表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来へ奏でるピアノ  作者: キノぴょ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/10

第2楽章 鍵盤に指を当てて

 音タノ市立オンプ高等学校。

 早朝。ピアノ部。

 ドの音を鳴らす。静かな中に、素敵な音が響く。

 次に、レの音を鳴らす。

 綺麗な音だ。

 ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ…ド。

 綺麗につながる。

 楽しい音。心踊る音。余韻よいんが、ある。


 小学生の頃。

「音階…?」

「音楽の階段だよ」

 マイクくんは、カナデに教えてくれた。


 ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ…ド。


「ドレミファソラシがあって、繰り返すんだ」

「繰り返す?」

「ドから、上の音階のドに上がるんだ」

「上がるの?何、それ」

「下の音階もあるんだよ」

「え?え?わからない」

 カナデは、頭が混乱してしまう。


 思えば、昔から、この辺りでつまづいていた。

 ミスだらけなのも、当たり前か。

「あの頃のままが良かった」

 カナデは、静かにグランドピアノから離れた。


 第2楽章 鍵盤けんばんに指を当てて


 2年P組。

「ピアノのアイドル、石原ピリカだ」

「何て、美しいんだ」

「ピリカさまっ」

 クラスの男子生徒が騒ぎ立てる。

 金色の長い髪のお人形さんのような美少女。

 石原ピリカ。16歳。

 ピアノの天才。可愛い女の娘。

 ピアノ部の定期演奏会のアイドルだ。

 毎回、選ばれている。ピアノに愛された女の娘。


「…」

 カナデは、下を向く。

 ピアノを好きなだけ。才能はない。才能ゼロ。

 必ずミスをする。音を外す。


「ピリカさんの家には、グランドピアノがあるんでしょう。防音室にあるの?」

「…そうです」

 ピリカさんは、強気な態度で、楽譜を見ている。

「すごーい。この楽譜を全部おぼえてるの?」

「…当然です」

「うわあ。すごいぜ」

「すごい。すごい」


 別世界。いや、別次元か。

 もうピアノのレベルは、とてつもなく離れている。

 同じ人間の女の娘なのに、何で、レベルに差がつくのだろうか。

 ピアノ部の定期演奏会…出たい。

 でも選ばれない。すぐミスをするから。音を外すから。

 何度も、出たいと言う。でも、失敗する。

 だって、いつまでも、小学生レベルだから。

「カナデちゃん…」

 何で、失敗するんだろう。

「カナデちゃん!」

 あ、マイクくんだ。

「カナデちゃんのピアノ。聴きたいな」

「え…」

「オレ、合わせて歌うから。ピアノ演奏してよ」

「ちょ…」

 マイクくんは、自由すぎる。

 クラスの注目が、カナデとマイクくんに移ってしまう。

「失敗してもいいじゃん。楽しもうよ」

「あ…、あの…」

「オレ、カナデちゃんのピアノに、合わせて歌うのが、一番楽しいんだ」

 大きい声。歌い慣れてるから。声が大きくなる男の子。

 マイクくん。

 何で、そんなに優しいの。

 カナデは、ピアノの下手な女の娘。

 それがコンプレックスなのに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ