表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来へ奏でるピアノ  作者: キノぴょ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/10

第6楽章 弾くのが下手でも

 音タノ市立オンプ高等学校。

 早朝。ピアノ部。

 カナデは、マイクくんが買ってくれた楽譜を見る。

 簡単なドレミ。小学生レベルの音楽。

 でも、これが一番大好き。

 続けたいこと。

 ドの音を鳴らす。

 綺麗。楽しい音。音楽。

 上手く弾く人が優秀だと、誰が決めたのだろう。

 お金をもらって演奏する職業のためか。

 ただ趣味で続けたい。

 でも、夢がある。

 小学生の時から、大きなホールでピアノを演奏したい。夢を見ている。

 ずっと、ピアノを続けたい。


「…カナデちゃん」

 あれ。マイクくんだ。

「音坂先生に聞いた。いつも、早朝に一人で練習してるって」

「ああ、そうなのよ。午後からじゃ、ピアノさわらせてもらえないから」

「ピアノ部って。他の子。誰も朝練しないの?」

「才能がある人たちだから、いいんじゃないの?」

「失敗した」

 マイクくんは、うつむく。

「カナデちゃんの全部知ってるつもりだったのに」


 第6楽章 弾くのが下手でも


「マイクくん。どうしたの」

「全部、知っていたいんだ。気づいて」

 マイクくんは、切実に言った。

 カナデの全てを知りたいということ。

「何が」

「カナデちゃんの近くにいつもいたいんだ」

「あら、そう」

「ネガティブモードなの?」

「さあ、どうかしら」

 目つきが暗い。

 カナデのネガティブモードだ。

「ごめんね。今度からは、早朝練習にも、付き合うから」

「別にいいけど」

「オレが、一緒にいたいんだよ」

「何で」

「す、好きだからだよ。カナデちゃんのこと…」

「あら、そう」

 こんな、ピアノの才能がない女の娘を、好きな人なんていないだろう。

 カナデは、暗くなる。

「嘘ばっかり…」

「嘘じゃないよ。好きだよ」

「…」

「好きなんだ」


 ぎゅ。


 大好きなグランドピアノの座席から離れたくないカナデを、マイクくんは、抱きしめた。

「え。何よ…」

 カナデは、ドライだ。乾燥している。

 気づくのに時間がかかる。

「好き?アタシのこと?やめなさいよ。才能ないのよ」

 頭の中は、ピアノのことでいっぱいだ。

「マイクくんって人気あるじゃない。もっと女の娘を選んだほうがいいわよ」

「才能なんて気にしないでいいんだよ」

「アタシ、下手だもの」

「だから、気にしなくていいんだよ」

 幼なじみのカナデは、本当に小学生の時に『楽園のうた』を大好きになった。

 ドレミの音、一つ一つが大好き。

 目立たない地味な女の娘ではない。ピアノを大好きな、可愛い女の娘。

 マイクくんは、この女の娘が好きだった。

 カナデの一番は、ピアノ。

 でも、男の子の一番は、自分にして欲しい。

「アタシも…。マイクくん好きだけど」

 カッコよくて、優しい幼なじみ。

「じゃあ、付き合おうよ。キスしよ!ね!」

 顔を近づけるマイクくん。下心がある。

「は、恥ずかしいわ…」

 マイクくん、大声やめて欲しい。朝は、響くから。

 二人は、目を閉じる。ゆっくり、キスした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ