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レノ・リンクシティ

そこはロゴゴタウンへ向かう中継都市。


レノ・リンクシティ。


交通と情報が集まる場所として栄える街だった。


「ミルルの父親が、昔この辺りに滞在していたらしい」


バーチがIDリングに送られてきたプラス先生の情報を確認する。


「……まぁ、手掛かりがここしかないんなら、ミルルに賭けるしかねぇか」ソードが辺りを見回した。


今日も多くの観光客とアンドロイドで賑わっていた。


「ミゲル、ちょっと口の回り汚し過ぎじゃない?」


女は笑いながら、男の口元をハンカチで拭いた。


「違うんだよ!このチョコレートパフェが濃厚過ぎて、旨すぎる」


「はいはい」


美男美女のカップル。

二人は談笑しながら街を歩く。


「ねぇ、サリー。あの犬、お花売ってるよ」


しっぽを振りながら花を売るアンドロイド犬、観光客に大人気だった。


「本当だ。可愛い」


「アンドロイド犬ってしゃべったりするのかな?」


「それ!思った! あの花、買って帰りましょう!」


サリーが笑う。


ミゲルも笑った。


『おい、お前らいつまで遊んでるんだ』


突然、声が響いた。


二人は顔を見合わせ、苦笑した。



「なぁ、バーチ。まじでやんのか?」


「……他にあるのか?」


バーチは手首のリングを見た。


「あの電波塔から市内の公共表示システムへ侵入する」


目の前には、都市開発以前から残る旧式の電波塔がそびえ立っていた。


「今は予備設備だ。監視も最新施設ほど厳しくない」


ソードが電波塔を見上げる。


「……それでも無茶だろ。どこで警報が鳴るか分かったもんじゃねぇ」


「表示するのは暗号だけだ」


「表向きは、☆◎▲‡……ただの記号にしか見えない」


「でも、ミルルなら分かる」


数秒表示できれば十分だった。


ソードが暗号を見て苦笑する。


「悪くないね……」


「……他に方法がない」


バーチは暗号を見つめた。



暗号を流すと、二人は電波塔から駆け下りた。


「いや、待て! 逆に怪しいって、走ったら!」


ソードが後ろから叫ぶ。


二人は人混みへ飛び込んだ。


「違う!先に待ち合わせ場所へ着かれたら終わりだ!」


後ろを振り返る。


「あ!危ない!」


バーチは、ぶつかった。


「いてて……」


ミゲルが身体を起こした。


「あっ……!」


サリーが座り込んだミゲルへ駆け寄る。


「大丈夫?」


ミゲルは服についたチョコレートを見て苦笑する。


「せっかくのパフェが台無しだ」


ミゲルはバーチを見た。


一瞬だけ、視線が止まる。


「……行こう、サリー」


「あ、すみません! 弁償します……」


バーチがIDリングに触れた、その瞬間。


「待て、バーチ!」


ソードが腕を掴んだ。


通行人が一瞬だけ足を止める。


だが、人の流れは何事もなかったように動き始めた。


ごく普通の恋人同士にしか見えない。


ただ、女の美しさだけが、妙に印象に残った。


ソードは去っていく二人を見送った。


「……」


「なんだよ」


「……いや」


二人は再び人混みへ消えていった。



(第百二十七章・了)


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