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沖縄・台湾侵攻2025 Hard Mode --Continue  作者: しののめ八雲
ACE/血に浸るニライカナイ
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大東島沖航空戦2

F15を追尾するJ15は、2個中隊共に搭載するレーダーを作動させてはいなかった。戦闘機のレーダーを照射されていることは、電子戦装置を装備しているF15には気付かれる。そうなったら、F15は増速して、彼等の追尾は失敗してしまう。そこで、呉は部下達にレーダーの使用をギリギリまで禁止。

その代わりにKJ600に追尾を継続させ、データリンクでF15を捕捉させた。

早期警戒機のレーダー波は珍しくもないから、J15よりは警戒を呼ばないはずだ。

現にF15は巡航速度で飛行を続けている。


F15の後方から迫る「鮫1」というコールサインを付与された中隊は、早くもF15の後方100キロに占位。なおも接近を続ける。

J15はそれぞれ空対空ミサイルのPL15を4発。PL12を2発。PL10を4発搭載している。

PLA自慢の空対空ミサイルPL15の射程は最良で200キロにもなる。

数か月前にパキスタン軍がインド軍のラファールの撃墜に成功し、その高性能を証明したばかりだ。

だが、今は条件が悪い。逃げる相手を追いかけるように撃った場合、実際にミサイルが飛翔する距離は遥かに伸びる。ロックオンされた相手は加速して逃げるから、さらに伸びる。

そういう事情があるから、この位置関係で、確実に撃墜するためにはPL15をもってしても、20キロ程度まで近づく必要があるのだ。

「鮫1」中隊長は少し焦っていた。ぐずぐずしていると、敵の斜め前方から周り込む「鮫2」中隊が先に攻撃するかもしれない。


戦闘機のレーダーは後方には向けられないから、F15は背後から迫るJ15に気付いていない。地上のレーダーや、早期警戒機からの支援があれば話は別だが、前者は範囲外。後者はこの空域から追い払われるか、撃墜されている。


「鮫1」中隊長は、ヘッドアップディスプレイと、水平戦況表示を交互に見ていた。前方の敵機との距離は順調に狭まっていき、今や80キロを割ろうとしている。


その時、ディスプレイの敵機との距離表示が急速に減り出した。中隊長の上尉は変化を見逃さなかった。

「ん?何だ?」

続いて警告。電子戦装置はF15のAPG63レーダーに探知されたと言っていた。

状況から考えて、敵が反転したらしい。

ということは、位置関係は正対だからPL15が使える。だが敵もAAM4を使えるはずだ。

(気付かれた?直ぐに撃たなくては!)

彼は、レーダーを作動させてF15をロックオンする。


だが、一時的に急減した距離表示は、再びゆっくりと減っていた。

(ということは・・。)KJ600から無線が入る。

「鮫1。敵機は360度旋回して元の進路に戻った。周囲に敵がいないか探ったんだろう」

「了解。これで我々の存在は見つかったな。小癪なヤツめ」

「敵機は加速したぞ!逃げる気だ」

間髪入れずに福建のオペレーターを介して呉の指示が伝わる。

「鮫1。加速しろ。レーダー使用。逃がすな」

無論「鮫1」の中隊長はそのつもりだ。


呉はディスプレイの変化を評価した。慎重な索敵行動で接近するJ15に気付いたF15だったが、加速したものの、その速度は中途半端だ。アフターバーナーは使っているようだが、マッハで1.4しか出してない。これならマッハ2近くを出し始めた部下達から逃げきれないだろう。

(大東島での給油が足りなかったか、民間規格の燃料で全速が出せないのだろう。もう手遅れだ)

微かな胸のうずきを感じる。女を殺すことに抵抗を感じているのだ。正直、たった一人で多数のJ15に追い回される敵の女性パイロットに憐みすら感じていた。

彼は首を振って、気分を落ち着けるため当番の兵にコーヒーを頼む。


逃げを打ったものの、F15の命運は尽きようとしている。間もなく相対距離は20キロに近づく。「追い撃ち」でもPL15を命中させることが出来る。

(これで中国海軍初の敵戦闘機撃墜の栄誉は俺のものだ)

中隊長は興奮しつつも、戦況表示をチェックする。目視で周囲も確認する。大丈夫だ。周囲には邪魔をしそうなヤツは居ない。安心して目の前の獲物を料理できる。

彼は思わず舌なめずりした。


その時だった。中隊長のヘルメットに耳障りな警告音。

「何!!?」

電子戦パネルを見る。正体不明の戦闘機用レーダーに探知されている。同時にロックオン。発信源の位置は正面。しかも至近だ。

興奮していた中隊長は、いきなり氷水を浴びせられた気分になる。

彼は混乱していた。戦況表示パネル上には敵が居ないのだ。J15レーダーは作動しているのに。


オペレーターを通さず呉から直接指示が飛んで来た。

「何をしている!鮫1!回避しろ!敵のステルスだ!」

「!!?待ち伏せか!」

それでようやく彼等は事態を理解した。

4機のJ15は散開して緊急回避機動を打つ。だが遅すぎた。

中隊長は電子戦パネルに新たな逆探知が複数表示されるのを見た。

その電波源は既に世界の紛争地域で十分に採取されており、PLA戦闘機部隊のデータベースに間違えようのない程データが記録されているものだ。

(AIM120Cか!この距離で!)

正面30キロで臨時飛行隊のF35Bが放った空対空ミサイルは、高速で飛行していた鮫1との距離を瞬く間に詰める。そして回避を始めたばかりの彼等を打ち砕いた。


ディスプレイから鮫1の表示が消えた。4機共。

F15は何事も無かったように東進している。

「女狐め!」

呉は吐き捨てる。敵のパイロットに同情した自分を恥じていた。

(どんな女か知らないが、自分を囮にしてステルス機が待ち伏せしている空域に我々を誘い込みやがった。なす術のない振りをして、中途半端な速度で逃げて。あのレーダー探知のための旋回も、味方へのリンクのためだったのだ!まんまと騙されて部下を失った!)


屈辱と怒りに震える呉の様子に、当番兵が準備したコーヒーを渡して良いものか逡巡していた。


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