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65 英雄との邂逅

 なんとか侵略者の一味を退けることができた。

 だがまだ油断はできない。

 ゴーレムに手こずるような彼らが魔法を一切使わなかったところをみると、火を付けた犯人は他にいるはずだ。


「やりましたねソロモンさん!」


「バーリャ、まだ侵略者はこの街に残っている。気を抜かないで」


「はい、すみません」


「これからどうすんだよ。農園はまだ燃えてるしよ。先に残りの侵略者を始末しに行くのか?」


 突然、石が転がる大きな音がした。

 音のしたほうを見ると、ゴーレムがその頑丈な体を打ち砕かれていた。

 今追い払ったばかりなのに、もう次の侵略者がやってきたのか?!


「まだ剛毅のチャームは使えそうだな」


「なぜここにいるんだ? 皆やられたのか。アルメだけいないようだが」


 大きな羽飾りの兜を被った男が困惑した表情をしている。

 隣には金髪の若い男の剣士もいる。


「あーこれは派手にやられちゃってるね。頭に一撃食らって一発ダウンとは」


「弱い魔物ばっかり相手にしてて油断してたんじゃないの? まあアーサーも人のこと言えないけど」


 どこからか3人目の女性の声がした。

 姿を消す魔法でも使っているのか?

 アーサーと呼ばれた金髪の男が右手に持った剣に目を向ける。

 

「え、そうかな? 俺ってそんなに隙だらけに見える?」


「隙だらけっていうか危なっかしいのよね。ほら、あそこにも新しい魔物がいるよ。あれも幻術の魔法がかかってるみたい」


 あの剣が喋っているというのか?

 剣はまるで1人の人格を持っているかのように感情豊かにアーサーと会話している。

 入力された情報を処理するゴーレムとは全く違う。

 まさか、この剣士も俺と同じくタルパの使い手だというのか?

 それにこちらの禍免橆韜晦による目眩ましも見破られているようだ。

 

「ほんとだ。おや? あれってもしかして俺たちが探していた悪魔なんじゃないか?」


 剣士が俺のほうをジッと見ている。

 探していたとはどういうことだろうか。

 誰かの仇を取りに来たにしては口調が軽すぎる。


「なあ君、俺たちはこの魔物の都市が強くなった秘密を探しに来たんだ。君がシーレーン姉さんと直接対決したっていう悪魔なら一番よく知ってるんじゃないか? 俺に詳しく教えてくれよ。なんならここじゃなくて俺たちの国に来て話してくれないかな?」


「ちょっとアーサー、なに敵に目的をバラしてんの! カッコつけてないでさっさと倒して吐かせなさいよ!」


「でもこれで穏便に話してくれれば誰も傷つける必要はないだろ? もう十分に街を荒らして脅したから素直に応じてくれると思うんだけどな」


 街を荒らして?

 こいつらが侵略者のリーダー格ということか?


「おい、農園に火を放ったのはお前か?」


「そうだよ。あんな危険な植物は君たち魔物の手には余るから退治しておいたよ。あ、そうだ。ついでに栽培する方法も教えてくれないかな」


「誰が教えるか! お前だけは絶対に許さねえ!」


「威勢がいいのは好きだけど、賢い選択をしたほうがいいよ。こんなゴーレムが束になってかかってきても俺の敵じゃないから」


 アーサーは背後から奇襲を仕掛けようとしていたゴーレムに、背を向けたまま拳を振る。

 拳が当たった部分からひび割れていき、ゴーレムは半壊して動けなくなった。


「石を砕くコツは、衝撃に弱い部分を気で感じ取ってそこに強い力を加えることだ」


「あんたは空手家か! ヒヤヒヤさせないでよ!」


 こいつは本当に人間なのか。

 手甲をはめただけの腕でゴーレムを倒す人間なんて聞いたことがない。

 さっきの侵略者集団とは別格の強さがある。


「バーリャは城に戻って皆を守って。パラスとレイはここにいるゴーレムを引き連れて他の場所にいる侵略者から住民を守って」


 ここにゴーレムを残しておいても倒されるだけだ。

 それなら2人に使ってもらったほうがいい。


「ソロモンはどうするんだよ!」


「ここでこいつを食い止める。早く行け」


「信じていいんだな。やられるんじゃねーぞ! パラス、行こうぜ!」


 ゴーレムを連れてパラスとレイが去っていった。

 

「ソロモンさん、必ず生きて戻ってくださいね」


 バーリャも城の中へと入っていった。


「アレリオン、他の班の心配をしてあげなよ。ここまで案内してくれて助かったよ」


「申し訳ありませんアーサー様。お言葉に甘えて、ここで失礼させていただきます」


 羽飾りの兜の男はゴーレムの包囲を抜けて、城門のほうへと走っていった。


「さて、これでようやく1対1、じゃなくてニミューを含めて2対1か」


 剣の声の主はニミューというらしい。


「タルパの数も含めるなんて律儀な奴だな」


「タルパ? なんだそれは? ニミューは俺がセレマイアの英雄になる未来に導いてくれる存在、この霊剣に宿った神使だ。どうやら君も神使に似た存在を使役するようだね」


「気を付けてアーサー。こいつからは微量な魔力しか感じ取れないの。でもあれだけの魔物を従えてるってことは何か力を隠しているみたい」


「その通り。能ある鷹は爪を隠すってね。それにお前らセレマイアみたいに力をひけらかして他人を傷つけたりはしない」


「何か誤解されているようだ。まあじっくり話そうじゃないか」


「俺にも聞きたいことは山ほどあるぞ。お前に回答リクエストしてやるよ。動けなくしてから洗いざらい吐かせてやる」

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