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沖縄・台湾侵攻2025 Hard Mode --Continue  作者: しののめ八雲
ACE/血に浸るニライカナイ
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大東島沖航空戦1

開戦と同時に行われた、日本本土への対艦弾道ミサイル攻撃のために、4隻の055級の分派した中国機動部隊。彼等はこの時点で、分派した戦力との合流をはかりつつ、警戒に当たっている。


だが、当面の間、彼等の脅威は心配が無いはずだ。

海上自衛は災害派遣でバラバラに日本沿岸に貼り付いていて動けない。

航空自衛隊主力はオーストラリアに逃げ込み、残った戦力も滑走路を撃破されて飛び立てない。

米第7艦隊は中東で大統領の思い付きに振り回されて、今から太平洋に戻ってくるのに2週間はかかるだろう。

グアムも弾道弾で叩いている。


なにより信じがたい程の政治の無能によって、日米軍は何をしたら良いのか分かっておらず、PLAに蹂躙されるがままだ。

呉達中国機動部隊は、この時点で第2列島線の西側、その制海権を掌握しているとすら言えた。

だが、彼等はまだ油断してはいない。

確かに米海軍の動きはまだないように見える。だがレーダーに映らない、米潜水艦の動きは不明だし、偵察衛星の眼を盗んで、ハワイ方面から米空軍が飛来する準備を整えているかもしれない。

故に、3隻の空母は南北に散開して、CAPの網をはりつつ、哨戒ヘリと054級フリゲートや052級駆逐艦で対戦警戒を継続している。

(特にB1爆撃機が長射程・ステルスの恐るべき対艦ミサイルである、LRASMを大量に搭載して接近することを警戒していた。)



このような状況の中で北大東島爆撃隊は編成された。

4個大隊を擁する福建飛行旅団だったが、1個大隊は予備をとして重点的なメンテナンスと休養中だった。先は長いから、全部の大隊を戦闘配置にしないのは理に適っている。

残りの1個大隊がCAPを担当し、残り1個がCAPのバックアップと緊急発進などの防空を担当。最後の1個が攻撃待機だ。

呉達、旅団首脳はこのローテーションを回すのにそれなりに苦労していた。



KJ600が離陸の瞬間を捉えた敵のF15は、北大東島を離陸。

そんなところに敵が出現するのは盲点だった。

北大東島の空港は滑走路が短く、設備も貧弱だから戦闘機部隊が運用できるものでは無い。

おそらく、沖縄から逃げ延びた生き残りだろう。


正直、055級の弾道弾攻撃を横目に見つつ、CAPばかりだったところへの攻撃命令。福建旅団は色めきたった。

とは言っても、攻撃隊の編成と搭載兵装の選択までもが北京の戦時司令部の指示だったから、少なくとも呉は面白くない。

呉達が自分の判断で動けるのは、北京からの指示が間に合わない緊急事態が発生した時だけ。


F15の離陸は呉の願望を現実にし、護衛機とCAPでの追撃を命じた。

爆撃は搭載している誘導爆弾がもったいなかったから、大して意味の無い北大東島の爆撃を中止したかった。

だが、北京からの指示をなるべく忠実に履行することで、無用の減点を防ぎたい政治士官の介入で爆撃は続行されることになった。

PLAでは、飛行2000時間以上の海軍最良の飛行士官の意見よりも、中央の意見を忠実に実現する政治士官の考えが常に優先されるのだ。

(政治士官達は現場の士官達と良好な関係を築いていると思い込んでいる場合が多かった。だが、彼等の関係は例えるなら本社や親会社から出向したスタッフが、現地下請けスタッフにちやほやされる関係性に近い。)


状況が流動化したことで、指揮権を取り戻した格好の呉は、たまたまF15にもっとも近いところ(とはいっても250キロも離れていた)いたCAPのJ15、1個中隊4機を追撃に回す。

「ヤツはどこに向かっている?」

コンソールに端末に取り付いている下士官がF15の予想進路を表示する。

「硫黄島のようです」

「硫黄島?1000キロもあるじゃないか。たしかにここならロケット軍には見逃して貰えるかもしれないが、そのうち我々に見つかるのに?」

多少首を傾げながら、下士官に応える。二人はレーダーの観測と、コンピューターの解析について意見を交わす。


「もう日本軍機には逃げる場所も無いのではないかね?」

離れた場所に座っている政治士官が二人の会話に入る。

正直、呉はイラっとしたが、愛想笑いを浮かべて「なるほど」と言って会話を打ち切った。

誇り高い艦載機乗りの呉には、政治士官の機嫌を損ねないようにする自分の態度が、福建の艦底に溜まった汚水のように感じられた。



F15は東へ向かって高度6000メートルを時速800KMで飛行している。

このまま硫黄島へ向かうとすれば、1時間程度で到着するはずだ。


これに対して、CAP中隊はF15の南西から追撃。バックアップの大隊から、空中給油任務の1個中隊を出したとは言え、燃料の残量は気になる。

だからアフターバーナーを過剰に使わない範囲の速度での追撃になる。速度はマッハ1,2程度。それでもこの分だと20分程度で追いつけそうだ。

一方、福建を発艦したばかりの2個中隊のうち、爆撃任務の中隊はそのまま大東島へ向かった。

護衛の1個中隊は任務を変更して、F15の進路を先回りするように高速で北上する。挟み撃ちで確実な撃墜を狙うのだ。


呉はコンソールを確認する。彼等の戦場には味方しかない。敵の姿は無防備なF15が1機だけ。

支援の空中給油任務1個中隊。CAP交代の1個中隊。任務変更になった護衛中隊の代わりの1個小隊。

たかが1機のF15のために、J15を20機、KJ600を福建は投入していた。

(やりすぎたかな?まあ、手抜きよりはいいさ)

呉はコンソールを埋めた部下のシンボルを眺めつつ思う。


通信室からの情報が入る。F15は平文で会話していて、日本本土の管制にコンタクトしようとしているが、うまくいかないらしい。

パイロットは女性とのことだ。

(女を殺すのは気が進まないが・・。許せよ。戦争だからな)

呉は内心に僅かに生じた葛藤を打ち消す。


2個中隊の進路は、それぞれF15の未来位置と交錯。それぞれあと10分程度で会敵するだろう。


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