表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊媒師募集  作者: たまこ
1103/1194

霊媒師おまけ……バッドアップル-4

『にゃはははは! やめ! やめ! くすぐったぁっ!』


動物達が小山になったその下で、17才の声だけ聞こえる。

他のヤツらも大体おんなじ状況で、どいつもこいつももみくちゃにされていた。

うっは!

ケモノ達に容赦はねぇ!

遊ぼ遊ぼとテンションマックス、小山の下では野郎共……きっとヨダレでベタベタだ、んぷぷ!


アタシは愉快でたまらなくって、小山のまわりをアッチにウロウロ、コッチにウロウロ。

慌てるヤツらの顔が視たくて、ひたすら覗き込んでいた。

と、その時。


ブワッ!!


突然、強い風が吹いたんだ。

あ、……この感じはリーじゃねぇか?

そう思って振り向けば……やっぱりだ。

視上げた空にはライトブルーのメタリック。

大きな翼を堂々広げた水龍が、気品を持って滞空中だ。


しっかしまぁ、相変わらずデケェな。

誠の龍呼リュウコとイイ勝負だわ。

もたげた鎌首、そこから下はグルングルンと渦巻いて、優雅にユラユラ揺れている。

深海色の凛々しい瞳、大理石の鋭い牙は開いた口に綺麗に並び、その口の左右には鞭のような立派な髭がしなってるんだ。

圧倒的な美しさ、圧倒的な神々しさ。

それでいて慈悲深い、コイツの名前は ”リヴァイアサン” 。

ダーマン星の龍族で、虹の国の管理人を勤めてる。

そのリヴァイアサンの頭の上には……


『朋美ー! 早かったねぇ!』


マジョリカがちょこんと座って、アタシに向かってブンブン両手を振っていた。


『マジョリカー!(ブンブンブン!)リーも久しぶりー! 元気だったかぁ? 今日はいきなり押しかけて悪かったな! コイツら全員、アタシの可愛い部下なんだ! 黄泉に来てまだ日が浅いから、虹の国(ココ)の仕事を手伝って馴染んでもらおうと思って! 今日はよろしくたのむよー!(ブンブンブン)』


地面の上から大きな声でそう言うと、リヴァイアサンは深海色の目を細め、優雅に優美に霊体からだを揺らすと、鎌首をさげ……


『朋さんお久しぶりですねぇ。お元気でした? いきなり押しかけ大歓迎! 私も嬉しいし、ココに住むケモさん達も大喜びですよ。みんな遊ぶコトが大好きですから。それで……と、朋さんの部下さん達は……あ、もしかして、そこのケモ山(・・・)の下敷きですか? あーやっぱり! ふふふ……きっと待ちきれなかったんでしょうねぇ。ついさっきマジョリカさんが「今日はヒト族のオトモダチが遊んでくれるよ!」ってみんなに言ったら大はしゃぎしてましたもん。私が来る前に先回りされちゃった』


とまぁ、ゆっくりのんびり。

まるで近所の爺さんみてぇな話し方。

なんつーか、いつもながらギャップに笑う。

圧倒的なビジュアルなのに、中身は呑気な爺さんだ。

でもま、虹の国(ココ)ではコレが合っている。

ケモノ達は霊体からだも小さく臆病な子もいるからな。

リーは霊体からだがデケェから、大きな声や早口は、つもりじゃなくても威圧感を与えちまう。

このくらいがちょうど良い。



『みなさーん! 今日はヒト族のお兄さん達が来てくれましたー! みなさんとは初めましてですね。今日は1日たくさん遊んでもらいましょう! ふふ、私もついでに遊んでもらおうかな。というコトでみなさん、お兄さん達から一旦降りてあげてください。このままじゃ遊ぶ前に潰れちゃいます』


リーはユラユラ滞空しながらケモノ達にそう言った。

聞いた子達はコクコク頷き素直にどいて、小山のあとには野郎共が仰向けに倒れ込んでいた。


あーあー、みんなして毛まみれだ。

んでもって……ははっ!

なんだその顔。

なんだかちょっとニヤケテルじゃねぇか。





ケモノ達がワクワクしながら待ってる中で、まずは軽くご挨拶だ。

野郎共はリーともマジョリカとも初対面。

今日は1日世話になるし、でも、オカタイコトはめんどっちいから、ごくごくライトな自己紹介をしたんだよ。


まずは虹の国(ココ)の管理人のリヴァイアサンだ。


『どうもどうも、はじめまして。虹の管理人をやってますリヴァイアサンです。ダーマン星の龍族で、虹の国(ココ)で勤務してから……えっと……えっと…あれ? 何年でしたっけ、途中300年まで数えてたのにまた忘れちゃった。ま、いっか。とにかくずーっとココで働いてます。名前は長くて呼びにくいから虹の仔達はみんなして ”リー” って呼びます。良かったらバッドアップルのみなさんも ”リー” と呼んでください。今日は来てくださってとーっても嬉しい! ウチのケモさん達も大喜びです! どうぞどうぞよろしくおねがいします♪』


おぉぉぉぉ!!


爺さんみたいな喋り方だがビジュアルだけは神々しい。

リーを視上げる野郎共は驚愕しつつも興奮が隠せてなくて、仕事だからと真面目な顔をしてるけど、口の端をムズムズピクピクさせていた。


そしてお次はマジョリカだ。


『はじめまして! ウチはマジョリカ・ビアンコ、朋美とはずっと仲の良いトモダチなんだぁ。ウチはイタリア人だけど家族は日本人なの。だから、みんなとも仲良く出来たら嬉しいです! 今日はお休みなのにお仕事をお願いしちゃってごめんなさい。ウチも一緒に頑張るからね! モフモフ達といっぱい遊ぼー!』


言い終えて、拳を握るキュートな姿にコイツらは、


『『『『『『…… て、天女さま!? ……』』』』』』


とザワついた。

そーだろそーだろ、可愛いだろ、天女だろ!

アタシの自慢のトモダチだ!


その後は27人。

緊張しつつも順番に自己紹介を進めていって、全員が終わった所で、アタシは指をパチパチ鳴らした。

構築したのは特殊部隊の基本アイテム、ドッグタグに模した形の翻訳機器だ(製作者はバラカス)。

黄泉の国の中にいれば、バラカス自慢の翻訳機能が働いてるが、特殊部隊は黄泉を飛び出し色んな星に行くからさ、言語の壁に阻まれないよう、ペンダント型の翻訳機器を身につけるんだ。

一般には入手不可能レアアイテム、これを使えば動物達の言葉がワカル(動物達のコトバは諸事情によりバラカスの翻訳機能はスルーされるんだ)。

ホントはさ、現場でしか使っちゃいけないモノだけど、分かりゃしねぇよ使っちまえ!



『へにゃ! へにゃ!』

『はにゃー!』

『ひにゃー!』

『ほにゃー!』

『チュンチュンチュンチュン!』

『シャー!(蛇の喉の音)』


動物達の鳴く声がデカクなってきた。

ははっ!

わりいな、ちょっとばっかし待たせちまった。

今からガッツリ遊ぶからな!




『ボス、マジョリカさんを含め全員ドッグタグを身につけました。これで動物達の言葉が分かるのですか? そんな事が本当に、…………んっ?』


センターソンが話の途中でコトバを止めた。

”んっ?” と僅かに眉毛を寄せて、動物達に目をやった。

目線の先には黒に橙、所により白が混ざる、ふわふわパヤパヤまだらな毛玉。

いわゆるサビ猫ってやつだな。

そのサビ猫は、ゴム毬みてぇにぴょんぴょん跳ねているんだけどよ。



『へにゃ! へにゃ! へny……まだ? リーたちのゴアイサツはまだおわらにゃいの? おはぎはもうまちくたびれたにゃー!』



『『『『『『…… えぇっ!? ……』』』』』』←27名見事なシンクロ!


野郎共はサビを視て、アタシを視てマジョリカを視た後にリーを視た。

全員揃って口をパクパク、”猫がしゃべった!” と焦ってる。

んぷぷー!

コレだよコレェ!

アタシはさ、コイツらのこーゆー顔が視たかったんだ!


1霊1機、身に着けた翻訳機器は今日も絶好調に訳してくれてる。

野郎共とマジョリカは目をまん丸に驚いてるが(マジョリカは光道だから使ったコトがねぇ)、こんなモンじゃあ終わらねぇぜ!



『はにゃ! ゴアイサツが長いにゃ! もうあきたにゃ!』

『ひにゃ! アイサツなんて尻のニオイをかげばいいのに!』

『ふにゃ! いまからかぎにいくにゃ!』

『ヒトの子の髪で巣をつくりたい! 星の髪がいい! チュン!』

『茶々丸たち、人の子のオシリをかいだらダメだよぉ、きらわれちゃうぅ』


シマシマ模様の三つ子の猫も、カラフルインコのラブバードも、オレンジ色のニョロニョロ蛇も言語の壁が取り払われた!



『『『『『『…… なんとー!! ……』』』』』』←野郎共

『きゃーーーー♪ みんなのコトバがワカルよぉ!』←マジョリカ

『私はもともと分かりますけど♪』←チョット得意げなリー



マジョリカはサビ猫みてぇにぴょんぴょん跳ねてはしゃいでる。

リーは ”ふふふ” とニコニコ笑い、野郎共はあばばあばばとテンパリ中だ。



動物達は今か今かと遊ぶのを待っている。

犬猫うさぎにハムスターにフェレットも、鳥もサカナも蛇も亀も……他にもたくさん!

その中でも、最初に喋った斑のサビ猫。

ちんまい霊体からだでテテテと走り……今、センターソンの目の前までやってきた。


んで、


『こんにちニャ! はじめまして! おはぎはおはぎだよ! 今日はいっぱいあそんでくれるんでしょう? あのね、あのね、おはぎね、さいしょは ”ヘビごっこ” がしたい!』


長い尻尾をピーンと立てて、はしゃいだ声でそう言った。

つーか、”ヘビごっこ” ってどんな遊びだ? 想像がつかねぇけど……ま、きっとおもしろいんだろう!






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ