表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
90/93

変動


「……なぜ、スコーラオが」


タシトの額に、じわりと汗が滲む。


タシトは、王宮外周の監視地点から静かに身を引いた。


気配を残さぬまま。



朝の廊下。


正面から歩いてきたヨガサを見つけ、プラス先生は軽く手を上げた。


「今日もちゃんと登校してるな!先生は!」


「おはようございます」


ヨガサは、ぺこりと頭を下げる。


「どうだ?ヨガサ」

プラス先生は、どこか気にした様子で尋ねた。


「はい。不思議です。色が戻りつつあります」


「そうだろ!」


プラス先生は、満足そうに胸を張る。


「ただ最近は、調子が悪くて、あまり見えないんです」


「そうなのか?」


頭をかくプラス先生。


「ただ――調子が悪いだけなのか、それとも、誰かに移ったのか」


「移る?」


「はい。よくあることです。 ……“運命”が移ることは」


「また怖い話の続きか?」


後ろから現れたソードが、半ば茶化すように口を挟んだ。



軍本部。


「……数値が、安定しない?」


オッドーは、端末の光を見つめた。


モニター上には、複数の高能力者の波形データが並んでいる。


最近になって現れた、不自然な変動。


何かと干渉しているのか。それとも――レベルそのものが定まっていないのか。


「……軍が、気付かないとでも思っているのか」


低く呟く。


その時だった。


「最近、ずいぶん熱心ですね。オッドーさん」


背後から声が飛ぶ。


オッドーは、反射的に端末を閉じた。


「特殊部隊のやつらを見返しておかないとね。パワーバランスってやつですよ」


笑って誤魔化す。


だが、その通信回線は、オルデン・コアから極秘に取得した上位権限パスワードで接続されていた。


人目を避けるように、オッドーは人気のない通路へ入った。


再び端末を開く。


その瞬間――


端末画面に、見覚えのない表示が浮かぶ。


【不正アクセスを検知】


「――っ」


次の瞬間、回線が強制遮断された。


さらに。


画面には、オルデン・コア最高権限コードが表示されていた。


「……逆に、監視されていたのか」


背筋が冷える。



軍用エレベーターの扉が開く。


その向こうから現れた人物に、オッドーの喉が強張った。


「……タシト少佐」


周囲には、まばらに人影があった。


だが、タシトは気にする様子もなく、そのまま横を通り過ぎようとした。


振り向いたオッドーの口が、震えながら開く。


「あんたの知りたいことは……何もない!」


複数の視線が、一斉に集まった。


タシトは足を止める。


「……そうか」


それだけを残し、タシトの背中は軍本部の奥へ消えていく。


オッドーは、額に滲んだ汗を拭えなかった。


――あれは、本当に人間なのか。



(第九十章・了)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ