(・・・・)僕じゃない。


「間違いないと思う。顔も背格好も岡村さんだったもん。あの時の岡村さんは……捕まえたキツネちゃんと、取り返したコントローラーをボクに渡してくれて、ありがとうって言ったらニコッと笑ってくれたんだ。あ……でも、笑うだけで喋らなかったな……声は聞いていないかも」


記憶を辿るらんさんは、控えめながらも自信を持ってそう言った、けど……


「ん……でも、その日の僕は事務所にいたんだ。社長もユリちゃんも大福もそれを知ってる。だって朝から一緒にいたんだもん。……ねぇ、らんさんが見た僕はどんな格好をしてた?」


「紺色のスーツだった。それと、白いワイシャツに青地に白の水玉のネクタイ。足元は革靴で、でも平気でいっぱい走ってた」


らんさんの言うそれは、事務所で僕が着ていたスーツとおんなじだ。

なんだか頭が混乱してきた、まったく意味が分からない。


「うぅん……謎過ぎる……あ、そうだ。社長はなんて言ってた? らんさんと電話で話したんでしょう?」


「うん……話した。岡村さんにメールをした後に社長から電話が来て、こう言われたの」



____(らん)、詳しい事は今度ちゃんと話すから、エイミーには ”人違いだった” と、訂正メールを送ってくれ。ダイジョウブ、悪いコトにはしねぇから。とは言ってもらんの性格だ。エイミーから色々と突っ込まれたら、ウソをつき通す事は出来ねぇだろう。顔と態度に出ちまうだろうし。まぁ、そん時は仕方がねぇが、とりあえず2~3日は黙っててくれ。その間に色々調べてみるからよ。



社長めぇ……トイレに行くとか言っときながら、裏でコッソリ、らんさんとそんな話をしてたんだ。

てかさ、社長の口ぶりに含みをバンバン感じるよ。

僕の知らない僕についてのなにかを知ってる、そんな感じがすごいする。















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