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霊媒師募集  作者: たまこ
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第二十六章 霊媒師 誠と真-4

写真はあまりに鮮明だ。

蔦の葉も、看板も、ユリもハッキリ写ってる。

クソッ!

なんだって無加工なんだよ!

顔にボカシは常識だろ!

腹は立つが今ここで文句を言っても時間のムダだ。

とにかく、なんとかコイツと連絡とって写真を削除させてやる!

しかしどうやって連絡取ったら良いだろう?

コイツは赤の他人だし、顔も知らなきゃ名前も知らねぇ。

連絡の取りようがねぇんだ。

チッ!

もうアレだな、霊視で居所特定してよ、直に家まで乗り込むか!

それしかねぇと、印を組もうとした時だった。

スマホを見ていたエイミーが、大慌てで俺を止めた。


「ちょ、落ち着いて! 仕事以外で許可もなしに霊視は駄目だって、いつも社長が言ってるんじゃない! 霊視は最終手段、ダイジョウブ、手はありますよ。まずはココ、ツイッ○ーのプロフんトコ見てください。この方、橋本さんっていうみたい、」


「あぁ? なんでそんな事が分かるんだよ。まさか、ユーザー名に本名を使ってるとか冗談は言わねぇよな?」


半分は八つ当たり、自分でも分かってる。

仕事じゃねぇのに個人を霊視、エイミーはそれを止めてくれたってのによ。

半信半疑で言われた通り、プロフィールを見てみると……なんだこりゃ。


”kazuko・hashimoto”


マジかよ。

ハシモトカズコ、……これ、本名っぽいな。

自己紹介には ”はじめてのスマホデビュー、ツイッ○ーって楽しいですね” と書いてある。

おまけに ”場所” にはご丁寧にも、”東京都T市” とあるじゃねぇか。

ウチの会社のご近所さんか?


「どうもこの方、ネット初心者じゃないかと思うんですよ。ユーザー名は本名っぽいし、”スマホデビュー” とか ”ツイッ○ーって楽しい” とか……名前と文の感じからしてご年配の方なのかも。だから写真の事もなにも知らずに上げちゃったのかもしれませんね。とは言っても、そんなん絶対ダメだけど」


なるほどな……ま、それは分かった。

でもよ、この橋本さんってのが初心者だろうとなんだろうと、ユリの写真を載せた事には変わりがねぇ。

一刻も早く削除してもらいてぇんだ。


「それは僕も同じです。ユリちゃんが心配だもの。それでね、この方と繋がりないからDMとか送れないけど……ほら、この過去の呟きを読んでみてください。なにか手掛かりがないかとさかのぼって見ていたら、橋本さんは毎日朝は8時頃、夕方は4時頃に犬の散歩でT駅周辺を歩いてるって書いてあるんだ。だから今日の夕方、待ち伏せして削除してもらいましょう。で、その時ついでに人の写真を許可もなくネットに上げたらダメなんだって、やんわりとお伝えすれば今後も安心だと思うんです」


……

…………

………………


その日の夕方。

俺とエイミーは、橋本さんとの接触に成功した。

もちろん霊視はしていねぇ。

犬の散歩にどのルートを回るのか、それはツイッ○ーに上げられた無加工の写真の数々であっけなく特定出来た。

橋本さんはエイミーの予想通り、ネット初心者の年配女性。

初めてのスマホが楽しくて仕方がなくて、特に、気軽に撮れる写真に夢中なのだと言っていた。

だからってなぁ……無加工の公園写真(やはりココも看板つき)、無加工の犬の写真(スッゲェ特徴のある毛皮の模様)、無加工の店の写真(“近所のお店です” とコメント付き、店名モロに写ってる)、ネットリテラシーがあまりにも低すぎた。



橋本さんを発見し、俺らが話しかけた時、


「あ、あなた達は誰!? どうして私の名前を知ってるの? タローちゃんの(犬の名前だ)散歩の事まで知ってるなんて……ストーカーね!?」


と大騒ぎをしたんだが……なんとか誤解を解き、事情を話すと打って変わって大人しくなったんだ。


「そ、そんな大袈裟な……だって、あのお嬢さんの顔なんてちょっとしか写ってないわ」


そう言ってしどろもどろになっている。

俺はなるべく気を落ち着けて、乱暴にならないように、感情的にならないように、言葉を選んで話をした。


「橋本さん、それは違います。少しだから良いという問題ではありません。現に私は、橋本さんのツイッ○ーの写真からタローちゃんの散歩コースを割り出しました。顔も知らない、会った事もない、それでもこうして特定出来たんです。こういった情報がもし、悪意のある者の目に触れたらどうなるか、想像してみてください。貴方がツイッ○ーに公開した写真の女性、彼女は私の妻なんです。妻を危険に晒したくない。どうか分かっていただけませんか?」


分かってくれ、……祈る気持ちで伝えると、意外にも橋本さんは素直に謝り、その場で写真を削除してくれた。

初心者で分かってなかった、自分のツイッ○ーなんて誰も見ないと思ってた、奥さんを危険に晒してすみません、これからは気を付けるからと頭を下げてくれたんだ。



何度も頭を下げる橋本さんと別れ、俺とエイミーは会社に戻る事にした。

写真は削除され、ホッと胸を撫でおろす事が出来た。

とりあえずは一安心だ。






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