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沖縄・台湾侵攻2025 Hard Mode --Continue  作者: しののめ八雲
ACE/血に浸るニライカナイ
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特戦 5

だが、白神の必死の治療にもかかわらず、コーディはそう長く持ちそうになかった。それは教村にも分かった。このごく短時間のうちに、彼女にはそういうことがなんとなく分かるようになっている。既に人の死ぬ場面を一生分見せられたからだ。


教村は「とにかく彼に話かけて」という白神の言葉に従って、コーディを励まし、その体をさすった。

コーディは喘ぎながら白神にモルヒネかフェンタニルが欲しいと伝える。

白神は、バッグパックからキャンディのような薬を散り出す。本当にキャンディのよう口に含むタイプのフェンタニル。強力な鎮痛作用があるらしい。

日米の若者を汚染して社会問題化しているフェンタニルだが、本来はこのように医療で使われるものなのだ。


痛みが和らいだコーディは最後の言葉を伝えようとした。

「ああ。痛みが無くなった・・。ありがとう。キョウ。・・僕は死ぬのがとても怖い。本当に怖い。死にたくない。みんな殺された。畜生!・・だけど後悔してないんだ。わかるかい?真実を前にして・・目を閉じ、口を紡ぐことなく、世界に伝えるために・・ジャーナリストとして死ぬことができるんだ。

・・だけど思ったよりも早かった・・。あと10年くらいは・・クソ!死にたくない。この世界に爪痕を残したい!」

そこでせき込んだコーディに教村は意を決して「家族に最後に伝える言葉は?」と言った。

「僕達はいざという時のために、遺書を伝えるプロトコルを用意してある。だけど、そうだな。ミネソタの家族に・・。僕は最後まで僕らしく生きることを貫いた。その遺書は間違っていない。それだけ伝えてくれないかい?」

「分かった。約束するわ。」

「・・それから、君達日本人に伝えたい・・。

君達はこの国を守らなきゃいけないんだ。それは、ただ中国からの侵略に耐えればいいってだけじゃない。

日本人は自分達が衰退してるって思っている。不景気に地震、おまけに戦争だ。でも、そうであってもまだまだ治安はいい。国民の規律と文化の厚みが素晴らしい。素直に住みたいと思える素晴らしい国だよ。

リベラルの偽善にも、ポピュリストの独善にもまだ汚染されていない。

俺達の国はその両極で揺れる国になっちまった。でも日本はまだ間に合う。君達が、世界のロールモデルになれる可能性がある。世界中が、理想の国として日本を選び、目標とするような、絶妙なバランス。それが君達の強みなんだ。君達・・日本人が当たり前だと思っているもの。それは世界を見て来た僕から言わせれば・・かけがえの無いもの・・。

自信を持って欲しい、君達には・・。だから、負けちゃダメだ。中国の思い通りにさせたら・・。


・・ああくそ、喋り過ぎたみたいだ。。。

・・母さん、会いたいよ・・。」

教村はただ、コーディの言葉にうなずき、彼の手を、血塗れの手を握りしめた。いつの間にか頬を涙が伝う。


白神はコーディを安楽に逝かせることを選んだ。

「約束するよ。兄弟・・。日本人はあきらめが悪いんだ。知ってるだろう?」

そう最後に語りかけたが、コーディにはもう聞こえていないことが分かった。

白神は、空を見上げて首を振った。

そして、姿勢を正すと勇敢に死んだ若きジャーナリストに敬礼を送った。


中国人工作員の装備を奪取し、ジャーナリストの記録媒体を集めていた石橋がこの場を離れることを提案してきた。

「今は攻撃が一時的にやんでいる。こうなった以上は民間人の格好はかえって危険だ。ゴッドは着替えた方がいい」

白神の衣服は、コーディの手当てをしたことで血塗れになっていた。

そこに中国側から奪った武器を携帯していたら?事情を知らない自衛隊員に見つかったら、問答無用で敵と見なされ、攻撃されかねない。

「駐屯地に行って、装備を融通してもらおう。大畑一佐と情報を共有した方がいいだろうしな」

「よし。行こう。教村さん。いったん宮古駐屯地に避難します。荷物を持ちますから、あなたは体一つで一緒について来て下さい。その後で、この島から脱出します。」

「脱出?」

「そうです。早くしないと。多分、今日中に中国軍によってこの島は占領されます。時間と共に、脱出が難しくなる。脱出できないと、せっかくあなた達が命がけで集めた情報がどうなるか?まして中国軍があなたを捕らえた時、そのような扱いをするか、保障できません」

そう言いながら、白神はコーディを安置する。いまはそれが精一杯。

(その間に石橋は奪取した敵の無線機で、何やら敵と会話しているようだった。)


言われるがまま移動しようとした教村だったが、もともと駐屯地周辺で大量に発生した負傷者を救助するための手を探そうとしていた。

その途中で殺されそうになったため、本来の目的を忘れかけていたのだ。

「そうだわ。駐屯地周辺で市民団体に死傷者が。ゴッドさんとおっしゃいましたね?手を貸してもらえませんか?」

だが、どう見ても助からないコーディを、それでも助けようとした人物と思えないほど、白神はきっぱり拒絶した。

「申し訳ありません。この状況では全員を手当てするのは無理です。それに、あなた方と、連中では命の価値が違います。さあ。いきましょう。」


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