モーニングスタイル
モーニングとモーニングというダジャレですから気にしないで
ペントハウスに戻ると、先ほどまで寝ていたモデルたちがメイド服を着て、せっせとこまごまとした家事をしている。すでに、お日様は輝きを増していたにも関わらず、吸血娘はいつもの青っ白い顔からガングロ娘となり、肌を焼いてシャンパンを飲んでいた。そして、その横にはエルフのお姫様2名も・・・
カイトJr.はこの組み合わせとシチュエーションに悪寒が走った。
「おそようございます。お姫様。おやすみなさいじゃないの?リース?」
吸血鬼のリースはサングラスを片手で少しずらし、カイトJr.をまぶしそうに睨む。
「あら、こんな時間からお誘いするのカイト?でも少し待って、いまサキュバスのエイミに頼んでルナをここに呼びに行かせたのよ。だ・か・ら!ウフ!一緒に楽しみましょうよ。カイトJr.」
恐ろしく冷たいファムの視線を感じたカイトJr.だが、対照的に情熱がこもった眼差しを向けるミーユがいた。
その横からで、精霊神達がファムとミーユの中に入っていった。
「やはり、エルフの体はしっくりくるな、イースよ。」
「そうですね。今回は体は変化しないようです。ソフィア様、どうやら、我が入ったミーユは妖術士レベルの魔法使いだったようで、今、妖術で他のモデルたちを操ってるっているようなんですが、使えそうなのでこのまま働かせておきます。」
「器用じゃのミーユは!我が入ったファムはというと、魔力が少ないのー!地球で遊びすぎたんじゃないのか!我がはいらなかったら、精霊使いさえなくなってしまったところじゃぞ。スキルはハンティングじゃと!男をあさっていたんじゃないのか!このうつけが!」
カイトJrは精霊神ソフィアが一人でぶつぶつ言っているのが面白くなってしまい、思わず突っ込んでしまった。
「さすが精霊神様ですね。懐が広い!さりげなく、体を借りたお返しに、能力を向上させるなんて・・・なんてすばらしい偉大な力なんだ。フォム姫もミーユ姫も良かったですね。そうだ!この状態でも話ができるなら聞いていいですか?」
精霊神は思い出したかのように、精霊神はエルフたちに意識を戻した。カイトJr.は変わったのを見計らって尋ね始めた。
「フォム姫もミーユ姫様も聞いてください。メアリー第一姫様の上に兄がいませんでしたか?」
ファムは知らないようだったが、ミーユ第2姫様は懐かしそうに話した。
「おりましたが、オーガ襲撃の際、私と母君、そしてメアリーお姉様をかばいライズ兄様が亡くなられましたわ。生きてれば今頃、エルフの国王になられたでしょう。そのおかげで、私が婿を取らなきゃいけないのよ。でも、もっと悲しいのは、ライズ兄様のフィアンセ・・・・竜人のお姫様・・・もっと早く結婚していれば、オーガ達に襲われずにすんだかもしれなかったわ。」
少し愚痴のはいったが、カイトJr.もう少し聞き出す必要があった。
「そうなんだ。竜戦士ラーズって知ってるかな。」
今度は知ったかぶるように、ファムが答えた。
「泣き虫ラーズのことね。あいつなら、私を育てたといってもいいぐらいの奴よ。何せ、私の武芸の師匠なんだからね。でも、母と姉さんの話をしだすとすぐ泣くんだもん。」
「優しかったんだね竜戦士ラーズは。」
ファムは少し怒ったように言った。
「でも、泣き虫ラーズは約半世紀前に竜人の王様になっちゃたのよ。あんな綺麗な人とくっつくなんてさ。聞いてないよ。まったく!私はてっきり、はぐれ竜人って聞いてたのにさ。」
カイトJr.は改まって少し怖い顔で聞いた。
「メアリー姫と竜戦士はとはすぐ連絡つくのかな?」
ミーユは不思議そうな顔をしながら答えるのであった。
「メアリー姉さんは最近もエルフの同胞に巫女の修行をつけてたわよ。私のお付きのサーシャと妹のシェールも一緒に教わってるわ。皇后になって、少し暇ができたからだって。でも、こないだの話だと、新しいこと始めたって言っててけどね。ラーズ王は竜人族の国に行けば会えるんじゃない?」
「すんなり合わせてくれるかな?」
ミーユは手を天にかざし、エイという掛け声で指輪を出した。
「私のこの指輪を持っていけばラーズ王に会えるわ。私はラーズ王の秘密を知っているからね。」
指輪を受け取り、カイトJr.はめんどくさそうにいい返した。
「ラーズ王が死んだライズ王子の生まれ変りってことだろ。」
ファムは目が飛び出るくらい驚いた。
「えーーーーー!うっそーーーー!まじでーーーー!」
ミーユもなんでカイトJr.が知っているのか驚いた。
「なんで知ってるの!ライズ王から聞いたの?」
カイトJr.は首を振ってこたえた。
「勇者フィリップ王子に教えてもらったよ。なんでも、メアリーとラーズは同じパーティで魔王と戦ってたんだって!こっちも驚いたよ!」
ファムとミーユは腰を抜かしたように震えながら聞いた。
「勇者フィリップ王子は死ん出るんですよね。メアリーお姉さまも一緒に死んじゃうくらい悲しんでましたわ。」
カイトJrはファムとミーユの記憶を思い出させようとした。
「さっき、お姫様たちが起きてシャワーを浴びようとしたとき、フィルに会わなかった?」
ファムはそういえば会ったよな、会わなかったような顔をした。
「フィルがどうしたのよ。彼はいい人よ。異世界人を差別したり、男女の差別さえしない聖人みたいな人よ。そうだ、ミーユお姉さま紹介しますわ。彼を嫌いなエルフはいないわよ。人徳というより、エルフ徳にあふれる人なんだから!」
カイトJr.はそうまで言われると逆にいいづらくなったが心を鬼にして告げた。
「実は・・・フィルは勇者フィリップ王の生まれ変りなんだ。メアリー妃の旦那だった人・・・なんだけど・・・ミーユ姫は勇者フィリップ王に会ったことありますか?」
ファムは泡を吹きそうになった。
「フィルって勇者フィリップ王で転生者なの!!」
同じようにミーユ姫も、朝のあの惨劇後状態を義理の兄に見られたかと思うと恥ずかしさで顔をあげれなくなった。
カイトJr.は二人のエルフの姫にフィルと精霊神達から聞いた話をした。すると、ミーユ姫がラーズと竜人族の姫と結婚したことに納得がいった。
「よかった~。あの竜人族の王妃はてっきり、ライズ兄様が死んで、若い男と結婚して、エルフとの協定を破棄しようと画策してるんだとおもったわ。でも、転生した、ライズ兄様がエルフから竜人に転生したなんて、ロマンチックだわ~ファム。」
「でも、自分が死んだエルフの骸にかけた呪いのせいで、会えないにもかかわらず約20年ぐらい祈り続けたのよ。王妃の愛は本物だったのよ~ミーユ姉さま。そういえば、魔物使いで有名だった勇者フィリップ王の魔獣たちはメアリーお姉さまはどうしたのかしら?」
カイトJr.は魔獣という言葉に気になってしまった。
「フィリップ王の魔獣ってどんなの?強いの?」
メアリーは笑いながらはぐらかした。
「フィリップ王の趣味みたいな魔獣達だよ。うふふ。」
気になってどうしようもなかったが、そこに、サキュバスのエイミと狼人のルナがやってきた。
ルナはカイトJr.を見つけると駆け寄って抱きついた。
「大変大変。昨日の夜、ルーフ姉さんと前政略結婚させようとしたグループがこの近くで壊滅したんだって。そのせいで、私も、朝早くから犯罪対策課に呼ばれちゃったんだよ。昨日は満月だったんで、疲れちゃってるのにさ。カイトJr.何か知らない?」
カイトJrは犯罪対策課にいったら聞いておくと告げると、吸血鬼のリースがこんがりと日焼けしているのにたまらず、足をなめはじめた。
「昼間のリースはもっとおいしそうだね。食べちゃいたい。」
リースもサングラスを外しルナをみつめて、足元にいるルナに手を伸ばした。
「私も、昼のルナを飲み干したいわ。」
見つめられたルナは、いきなりリースの爪でリストカットして、服を脱ぎはじめた。リースは優しくルナの血をすすり始めた。うれしそうにルナはリースの耳元で囁いた。
「昼の私もおいしいでしょ。昨日は満月だったから、いっぱい味わってもいいよ。」
リースは一滴も残さず、ルナを抱えてプールの上のマットに飛び乗った。優しく水面の揺れを楽しむように。ルナとリースは戯れはじめた。
サキュバスのエイミは悔しそうにしながらも、昨夜の疲れも見せずに、エルフの魔法にかかった、モデルたちをペントハウスのベットにいざない始めるのであった。
あまりにも、妖艶な雰囲気に変わってしまって、危機感を覚えたカイトJr.は大根役者のようにふるまいはじめた。
「そうだ!こうしてられない。精霊神が地球にいることを知られてしまえば、竜人族との争いの種を生むかもしれない。早く竜人のもとに誤解がないようにいかねば!」
そういうと、水着のような下着姿のエルフの姫様をそれぞれの腕に抱きかかえて、転移魔法で消えようとしたとき、魔法陣が消えてしまった。
どうやら吸血鬼のリースが強制解除したようだ。
「これこれ、カイトJr.今、エルフにいかれてしまうと、太陽のせいで焼け焦げてしまう。地球がくれた、太陽光カットクリームより、エルフの魔法のほうが性能がいいものでな!」
カイトJr.がしどろもどろしていると、リースがエルフを狙っているとわかった。
「カイトJr。用事があるならば一人でなんとかすれば。エルフたちが良ければ、地球のファッションアイテムなんかをショッピングしない。もちろん、知り合いのデザイナーブランドであればもらえるかも?そうだ、モデルしてみない。事務所も紹介してあげる。だ・か・ら!しばらく遊んでいけば~。」
突如、エルフの体から意識が変わり精霊神が現れる。
「面白そうだ!イースもついてこい。」
「もちろんです。ソフィア様が行くところであれば、どこまでもついてきます。」
カイトJrは行く気満々だよ。あのチャライ精霊神はとブツブツつぶやきながらも明るくその場を立ち去るのであった。
「精霊神様!ゆっくり、地球を堪能してくださいね。1週間ぐらいしたら顔出しますね。では!素敵な良い日を!」
魔法陣をパッと光、包み込まれるようにカイトJr.は消えてしまった。
カイトJrは犯罪対策課の前に魔法陣とともに姿を現した。そして、服のポケットの中にあった、ドリンクを飲み干した。
「効くー!今日も徹夜で頑張るぞー!ってまだ昼か!でも飲んじゃったし、このまま行っちゃうかな~」
やっぱり、カイトJr.もチャラい奴の部類に入ると自分で反省しながらも、ゼロに連絡するのであった。
「ゼロ、今、犯罪対策課の前にいるけど、話せる?」
「悪い昨日の事件のせいで寝てないんだ!」
そういいながらも、ゼロは昨日起きた、人狼たちの腹いせ襲撃事件の概要を話してくれた。カイトJrはゼロに少しは寝ろよと告げ、一人、街を歩き始めた。
歩きながら、今後の人狼対策について感がていると、ジュドーから連絡があった。
「カイトJr.ちょっと、昨夜の事件がらみで大きな事件になりそうだから潜伏して情報を集めるから当分連絡できないと告げられた。」
カイトJr.は心配になり、ショウに連絡すると鬼気迫るような声でまた後で連絡をすると断られた。
突然一人ぼっちになったような感覚に襲わられたカイトJr.は突然思いついたように魔法陣を発動させた。
カイトJr.は英国紳士のような服装になり、シルクハットをかぶり、ステッキを持ち、蝶ネクタイを結び直した。インテリジェンスあふれる眼鏡をかけると、その格好で、フィクサーニックに会いに行くのであった。
「地球連合国家の対異世界人交渉人のカイトJrです。ご報告とお願いがあります。」
そう伝えると、ニックは手を叩きながらカイトJrと話だした。
「フィルから先ほど聞いた。君も今から異世界に行くのであろう。この者もつれていくといいぞ。」
すべてお見通しのようなニックに委縮してしまっていた。
「こんにちはカイトJr.我は神造魔神だ。19790721と申す。フィルの呪いは解けたぞ。我らは今すぐに竜人族のもとに行こうではないか。」
すかさずニックはカイトJr.に言った。
「エルフのお姫様は大丈夫だぞ。精霊神たちもな!竜人族のラーズ王は危険な存在かもしれんから、19790721が守ってくれるぞ。」
カイトJr.はさわやかな顔でミーユ姫から預かった指輪を見せた。
「私には、切り札がありますから。任せてください。終わったら、報告に来ますので!」
カイトJrと19790721はフィクサーニックに軽く会釈をしてその場から異世界のエルフの国に転移するのであった。
ぼちぼち更新します。




