14…イツワリ、本音、ホンショウ
お気に入りが200突破…だとっ!?
有難いです、本当にありがとうございます。嬉しいですはい。(土下座)
ねぇ。助けてよ。
私は主人公じゃないの。モブなの。通行人Aとかアニメとか漫画とかドラマでそういう風に扱われる一般人なの。
まさか、トリップしてあれやこれやしてたら死亡フラグが立ってたとかいらないから。あの、私主人公ちゃんみたいな可愛い顔でもないし綺麗でカッコイイ顔でもないんです。乙ゲーでは大変主人公が可愛いらしいけど、違いますから。性格もなにもかも。
どちらかというと心の声が萌えに突っ走ってる夢見る乙女ですから。あ、もうこの年だから流石に引くか。でも夢小説は漁りますよ。好きなんで。
このスペックから何処に好かれるのかよく解らない。なのに、今の現状はそうだ。――果たして本人が本当に好意を寄せているのかは疑問だけど。
口にするのが怖い。
ただ単に「幼馴染」って言えばいいだけ、それだけ。
なのに喉に張り付いてなかなか口に出せない。言葉を出すだけなのに冷や汗が止まらない。視界がぼやける。
駄目だ。きっとこの言葉は駄目だ。昴君は納得してくれない。
目線を昴君に戻せば、昴君は机の上に座り込んでじっと私を見ている。
お願いだからこっち見ないで下さい、プレッシャーくるから。
確か昴君のヤンデレバージョンは、結構分かりにくい時もある。だからこそ墓穴を掘らないように言葉には気をつけてる筈なんだけど。
それこそが駄目だったのかな。気にしすぎた?それが原因?
でもまだ決まってない。
その言葉で昴君のヤンデレポイント、好感度が決まるなどまだ無いはずだ。
ゲームだって結構後半の方だし、主人公ちゃんに嫉妬をさせるような選択肢などを選んだらそうなるだけだし。
でも今は主人公ちゃんじゃない私にとっては関係無い。だから分からない。
だから怖い。
「あ、…えーとその」
「どーしたのナギ?顔色悪いよ?」
「ぁ…」
いつの間にか目の前に居た昴君。可笑しそうに口角を上げて。
触れられる肩、恐怖に怯えて振り払う私。
そこで気づくと同時に笑った口元が閉じた。
「――ご、ごめ…」
「大丈夫だよ。ナギ…だから謝らないで?」
優しそうな物言いとは反対に光が無い暗い瞳。
まるですとんと、表情が落っこちちゃったような表情に――ズキンと胸が痛んだ。
やってしまった。
これはアレだ。私の人生が終わるフラグだ。死亡フラグだ。
「ねぇ。教えてよナギ。俺知りたいんだ、ナギが俺のコトどう思ってるのか…だから教えてくんない?」
目線を合わせてゆっくりと喋る昴君の瞳は冷たくて怖い。
逃がさないように手首を摑まれ、尚更恐怖がじわりと蝕んでいく。
ゲームでこういうシーンはわくわくでドキドキだったけど、実際なってみるとこんな感じなんですね。怖すぎて足が動きませんわ。
いや、怖さはなんとなく理解してたつもりなんです。予想以上というか。ちょっと甘くみてました、すみませんでした!!
「す、好きだよ…で、でも」
「でも――なに?」
あああ…も、もう無理だぁああ!なんであこで止めちゃったの?
好きでいいじゃん!!うわぁ…いらないこと言っちゃったぁああああ!!ねぇ、メニューは開けないの!?ステータスボタンは!?クイックロードは出来ないんですか!!ってセーブしてなかった…じゃなくて!!
ここはゲームの世界じゃないんだから!!ゲームみたいに出来ないんだよ!!
「鈴攫!!」
なにかと思えばガラッと扉が強く開けられ、人数の少ない教室に響く。
声を荒げ、急いで来たのか乱れたワイシャツに汗で濡れた赤い髪。
「錬城君…」
錬城は私を見つけるとなにかに察したのか、すぐさま昴君の襟を摑み上げる。
足が浮くと同時に息苦しそうに眉を顰める昴君は錬城を睨んでいた。
錬城のおかげか、動かなかった身体が解放されて地面に崩れ落ちた私はほっと胸を撫で下ろした。
一先ずは安心だ。良かった。来てくれて…本当に良かった。
なんで此処に来たのかは分からないけど助かった。もし、来なかったらきっと私はバッドエンドを迎えたんだろう。それは流石に嫌だ。
それに、この二人もお昼の時はあんなに仲が良かったのに…まるで嘘みたいだ。
これが犬猿の仲で終わって欲しいんだけど。結構良かったのに。
「おい、テメェ…鈴攫になにした?」
「…なにもしてねぇっつー…の。ぐっ…ってかそろ…そろ離してくれねー?アキ」
「あ゛?マジで言ってんのか」
「あっだり…まぇ゛じゃん…俺が!!
ナギを傷つけるような事するわけねーだろ!!」
苦しそうにもがく昴君に舌打ちをすると地面へと叩きつける錬城。
机が昴君と同じように引きずられ、ガコンと鈍い音が聞こえると、それは昴君が机をぶつけた音だった。
「なら…なんで鈴攫が怯えてたのか分かってんのかよ!!!」
昴君は食いかかろうとしたのか、ふらふらになりながらも立ちあがるけど、錬城の言葉の意味に気付いたのか私へと視線を移す。
当の私はさっきまでの恐怖がまた滲み出てきて、身体が震えてる。
怖い。
思わず顔を見るのが怖くて目を逸らすと、地面に崩れ落ちたような音が聞こえた。
その音は昴君からで、昴君の言葉では聞き取れない声が悲痛とともにぽつりと零れ出す。
壊れた。
そう言ってもいい。
叫ぶ声も、掻きむしる音も、何度も同じ言葉を繰り返す声も。
昴君が壊れたから。
「嘘だ!…嘘だ…俺は…ちがう、違う、チガウ!!」
「それに気付かなかった奴のなにが違うんだよ……いくぞ、鈴攫」
「ぇ、あ、でも…昴君…「コイツの心配をするなら自分の身を心配しろ!」」
立てない私を引っ張り、無理やり立たせると走り出す錬城。
その後ろを引きずられるように走る私は、気になって後ろを見ると――
何事も無かったかのように私達を送り出していた。
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