表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/103

14 石の人形

 俺は今、この岩を切り開いて作られた街ディルエットで悩み事がある魔物を探している。それは、この街のために文句の1つも言わずに一途に働き、時には身の危険を顧みずに戦いもするゴーレムたちの知能を高めるためである。そのためだけに俺はこの世界に転生させられたのである。

 

 だが、ここ2日は困っている魔物を見つけることができなかった。市場のことは専門家であるメルクルたちに任せっきりになっていた。あまりにもメルクルたちが要領よく仕事をこなしてしまうので、下手に俺自身がでしゃばるのは良くない気がしていた。その一方で、雷神鬼なんて勘違いで付けられた大げさな二つ名を持っている割に何も仕事らしい仕事をしていないのは、世間体が悪いような気もしていた。ただ、ヨルノンさんが言っていた通り、あれから俺に喧嘩を売ってくる奴はいないのは本当に都合が良かった。オークを一撃で倒したという噂は予想以上の効果を発揮してくれた。新しく得た魔法、通報電を試す機会が全くないのが残念だが。

 

 この街の魔物たちはしたたかなので、そう困っていることは多くないのだろうか。それとも誰も魔石掲示板の使い方が分からないので質問が来ないのではないだろうか。あるいは噂が悪く広まってしまって、俺に質問する魔物がいなくなってしまったのではないか。色々心配することもあるが、とにかく何か仕事をしなければいけないという気持ちだけが強くなっていた。俺が質問したいくらいだ。


 しかし今日も収穫はなかった。こういうことが続くこともある、と自分に言い聞かせるしかない。まだこの世界の事情どころか、城の中にあるものさえ全ては把握しきれていないのだ。まずはできることからしていこうか。


 城に戻るとまず研究室に立ち寄ってみた。体が大きくなったので、前とは部屋の雰囲気というか、印象が少し変わっていた。そしてこの時初めて、石の人形が床の上に無造作にたくさん置かれていることに気が付いた。そういえば、この世界に転生した時にイシュー様が人形をいじりながら話をしていたっけ。


 石の人形はどれもほぼ同じ形をしている。台座の部分までデザインはほぼ同じだ。しかし、この台座の模様はどこかで見たことがあるような……


『おめでとうございます! これでようやく初めて転生に成功しました!』


 ふいに、ヨルノンさんから初めて聞いた声を思い出す。ゾッとして石の人形から慌てて手を離す。もしかして、ここに転がっている石の人形は、俺と同じように、こちらの世界に転生させられて、そして意思疎通ができる段階まで意識を保てずに石のように固まってしまったものではないだろうか。これらがそうであると確証はないが、俺は直感的にそう思う。

 石の人形はざっと20はありそうだ。ここに転がっているもの以外にもあるとすれば、どれだけ転生に失敗したのだろうか。2人の知恵の塔システムにかける執念が尋常ではないことを改めて認識した。


 供養というわけではないが、雑に置かれているのも心苦しいのでどこかに綺麗に並べておこう。ヨルノンさんが知恵フクロウを通じて転生する魂を選別していたとすると、この人たちも元は知恵フクロウのユーザーだったのだろう。こちらの世界で情けをかけてやれるのは俺くらいだろうから、俺はこの石の人形を丁寧に扱わないといけない気がしてきた。


 自分の部屋にたくさん飾るのは誰かに見られているような気がして気味が悪いので、スペースにあまり余裕はないがこの研究室の隅に邪魔にならないように並べておこう。

 ちょうど並べ終わると、魔石板に俺宛の質問が届いているのに気が付いた。


<直接会って聞いてほしい 掲示板の前で今から待ってる>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ