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未来へ奏でるピアノ  作者: キノぴょ


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9/10

第9楽章 音を奏でて、奏でて

 音タノ駅前の大盛況は、その場のみ。

 次の日には、誰も忘れていた。

 冷めた世界である。


 New Tube(ニュー チューブ)

 投稿された動画も、話題にはならない。

 ピアノを上手く弾ける動画でなければ、再生回数は伸びないのだ。

 しかし、自称・電子の妖精ピアピアの中の人は、大感動したらしく、マイクくんと友達になった。


 ピアピアの中の人。

 長嶋シゲキ。26歳。

 青い髪の天然パーマの男の人である。


 ドレミ・ファソレストラン。

「感動したですよ。イイねですよ」

「演奏楽しかったよ。ありがとう。ピアピアさん」

「いやいや、こちらこそ。記録より、記憶に残る演奏でしたよ。また、やりましょう」

 ピアピアの中の人は、是非、シリーズ化したいという。

 再生回数を気にしないタイプらしい。

「ボクも、学生時代は、ピアノ大好きっ子だったんですよね。才能なくてあきらめましたけど」

 どこもかしこも、やはり、ピアノ業界は厳しいようだ。

 バイトをして、電子ピアノを買って、ピアノと関わることを続けて行きたいらしい。

「失敗しても、いいですよ。やりましょう」


 第9楽章 音を奏でて、奏でて


 ピアピアの中の人は、音楽のスタジオの人と仲が良く、無料で空いてる部屋を借りてくれた。


 無料スタジオ。

 電子ピアノを前に、この前にマイクくんに買ってもらった楽譜の他のページをめくる。

 どれなら、上手く弾けるだろう。


「スローテンポなら、『翼』か、『夢の旅人』かな」

 マイクくんは、楽譜にドレミを書いてくれる。

 カナデは、恐縮してしまう。

 スタジオを借りてまで、練習する腕前じゃない。

『楽園のうた』が好き。

 でも、他の歌だって、簡単なのだったら弾ける…はず。


 30分後。

 練習しても、上手くできない。

「ごめん。思いつきました」

 あやまったのは、ピアピアさん中の人。

「1週間耐久とかにしましょう」

 1週間連続で、同じ歌を配信するのだ。

 ピアピアの中の人。意欲的である。

「1週間耐久?」

「アタシ、1週間でも、できる」

 カナデは、『楽園のうた』が大好きだ。

 小学生の時、知ってから、毎日、頭の中にある。

 意欲的である。

「良いですね。行きましょう」

「カナデちゃん。1週間耐久できる?」

「できる」

「…わかった。じゃあ、オレも歌うよ」


「マイクくんの、のどが心配よ」

「オレだって、カナデちゃんの指が心配だよ」


 少しでも、危なくなったら中断するという決まりを作る。

 New Tuber(ニュー チューバー)自称・電子の妖精ピアピアが見守る、挑戦企画を発表をする。


 “ピアノ大好き高校生カップルの1週間耐久挑戦”。

 決定。


 そして、1週間耐久『楽園のうた』投稿が開始した。

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