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囲いの中の意志

教室の閉じられたガラスの向こう。

晴れた空の下で警備ドローンが今日も飛んでいる。


タシト隊長の回りで、静かに何かが動いてる。

あの配置は、守る形じゃない。

閉じ込める形だ。

なら――ひとつ壊せば、何かが露出するかもしれない。


ユウナギは、授業中に窓の外を眺めていた。


俺も、いずれ特殊部隊に所属する。

大人の事情で片付けられる問題にしたくない。

カナタのことだって絡んでる可能性が大いにある。


タシト隊長は、離れた場所からシャインスフィアを出した。

一体、どうやっていたんだろ。


――あの時。冷や汗がにじんだのを思い出し、首の後ろを擦る。


力の差を噛みしめながらも、

すぐ横の窓の外に意識を置いた。


「駄目だ……念力じゃないのか」


手のひらにシャインスフィアを出す時は考えなくても、もっと自然に出来た。

ボールを受け取って出す感覚のように。


ボールを受け取る。どこで?


どこから来てる?


「ユウナギ・カーレン、聞いてるのか?」


「え?」


ユウナギは、授業中だということを忘れていた。


「答えてみろ」


「……すみません」


小さな笑いがクラスに響いた。


「お前、全く聞いてなかったな。ここに来れるのは一握りの人間だ。気を抜くな」

上官でもある特殊部隊戦略教官が怪訝な面持ちで聞いてきた。


「……分かってます」


「では、代わりにミルル・セーレン答えてみろ」


「状況を見て、危険度が高ければ身の安全確保にシフト、通信回復を待ちます」


「その通りだ。ユウナギ分かったか?」


「……すみません」


授業のざわめきが、遠くに聞こえた。


――もし窓ガラス越しに、あのドローンに届いたら

……試してみたい。


――いや、ここで下手に動いたらカナタに危険が及ぶかもしれない。



授業が終わると、

ユウナギは、真っ先にプラス先生のところに行った。

プラス先生なら、技を教えてくれるはずだ。


「どうした?ユウナギ」

事務室では、プラス先生が端末で生徒の提出物を確認していた。


「あの、話があるんです」


「……」


「……ちょうどいい。お前に用があった」


「え?」


「明日の休み、お前らの強化訓練先の惑星アストレアに下見に行くんだけど、お前も来い。見ておいた方がいい」



(第五十四章・了)


気づいてしまった違和感は、もう見過ごせない。


触れれば崩れるかもしれない均衡。

それでも――

進まなければ、何も変わらない。


次に向かうのは、惑星アストレア。


そこにあるのは、答えか。

それとも――さらに深い謎か。

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