勇者フィリップ王子
パソコンの調子が悪いぜ。
フィル→前世→勇者フィリップ王子(魔物使い)
精霊神ソフィアはうなずくフィルの顔を覗き込んで思い出した。
「よく見れば勇者フィリップではないか、お主も老けたの~。見ろイースよ、別次元の魔王を倒したあのフィリップじゃぞ。」
カイトJr.は何が何だか、突然のことで理解に苦しんだ。
フィルは先ほどまでの、少し男色家を気取ったような態度を改めた。
「精霊神様、その節は、我にはふさわしくないほどの力を与えてくださりありがとうござます。しかし、我が嫁だった、メアリーがとんでもないことにかかわっているやも知れず、精霊神ララ様に聞き、お二人ならしってるやもしれないとわかり、お話をしたいと思っておりました。」
よけいカイトJr.はパニックになった。
「何、何、何、フィルは独身じゃないの!吸血鬼のオーナーとつきあってるんでしょ?」
フィルは指をパチンと鳴らした。その瞬間、カイトはしゃべれなくなった。
「カイトJr.ちょっと大人の話をしなくてはならないから、魔法をかけさせてもらったよ。納得がいかないみたいだから少し私の話をしよう。」
フィルはそういうと、自らのことを話し出した。
フィルは魔王を倒すために異世界の神官によって、地球から転生して異世界のパル王国に王子として生まれた。生まれたとき精霊神の加護を受けたため、順調に勇者となって活躍した。しかし、別次元の異世界から、エルフの巫女がやってきた。どうやら、別次元の異世界の勇者は倒されてしまったので救援を頼まれた。そして、そのエルフとパーティを組み別次元の魔王を倒したが、その時のケガが元で、死んでしまった。
精霊神ソフィアは補足するように話をした。
「別次元のフィリップ王子とエルフの第一姫メアリーは結婚して、エルフ勢力で魔王討伐をはかったんだがフィリップは死んだのじゃ。悲劇のヒロイン・エルフ・メアリーは異世界の勇者フィリップ王子に助けをもおめたんじゃ。そこにいる勇者フィリップ王子は我らの加護のおかげで、魔王を倒したのはいいが、あまりにもエルフ・メアリーに一目ぼれしてしまったので、異世界でも結婚したのじゃよ。だから、フィリップもメアリーも、ある意味2つの世界の王と王女になったんじゃ。しかし、幸せは続かなかった・・・一人の息子を残してフィリップは死んでしまった。2人の愛するフィリップを亡くした悲劇のメアリーは、あまりの悲しさから・・・呪いをかけたんじゃ。まー呪いというか希望をな・・・」
イースは手の平に火の玉を出し、そこに映像を映し出した。
「メアリーは、勇者フィリップの骸に祈りという呪いを施し、魂の異世界転生を願ったのじゃ。しかし、それは『悲劇の回帰』というものでな・・・異世界に今まで得たスキルと経験や記憶すべてをもって転生できるという術なのじゃが・・・それを施した者と再会すると転生者は呪われ死んでしまうというものじゃ・・・ただ忘れてほしくない・・・生きて忘れないでいてほしいという悲恋の術・・・をエルフの巫女の願い・・・これが時空のハザマに伝わる話で、精霊神の力でもこの呪いを解くことには及ばなかった。すまんフィル。」
フィルは指を天にかざした。指からは光の玉が出て、夜空に一輪の花火の大輪を咲かせた。
「精霊神ララ様と転生天使オーマ様のおかげで忌まわしき魂にかけられた呪いを解くことができました。今すぐメアリーに会いたいです。しかし、精霊神様。メアリーはもしかしたらソウルシフターと神造魔神に我にかけた呪いを解くために協力しているかもしれないのです。・・・どうか、私にお力をお貸しください。」
二人の精霊神の体が一段と光だし、畏怖すべきほどのオーラを放った。
「ソウルシフターに神造魔神って・・・メアリーは魔精霊を生む手伝いをしてるのではないか!!」
「ソフィア様・・・確か今のメアリーは神官以上の魔術を使えるハイエルフを超す存在にまで魔力を有していますぞ。」
「イースよ・・・もしかしたら、勇者フィリップ王の呪いを自ら解こうとしたからか・・・」
「違います。たぶん、それでも呪いを解けるまでには至らず、神造魔神とソウルシフターと結託して魔精霊の力にすがったのかもしれんぞ!これは不味いな!」
フィルは首を振りながら話した。
「メアリーは関係・・・ないとは言い切れません。しかし、本人にあってみないと真実はわかりません。どうか我にお力をお貸しください。ただ、真実の愛をあきらめた男が再び真実の愛を取り戻せる唯一のチャンスなのです。」
一途なフィルの思いとともに、魔法が解けたのか急に声がよみがえったカイトJr.はここぞとばかりに詰め寄った。
「女が好きになれない理由は、エルフの奥さんの為だったのかよ。だからって!愛に飢えてるからって男に走るなよ~バカフィル。勇者ならあとどんなスキルがあったんだよ~教えろよ~!」
急にテンションが高くなったカイトJrは、いつもならフィルには触ろうとしなかったが、今日は肘で突っつくほど絡み始めた。
「カイトJr.俺の勇者の一番のスキルは魔物使いなんだよ。だから、こんな風に、いきなり、魔物を召還できたりするんだよね。」
一瞬でカイトJr.は蝙蝠の大群に空高くさらわれてしまった。
遠くの方で声がする。
「ごめんなさーい・・・・もう、ゆるしてくださ~い。・・・」
フィルはあったかいコーヒーを入れなおして口直しにケーキを一口食べる。
「精霊神様、実は昨夜、フィクサーニックはエルフのお姫様を接待しようとした際、地球で確保した神造魔神を使って、エルフの星のダンジョン調査をしようとお願いしようとしてましたが、精霊神ララ様からソウルシフターの話と魔精霊の話を聞きまして、精霊神ソフィア様とイース様に話をしなければならないとわかりましたので。ご指示を戴きたい所存です。」
ソフィアは漲るオーラを抑えながら問い直した。
「やはり、ララも魂の重合反応にソウルシフターの可能性を見出したのか。裏で操るものが神官クラスのハイエルフとはな。もし、我々精霊神数体の結合魂を利用されたら、本当に魔精霊が生まれてたかもしれんぞ!イース将軍これはひょとして、あやつらもかかわってるのか!」
イース将軍のオーラはソフィア姫の言葉でオーラが消えてしまった。
「勇者フィリップ王。お前はメアリー以外の魔王を倒したパーティを覚えてるか!」
フィルは今更何をいってるんだと言わんばかりに答えた。
「当然です。我、勇者フィリップと妻のエルフ巫女・メアリーに我が魔術の師匠の娘である魔術師見習いシャナに、そして、異世界同盟関係にあった竜人族の竜戦士ラーズ。」
イースは姿を変えた。フィルは驚いたような顔を見せた。
「魔術師シュナイダー師匠がどうして精霊神???」
イースは少し挙動がおかしくなっているが、もじもじしながらも話をし始めた。
「実は、あまりにもメアリーが可哀想なのでフィルにかけた秘術も私が教えたのじゃ。それに、シャナは精霊神が造った傑作・ソウルシフターの亜人間タイプの精造霊人という魔法使いで・・・ラーズはエルフが転生したときに精霊神が少し手を貸した竜人なんじゃよ。ちなみに竜人ラーズは死んだメアリーの兄さんなんだよ。」
ソフィアがフィルに謝るように少し込み入った話をし始めた。
「フィル・・・なんとなくわかったと思うが・・・ラーズも実は・・・お前と同じ呪いを受けていたんだ。しかし、そんなラーズに片思いしたシャナの魔法によって、討伐した魔王の魂と骸を使い魔精霊をおみがえらせて、呪いを解いたことがあるんじゃ。そして、その自作自演を行うことで、その魔精霊も竜人によって倒されたんだがな。あまり詳しくは言えんが危険な奴らに変わってしまって、我ら精霊神も何人かそのとき犠牲になってしまったんだ・・・メアリーもフィリップが死んだときからラーズとシャナに教えてもらっていたかもしれんぞ。魔王が倒されて、フィリップにかかっている魂の呪いが解ける可能性を・・・・」
なんたることか、こんなシリアスな場面に空高くからカイトJrが降ってきた。まさに空気がまったく読めない
男。
「ダドッガーン!!イテイテ。復活!!ハイハイハイ。竜戦士ラーズにフィルを同じ呪いをかけたのは誰?誰?誰・気になるー!もしかして、竜人に転生前のラーズの恋人エルフ?教えて!教えて!」
フィルはおもいきりカイトJr.をどつき、精霊神に謝った。
「精霊神様すいません。こいつは、耳がいいのが取り柄でして、ハハハ。そのおかげで今の職に就いたようなもので!カイトJr。うるさいから教えてやる。俺がパーティに組んでた時聞いたことがあるのは、前世で竜人族の姫と婚約していたことがあるって聞いたことがあるだけだ。だから、同じ竜人族にいることができずに、はぐれ竜戦士になってるってな。」
カイトJrは大きくうなずいた。
「たぶん、シャナはラーズの前世でも同じパーティだった可能性もあるんじゃないですか?イース将軍!」
ソフィアは関心したようにカイトJrをめいでるようにみた。
「よくわかったな。ちなみにそのとき、龍人族の姫に『悲劇の回帰』を教えたのはイース将軍ではないぞシャナなんじゃ!その責任から母のようにラーズを別次元の異世界で母となり恋人となったのがシャナなんじゃ。それを気に病んで、陰から勇者フィリップ王子の師匠と、シャナとラーズとパーティを組ませ、なり見守ったやさしい精霊神がイース将軍なんじゃぞ。」
カイトJrは精霊神の手と手をとっていった。
「そんなイース将軍を許可したのがソフィア姫でそれをわかって一生懸命なイース将軍なんですね。惚れ直しました。」
二人の精霊神はまた光をまとい輝きだした。
「まあわかればいいぞ。カイトJr。われらもお主が気に入ってるぞ。」
照れる二人を見てカイトJrはニコニコした。そして竜人の恋人の正体をズバリ言い当てた。
「ラーズがエルフだったときの婚約者って竜人族のアルマ姫ですよね。呪いを解けたら会いに行けばいいのに、よっぽど精造霊人のシャナが大切なんですね。それとも、シャナに返せないような大きな借りがあるんでしょうねえ。例えば妹メアリーの願いもその一つかもしれませんねー。」
精霊神はフィルの顔をみながら大きくうなずいた。
「任せておけ、この精霊神がお前を助けようではないか。我らの使命としてな勇者フィリップ王子。」
あまりにも感激したフィルはジャンピング土下座をして感謝をした。しかし、あまりにも勢いよくしたもので、おでこを地面に打ち付けた。そのおかげで思い出したように答えた。
「もしかしたら、ソウルシフターの魂がサーバーに捕獲していると、言い忘れました。どうもすいません。精霊神様。・・・あ!!!まさか、シャナの魂を捕まえてるかも・・・・大変だ!!!早く研究所に戻らないと!!!」
精霊神は一瞬金縛りにあったように、あっけにとられたが、もう一度聞き直した。
「あと、言い忘れたことはないか。まー良い。我らも今から研究所に行きたいところだが、エルフを迎えに行かないとな。カイトJr。とりあえず我らはペントハウスに向かうぞ。」
フィルは大きく返事をしていこうとしたが一言いって転移していった。
「あとー・・・巨神復活の件はまた後で・・・では!ピ!」
カイトJrは突っ込むように追いかけた。
「フィル!巨神ってなんだよ。気になるじゃないかーい!」
精霊神はさっきまでのやる気に満ちた顔から一瞬で青ざめたようだった。
「まさか、巨神が復活するわけないよなイース将軍!」
「そうですよね。精霊機鋼巨人戦争はもうおきませんよ。おこさせません。ソフィア姫。」
「そうだな。安心したぞ。・・・でも、まずいことにならなければいいが!」
あまりにも同様している精霊神を見かねたカイトJrは恐る恐る巨神の話題に触れてみた。
「精霊機鋼巨人戦争って・・・少しだけ、聞いていいですか?」
落ち着かないようイースが答えるのであった。
「巨神が生まれた星で、精霊を味方につけた巨神と、兵器を身にまとった巨神との戦争があたんじゃ。それが発展し、いつの間にか巨神の星はなくなってしまったんじゃ。それは、この宇宙を滅ぼすほどの戦いというても過言ではないほどの恐ろしかったんじゃ。」
カイトJrは何やら、竜人族にかかわる秘密も隠されていると確信した。
「竜人族の追ってから隠れるように時空のハザマの民となった精霊神がこれほど動揺するなんて、まさか、兵器を身にまとった巨神って、竜人族に関係あるんですね。」
ソフィア姫が落ち着くように深呼吸するように目をつぶった。
「機鋼を身にまとった巨神の兵器技術を竜人族が引き継いでいるんじゃよ。巨神が滅んだ星に失われたロストテクノロジーを解明して、独自でその兵器技術を使いこなす、ある意味、オーバーテクノロジー兵器をな。」
そのオーバーテクノロジー兵器を生み出した巨神の存在をサラッと触れて消えたフィルはやっぱり大物かもしれないと感じたカイトJr.だった。だが、とにかく、今は精霊神たちを華麗にエスコートしてペントハウスに戻るのであった。
ぼちぼち更新します。




