表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊媒師募集  作者: たまこ
1097/1194

第二十七章 霊媒師 繋がり-13

アタシの話を大和は黙って聞いていた。

視つめる瞳にアタシの顔が映り込む、……僅かにそれが歪んでる。


トモちゃんのウソは……私の為だったんだね」


瞬き一つで大和の目尻に涙が滲んだ。

今度はそれをアタシが拭う、さわれないけど指でそっと丁寧に。


「……私を縛りたくなかったの?」


『うん』


「私に好きな人が出来れば良いと思ったの?」


『……うん』


「私が再婚すれば良いと思ったの?」


『…………うん、』


ぜんぶ肯定した。

だって……ウソではないもの。


「……ふぅん、」


大和がアタシをジッと視る、少しだけ口を尖らせ不満そうに。

な、なんだよ、なんでそんな顔をするんだよ。

やっぱり怒ったのかな、そうなのかな。


『や、大和?』


なんだか気持ちが焦ってしまって、アタシは霊体からだをモゾモゾ動かし、今よりもっと大和に近づく。

大和は……そんなアタシにキスをしてから、まるで……幼い頃の誠になにかを言い聞かせるよに、ゆっくり優しく言ったんだ。


トモちゃんの気持ちはすごく嬉しい。アナタはいつだって私に優しくしてくれる。……でもね、私を想うあまりに、トモちゃんが泣いてしまったら意味がないんだよ」


『か、考えすぎだ、べつに泣いてなんかいないよ、アタシは本当にそう思って、だっていつかは大和に会える、だからぜんぜん悲しくなんかなかったし、』


アタシ……カッコ悪い!

しどろもどろで言い訳してさ、泣きながら ”泣いてない” と言ったって、説得力がぜんぜんないよ。


「ああ……ごめん、ごめんね、違うんだ。私の為を想ってくれたのに ”意味がない” なんて乱暴な言い方だったね。今のは私が悪かった。……あのね、どう言ったら伝わるかな…………そうだ、ねぇトモちゃん。トモちゃんこそ、この14年間で私以外に心惹かれる人は現れなかったの? 付き合いたいなぁとか、この人となら再婚したいなぁとか、」


え……?

どういう意味……?

なにを言われたのか、理解するのに時間がかかった。

やっと意味を呑み込んで、途端、冷静ではいられなくって、アタシは声を荒げてしまった。


『な……!? なに言ってんだよ! そんなヤツ現れる訳ないじゃん! 大和以上に良い男なんてこの世にもあの世にも存在しない! アタシは大和しか好きじゃない、大和にしかさわられたくない! 初めて会った時からずっとそう思ってるのに、そんなの……いるはずない……ヒドイよ……なんでそんなコト言うの? アタシは……! アタシは………………あ、』


大和がなにを言わんとしたか、時間差でやっと分かった……そか、そういうコトか、そういう事なの? アタシと同じ気持ちなの?



戸惑うアタシを遠慮もなしに大和が笑う。

肩を震わせ目尻に涙を滲ませて、アタシを視ながら笑ってるんだ。


「笑ってごめんね、でも……伝わったかな。あのね、私も同じなの。トモちゃん以上に良い女なんてどこにもいない。私はトモちゃんしか好きになれない、トモちゃんしかふれたくない。アナタが生まれ変わろうがなんだろうが、私はね、朋美しか愛せないんだよ」


『………………』


「今まで……淋しくなかったと言えばウソになる。毎日毎日朋美が恋しかった。でもね、だからって他の女性と付き合う気にはならなかった。だって朋美じゃないからね。それに朋美は言ったじゃないか。私にプロポーズをしてくれた時、泣きながら、一生懸命想いを伝えてくれただろう?」



____つ、付き合ってくれなきゃ、結婚してくれなきゃ、

有刺鉄線デスマッチに出てやるっ!

傷だらけになって、ボロボロになっちゃうんだから!

そ、それがイヤならずっとアタシと一緒にいて!

アタシだけを見て!

アタシだけを愛して!

そのかわり、アタシも大和だけを見る!

大和だけ愛する!

一生、ううん、死んでも気持ちは変わらない!____



思い出してしまった、……あの時アタシは必死だった。

大和が好きで好きで好きすぎて、どうしても一緒になりたかった。

なりふりなんか構っていられないほどに。


大和はアタシに何度も何度もキスをして、それが終わるとオデコをつけてこう言った。



「あの日初めて朋美が泣いたのを見たんだ。リングに上がれば強いのに、子供みたいにしゃくりあげて心配になる程だった。それまでは妹のような存在だったのに……いきなりだった、あの瞬間、ストンと恋に落ちてしまった。泣き顔が愛しくて、笑えばもっと愛しくて……そうなったら最後、とことん朋美に惹かれていった。それは今でも変わらない、……いや、変わりたくても変われないんだ。だからね、朋美以外の誰かといるより、朋美の愛を大事に持って1人でいる方が幸せなんだよ」


ダメだ……そんなコトを言われたら、もう、……もう、


トモちゃんは泣き虫だ。今までも……1人で泣いていたんだろう? ごめんね、気づいてやれなくてごめんね。もう無理をしなくていいからね。私が愛してるのはトモちゃんだけだ。ねぇ、これからまた、大福ちゃんにお願いをして2人で会おう。くっついてキスをして、たくさん話をするんだよ」


そう言った大和は、たぶん、笑顔を向けていたんだと思う。

はっきりとは分からない、……だって、一生分の涙が溢れてしまって、視界がぼやけてしまったから。


大和、愛してる。

すごくすごく愛してる。

今夜、逢えて本当に……良かった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ