18…戸惑う少女の小さな穴。
愛おしい人からのプレゼントは心が弾むもので。嬉しすぎて口がにやける程だ。
それもそうだ、貰って次の日付けてるんだから。髪飾りをしていない私が急にリボンを付けてればクラスメイト達は異変に気づいて私に話しかけてくれる。一気に注目度が上がったのに思わず焦っちゃう私はきっとこういうのには向いてなくて、手短に、曖昧に、愛想笑いをし続けてしまう。それはもう話が続かなくて、せっかくの友達になるチャンスが減ったような気がする。
ちなみに主人公ちゃんから貰ったリボンは少し黄緑に近い水色のリボン。そこにも白い刺繍が施されていて念願の主人公ちゃんとの『おそろい』だ。
あぁ。今日はやけに空が綺麗に見えるなぁ…マセおっさんの居る保健室でコーヒーでも入れてもらおうかな。あこ意外と景色綺麗だから好きなんだよね。それに目の保養にもなるし…いいね。
「渋い男性のブラックコーヒーって素敵…」
「鈴攫さん。ちょっといいかしら?」
「こ、これは違うんです!私は健在です!!」
「はい?」
あ。やってしまったぁああああ!!またか。またこのパターンか。最近多すぎるよ?あと、けして下ネタ的な意味で言ったわけじゃないからね!どっちでも共感しますが!←
目の前にいるお団子先生の美しい笑みといい、色気を醸し出す薄紫の細いストライプシャツにゴールドの胸元まであるアクセサリーと体の線を強調するスカートは本当に卑怯です。女の私でさえも惚れちゃいそうですよ。
「えーと…なにか用事でもあるんですか、玲花先生」
「えぇ…そうね。この書類を応接室に届けて欲しいの。他の先生方は忙しくて頼めないし、私も早く用事を済ませなきゃいけないから…身勝手かもしれないけどお願いできるかしら?」
「いいですよ。先生に頼まれるの嬉しいですから。あ、この書類は放課後までに届ければいいんですよね?」
「そうしてくれるとありがたいわ」
先生は満足そうに微笑むと、時間が無いのか速足で行ってしまった。
少し苦笑しながらクリップに挟まれた書類を軽く見ると、なにやら騒動?だの他の学校からの書類や個人情報まで書かれていて少し見てしまったことに後悔する。なにこのダークオーラ。P●Aとかにありそうな議案書。いや流石に個人情報は書かれていないが。
そもそも何故応接室?こういうのなら先生とかじゃないのか…?最近、記憶力がないからなんとも言えないんだけど。
「…胃が痛くなってきた」
ため息を吐きだして、そっと手にある書類を握りしめる。
もう嫌な予感しかしないから後で主人公ちゃんにハグしてもらおう。マセおっさんから頭なでなでさせてもらって錬城とご飯でも食べようかな…そんでもって昴君に――あぁ…そっか…『まだ』来てないんだ。
隣の席には昨日と同じ空席。少し乱雑に放り込まれた昨日のプリント。いつもなら明るい声で話しかけるワンコ。クラスからの人気者で友達だってたくさんいるのに、誰も昴君が欠席していることに話題を出さない。きっと本当は心配なんだろう、ちらちらと昴君の席を見る生徒達。私は休んでいる理由は大体分かるけど口に出せる理由ではないから、なんとも言えない。
なのに、なにかが足りない、わからない、私じゃ。
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