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霊媒師募集  作者: たまこ
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霊媒師おまけ……バッドアップル-6

アタシの方がオロオロしかけたその時だった。

セコンドのコンちゃんが、


『おはぎ!』


と叫ぶと、長い霊体からだを波打たせ、尻尾の先で大地をビタンと打ったんだ。

その瞬間、なにかが飛んだ。

キラッと光る小さなモノで、あれは……ウロコか?

オレンジ色の楕円の1枚、それがぴゅーっと宙を舞い、ぱかーっと開けたおはぎの口にホールインニャン!



んで、


パクッ! 

モグモグ……ゴクン!


く、食ったーーー!


んでんで、


ゴゴゴゴゴ……!


不穏な音がし始めて、……ん? し始めて……んんーーー!?

なんだこりゃーーーー!!


おはぎの霊体からだが上に向かってグングン伸びて、あっという間にセンタソーと頭が並んだ!

なんだよなんだよ!

スッゲェ大技持ってんじゃん!


センタソーは ”ひぃっ!” とビビった声を上げ、負けず嫌いかつま先立ちになったんだ。

この段階でおはぎとヤツはほぼほぼ同じ長さになった。

レフリーの茶々丸はダダダとリーによじ登り、手先をガン視で判定中。


『はにゃ! これははげしい戦いだにゃ……! どっちも長さが変わらにゃい…………にゃ? はにゃ?』


ん?

どした?

茶々丸がにゅうっと首を前に出し、両者の手先をジッと視る。

アタシも近づき一緒に視てると……


『へにゃ……へにゃ……! おはぎは……まけないにゃー!』


おはぎの ”負けない宣言” が出たのと同時。


ニョキ!


バンザイのあげた指先。

そこから爪をニョキッとシャキッと出したんだ。


茶々丸はまん丸黒目でさらに視て、視て、視て…………


『…………はにゃ、爪のぶんだけ長くなったにゃ……これは…………しょうしゃ! おはぎっ!!』



わーーーーーーー!!


広場は歓声に包まれた。

ケモノ達はタシタシドスドス大地を鳴らし、中には歌い出す仔も出始めた(陸カメとウサギのコンビ)。

スゲェ熱気だ……この感じ、生きてた頃の試合の空気によく似てる。

リングでアタシが勝つたんび、客席は野太い声と黄色い声に包まれたんだ。

なるほどね、“ヘビごっこ” を甘く視てたわ。

コイツは負けらんねぇ……野郎共!

次はマジだ!

本気出していくからなっ!




2回戦目は白髪のアフロ、薙刀使いのウッディー VS 陸カメ&ウサギのペア。

カメの名前は ”りっ君” で、ウサギの名前は ”ウサちゃん” だ(そのままだな)。


カメは動きは遅いけど、リー曰く、甲羅の長さは90センチの大型で、体重も80キロはあるらしい。

確かにデケェが気のイイヤツで、自慢の甲羅に仲良しウサギをしょっちゅう乗せて、広場をゆっくり散歩するのが日課だそうだ。

んで、その相方であるウサギの方は、ちんまり小さく長い耳はシャキンと天に向いている。

毛皮はふわふわカフェオレ色で、ウルウル黒目が反則級の可愛さだ。


つーかよ、”ヘビごっこ” ってペアでもイイのか?

よく分からんが、茶々レフリーなんにも言わねぇし、ま、いっか。



『えぇっとー! いきますよぉぉ……はい! ウッディーーーッ!!』


ウッディーこと森木洋二60才は、小柄な霊体からだでバンザイポーズ。

160センチの身長プラス手の長さ、センタソーほど長くはねぇ。

が、しかしだ。

今回ウロコは使わねぇと言ってたし(おはぎは特別)、いくらりっ君がデカクても、ウサちゃんはちんまりミニマム。

さすがにこれは勝てるだろう! ……と踏んでいたのに。


『さぁ、ウサちゃん。ボクのコウラにのりたまへ』


りっ君がそう言うと、ウサちゃんは ”まってました!” と言わんばかりに飛び乗った。


んで、


『よーし、じゃあはじめるぴょん! せーの……せーの…… キャベツー!』


掛け声はカメとウサギの好きな食べ物(キャベツが好きなんだな)。

それを聞いて、アタシもみんなも思わず顔がニヤけちまってデレデレしてた。

でもよ、そこから僅か数秒後、……デレてる場合じゃなくなったんだ。

 


ウサちゃんは甲羅の上でぴょんぴょんと跳ねていた。

何度も何度も垂直に、最初は馴らしか軽い感じで3回跳ねて、その後は跳ねて着甲また跳ねて。

繰り返される単純動作、そこに、あり得ねぇ速度が加わった!


ぴょーん! ぴょーん! ぴょーん!

ぴょん、ぴょんぴょん、

ぴょんぴょんぴょんぴょんぴょんぴょんぴょんぴょんぴょんぴょんぴょんぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょ!!!!!


ダ、ダメだ!!

もう肉眼じゃ追えねぇ!!

フワフワウサギの跳ねる姿が溶けている!!

残像が繋がって、カフェオレ色が長い線になったんだ!!


ス、スゲェ!!

ウサちゃん、可愛いだけじゃなかった!!

土台になってるりっ君も、何気に甲羅をバウンドさせて、ウサギジャンプをサポートしてる!!

高さもあるしコイツら……さては素人じゃねぇな?


……

…………


『はにゃ! しょうしゃ、りっ君&ウサちゃん!!』


声高らかに茶々レフリーが言った。

クッソー!

また負けたー!!


地団駄を踏むバッドアップル。

センタソーもウッディーも、JIN(ジン)もミャビもイーグルも、ランナーもエノコも……みんな揃って『次こそはーーー!!』と気合いが入った。


だがしかし、気合いもむなしくアタシら隊は、ケモノ達にコテンパンにやられちまったんだ。



『へにゃはははは! みんなよわっちーにゃーん!』←悪い顔のおはぎ

『お、おはぎ! そんなコト言ったらダメだよぉ!』←慌てるコンちゃん


わーーーーーーー!!


盛り上がるケモノ達。

悔しがるバッドアップル。

ニコニコ笑うリバイアサンにマジョリカ姫。

広場は賑やかわちゃわちゃしてて、なんだかんだと楽しい時間だ。


……と、ココで一旦休憩をとるコトになった。


歌を歌うカメとウサギ、リーでバリバリ爪を研ぐ猫軍団、カラフルインコのラブバードはマジョリカから星髪を数本もらってご満悦だ。


センタソーは乱れたポニテはそのままに、コンちゃん相手に屈託なく笑ってた。

なんだよなんだよ、良い顔してんじゃねぇか。

いつもそうして笑ってろ。

笑う門には福来るって言うだろう?

視てみろ、他のヤツらもおんなじように笑ってる。

あー、今日(ココ)に来て良かったなぁ。

これもみんなマジョリカのおかげだ。

マジョリカだけじゃねぇか、リーと、それからケモノ達にも感謝だよ。


そのケモノ達の中で一頭だけ、明らかに空気のちげえヤツがいた。

大きな霊体からだ、鍛えられた鋼の筋肉、黒い毛皮は張りがあって艶もある。

皮の首輪は使い込まれた渋みがあって、ありゃあ単なる飾りじゃねぇ。

たぶん意味のあるものだ。


『……リー、あの子は?』


コソッと小声できいてみた。

聞かれたリーは猫が鈴なり、デッケェ霊体からだに毛玉がいっぱいくっついている。


『ん? ”あの子” と言うと……ああ、雷神号さんのコトですか』


『”雷神号” ? そりゃ名前か?』


『はい、生前、あるじであったパンドラーさんがつけてくれた名前だそうです』


『”パンドラー” って言うと……もしかして、』


『ええ、そうです。彼は元警察犬です。現世日本のY県警直轄の優秀な警察犬だったのです』


『へぇ……どうりであの霊体からだ、鍛えられてると思った』


『彼の首輪を視てください。皮でしょう? 皮の首輪をつける子は凶悪犯でも勇敢に制圧します。彼は心身共に強い子で、生涯皮の首輪をしてました。たくさんの功績を上げたそうですよ』


『へぇ……へぇ……!』


『雷神号さんは人の言葉を深く理解しています。もしもお話したいなら、普段通りお話されてもダイジョブです。彼の言語能力は並ではありませんから』


『へぇぇぇぇぇぇ……マジか……!』


リーの話でアタシの興味は雷神号に全振りだった。

賢そうな顔、三角の大きな耳、大きな口に大きな瞳。

たしか……ジャーマンシェパードって言うんだよな。


ど、どうしよう……喋ってみてぇ……!






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