呪われた血
新たなる交渉
一眠りしたカイトJrはクラブに出かけていた。昨夜は待ち合わせしていたクラブとはいえ、クラブの様子をよく観察した。ここは、少し変わっているとは感じていたが、多種多様な異世界の種族が出入りしていた。しかし、トラブルらしいものは一切なく、まさに中立地帯のような場所らしい。さらに、情報交換や出会いの場所というより、避難場所といったほうがよさそうである。訳ありな3人組がはいいてくるや、カウンターのボーイが目線で合図すると、黒服が来て、VIPルームの隣のスタッフオンリーの通路に案内していた。そんな風に、店内を観察していると、一杯のマティーニが運ばれてきた。コースターには、『ようこそ、ミラヘブ』と印刷してあり、手書きで『恋をしませんか?』と書いてあった。
「粋な演出しやがって。マスター、この酒のお返しをしてしたいんだが。」
「よろしければ、別室を用意しましょ。直接お話しされたほうがよろしいではないですか。」
「ああ頼む。」と言って、チップを渡した。
別室に通されると、そこには、フィルがいた。カイトJrは食い気味に「なんで、あんたがいるの?」
「まあ、焦るなよ。恋の準備ができてるって事かい。」
「ふざけるなよ、フィル。この店を観察してたら、気になって仕方なかったんだよ。」
「だから、引っ掛かってみたというわけだね。」
「ああ・・・その通りということにしてくれ。」
「まあいいや。昨晩、吸血鬼のリースにあったらしいな。リースのお父さんが連絡してきたよ。」
「でも、なんで連絡があったとしても、フィルがいるんだい。」
フィルはまじめな顔で、
「カイトJrを守りに来たというべきか、責任をもって紹介するために来たといったらいいのかな。」
「どういうこと、そんなに偉い方なのか、リースのお父さんて!」
「まーそんなとこだ。ちなみに、このクラブのオーナーだよ。」
「カイトJr聞いていいかな。君の血には少し特別な成分が入ってるみたいんだが知ってるかい。」
「何、突然そんなことを言い出すんだいフィル。何か関係あるのかい。」
「まあいい。担当突入に言うよ。君の血はまるで、妖精の血のように美味しいんだと。あまりの美味しさに真昼でも歩けるようになるらしい。まー冗談はさておいて、突然オーナーが紹介しろと言ってきたんでな。」
「そんな、偉い人なの。いいや、直接話してみるから。」
フィルは呆れていると、後ろにオーナーがたっていた。
「こちらが、カイトJrかい。フィル」
「ビックリしたよ。ヴァン。君が今日カイトJrに会いたいっていってきたから。」
「そんな事いうなよ。俺と君の関係だろ。やさしいフィル。」
「君にはかなわないなヴァン。カイトJrもいるんだし用件を聞こう。」
ヴァンいわく、地球連合国家に頼み事があって、カイトJrには地球連合国家側の交渉人と地球在住の異世界住民の交渉人にフィルを頼みたいと言ってきた。どうやら、テロリストと間違えられ殺された仲間もいる、だからこそ、地球連合国家と新しい関係を築きたいらしい。
「フィル、カイト聞いてほしい。俺たちはテロリストではない。すべての仲間の情報を提供しよう。そして、仲間を地球の発展のために研究材料にしてもいいと同意も得ている。」
「なんでそこまでして、地球連合国家と交渉したいんだヴァン。俺は君たち側の交渉人なんだぞ。」
「フィルありがとう。このままでは、地球在住の異世界人は滅んでしまう。せっかく君には人工血液を供給してもらっていても、テロリストと間違われて滅ぼされる運命なんだ。」
「わかった、君たちの保護を交渉しよう。だから、もう少し正直に話してくれないか?」
「何でもお見通しなんだな。俺たちは君たちから見れば異様に見えるだろう。昼間も歩けない吸血鬼だが、今の地球の技術からすれば、そのうち、昼間も歩けるようになるだろう。同様に、他の種族も呪われた血も特異体質の改善として解決するだろう。願わくば、我々だけのために、異世界を見つけてくれる可能性さえある。中には、判断を間違って、テロリストに落ちる馬鹿な種族をいるだろう。」
「何か確信を持ったんだね。ヴァン。」
「いやいや、カイトJrの存在が確信といってもいいのかもしれないな。」
「なんで俺が?」
「単純だよ。普通なら、人狼や吸血鬼の類と交わろうとはしないだろう。カイトJr君。」
「ヴァンさん。そんなことはないでしょ。いい女じゃないですか。」
「カイトJr、だから君なんだよ。人種や種別の偏見もなく、ましてや君の信頼も厚いからねフィル。」
「カイトJr、約束しよう。テロリスト撲滅を約束し、地球連合国家に忠正を誓おう。」
「ヴァンわかった。地球連合国家に話を持ってく、その代わりに君たち同様に交渉したい奴がいたら声をかけてくれ、今後の交渉もスムーズにいくだろうからね。」
「もう一つお願いがあるんだ。カイトJR君だから頼めるんだ。リースと子をもうけてくれないか。」
「吸血鬼は子供を産めるんですか。」
「違うんだ、君との血縁関係を築きその結晶があれば、我らの関係がより強固になるだろうからな。聞いたことがあるんだ。遺伝子組み換え技術というものをね。君たちの技術ならば可能だろフィル。」
「そういうことか。上手くいけば、地球連合国家の国民にもなれるからな。ヴァン」
「話はまとまった。今日は楽しもうじゃないか。いい返事を楽しみにしているよ。カイトJR君。」
席をたったヴァンの後には、リースとルナがやってきた。その後ろにモデルらしき女性もたっていた。
「カイトJr昨日は楽しかったよ。実はその話を、サキュバスのエイミにしたら会わせろって聞かないの。」
「こんばんわカイトJr。私はエイミ、あなたの愛の奴隷よ。よろしく。」
今晩も徹夜で話を聞かなければならなくなったカイトJrが応援を求めたのは一回では聞かなかった。
次回はサキュバス
ぼちぼち交渉します。




