15…不憫は振り回されるのがオチ
今日の日直 鈴攫 渚
日程 いつのも通り
遅刻・早退者 なし
欠席者 1名、昴
◆
昴君はずるい。
あんなに優しくて明るい彼が壊れたのに、肝心な所は変わらない。
昨日、色々あって借りたノートを教室に置いて行ってしまい、寮に戻って気付くものの取りに行けなかった私。そんな私を思ってか、私の机には借りたノートが入っていた。
それだけじゃない。昴君は昨日の事で混乱している私を気遣って休んでくれている。もうすぐ昴君が所属している部活が大会に近づいているっていうのに。
ずるい
いつもと変わらない態度に。
まるで昨日の事が夢なんじゃないかって思うぐらい。
「嫌だなぁ…」
「昴のことか?」
「うん、まぁ…っていつの間に…」
なんだか気だるくて驚くリアクションもしない私をよそに、コーラを飲み干す錬城。
いいのみっぷりで…やっぱりジュースを飲む姿って男子の方がカッコイイよね。特に汗掻いてる時とかそそられるわ。
んでも、なんだろう…なんか恥ずかしい。昨日のせいで意識しちゃってるのかもしれない。
昨日は、無理やり寮まで送ってもらって、少しだけ話し込んじゃって。
話してるときになんか錬城が………あーもう!思い出して照れてんじゃなーーーい!
『もし、なんかあったら俺に言え。――俺があんたを守ってやっから』
あああああああ!!!!なんてベタなセリフなんですかぁああああああ!!!
いや、ベタだからこそ美味しさっていうものがあると思うんだけど!!卑怯だよ!!カッコイイ事言っちゃって…言ってすぐ逃げたけど。
「んで、どーすんだよ」
「えぇ!?ぁあ、うん?」
回想してて話の内容に追いつけないんだけど。何の話?
「そのまま帰るのか、昴に会いに行くのか」
「えっぁ…今日は遠慮するよ。行っても上手く話せない気がするし…」
昨日の今日で平気に話せるほど図太い神経は持ち合わせていないし、正直怖い。
壊れたのに直ぐに戻ってる姿が嘘みたいだし…だからこそ怖いっていうか。
「そうか」
それだけ言って錬城は口を閉ざす。私も話す内容が浮かばなくて口を閉ざす。そして沈黙。
で、思うのは何故錬城は何処かに行かないのか。なんか失礼な言い方だけど、錬城は誰かを待っているのか?だって錬城が待ってるなんて珍しいし…もしや――恋人!?
え?そうなの??風にたそがれてるんだ、邪魔すんなじゃなく??ほぉー…私に話しかけてたのは、単なる追っ払いっていうことか。そりゃあそうよね。初々しい所を見られるなんて恥ずかしいもの。
にしても青春かぁ…やっぱ中高生が爽やかで美味しいよね。
「あーじゃあ、私(二人の邪魔になるから)帰るね」
「ぁ…そ、そうか…」
よっし!帰ったふりして二人を見守るか←
あー錬城ってどういう女の子と付き合ってるんだろう?ゲームでは主人公が対象だから主人公ちゃんなんだけどさ。この世界ではどうなんだろうなぁ…。やっぱり明るくて可愛い女の子かな。それとも大人しい文学少女とか!?あぁ…妄想が途絶えないわ。
それで、二人乗り自転車とかバイクとかするのかなぁ…萌えますね、えぇ。にしても、なんか視線を感じるんだけどなんだろ…う?
「え?錬城?さっきまであっちに居たはずじゃ…」
「…うっせ。わ、わりィかよ…」
え。
「捲りめく青春の一ページとかじゃないの!?恋人は!?」
「はぁ!?んなのいるわけねェーだろうが!!俺はただ…」
「ただ?」
ただ、なに?恋人もいないとなれば当てはまる単語が無い。
でもなにかしらある筈だ。だってこっち方向は男子寮から遠回りだし…。
「ッ――…あんたを送ろうとs「あー!渚ちゃんだー」…は!?」
錬城の声が主人公ちゃんの声にかき消されちゃって、最後まで聞き取れなかったんだけど…あと顔赤いよ錬城。
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