表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よくわかる日本の歴史 ~ただし、原始時代から日本にのみダンジョンがあったものとする~【第三部完】  作者: Mr.ティン
玖章 平安時代 後期 ~摂関政治の頂点と衰退 そして武士の時代へ~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

195/196

源氏物語は、全54帖の長編物語で、世界最古の長編小説とも言われている

連日、日付変わるギリギリでの更新になってしまっている……

(……はぁ。思わず見入ってしまったな)

(確かに、見るべき物は多くありました)


魔力の領域に映し続けていた、藤原道長の生き様を見届けて、俺は大きなため息をついていた。

隣にいるツクヨミも、すました顔をしているものの、色々と考え込む様子を見せている。

藤原道長という人物の人生は、それほどのものだったのだ。


歴史の知識は、精々人並みにしかない俺でも、藤原道長の名は知っていた。

勿論、その満月を見て詠んだ歌についてもだ。

しかし、大まかに宮中の権力を握ったという事しか、把握していなかったのも事実。

だからこそ、こうして彼の人生を──ひとりの貴族として、そして政治を担う者としての在り様に引き込まれてしまったのだ。


(実際、政治方針的には保守的と言うか、安定志向だったんだな)

(そのようですな。多少の揺れがあろうとも、世が乱れて居ないのであれば、あのような統治が妥当と言えます)


ツクヨミが言う通り、彼の治世においては、大きな乱などは起きていない。

まあ、酒呑童子などの怪異こそ暴れていたが、そこは俺にも責任がある部分なので、あえて横に置く。


端的に彼を表現するならば、家族ネットワークと人事操作を組み合わせる現実主義的な政治家と言った所か。

権力維持に重点を置いていたものの、その方針は穏健な調整と機会主義を併用したもの。

そういう調整重視の方策だからこそ、策謀と呪術渦巻く宮中のかじ取りをやり切れたのだと言えるだろう。


(……ただ、この世界ではさらに踏み込んでも居たな)

(ええ、魔穴の一元管理とは。不遜ではありますが、朝廷としては必要な事でしょう)


俺が驚いたのは、道長が魔穴寮を設立した事だ。


この魔穴寮だが、一言でいえば、平安時代版のダンジョン省──魔穴つまりダンジョンに潜る者達を取りまとめる公的機関の走りと言えるものだ。

これまでは、朝廷に命じられてダンジョンに潜っていた兵などが各々でそれらを売ったり交換なりしていた。

あくまで、ダンジョンで鍛える事が主で、その産物については重視されてこなかったのだ。

しかし、兵がダンジョンで戦うたびに、肉や皮などの素材に、様々なアイテムが産出される。

そして魔力を感覚的に扱う兵では、素材はともかくアイテムの価値を理解することなく雑に扱われることも多かったのだ。


だが、道長はそこに目を付けた。

全国のダンジョンを管理し、その傍に管理小屋を設立し、そこで得られる肉などの素材や、魔物達が落とす武具や道具を必要に応じ買い取る。

そして朝廷は、取引した素材を中央の兵や、半島の同盟国や他国などとの貿易に宛てて巨額の富を得るようになったのだ。

つまり、朝廷として必要に応じて取引する環境が、この時代に造られたということになる。

これによって兵達は更に積極的にダンジョンに潜るようになったのだから、成果として申し分ないと言えるだろう。

既に宋とも私貿易を行っていた道長だからこそ構築できた仕組みと言えた。


(流石と言うか、利に対する嗅覚が優れているというべきかな)


これによって、朝廷及び藤原氏はかなりの富を得ていて、まだ当面は力を維持しそうな状況だった。


(……もっとも、それは藤原氏や朝廷だけに留まらないようですが)

(そうだな。朝廷に従っているふりをしている豪族辺りは、この仕組みに食い込もうとしているみたいだし)


ツクヨミの指摘に、俺は頷く。

私貿易を出来る様な地方有力者などは、同じように魔穴産の物品を元に半島や宋との貿易で利益を得ているようなのだ。

それによって、今後力を伸ばし台頭する地方豪族が現れるだろう。

更に言えば、その力を付けた豪族が、朝廷に反目する可能性は高い筈。

その結果、何が起きるか?


(……それを鎮圧して、名声と権力を高めていく者が現れるでしょう)

(ああ。そして、それを担うのは、武士だ)


今はまだ朝廷及びそれをまとめ上げる藤原氏に従っている武士たちだが、自らが力を持った時にどのような結果となるのか?

この世界でも、やはり武士が台頭するのだろうか?


(少なくとも、清和源氏は今後も伸びるでしょう)

(実績があるからな)


清和源氏は、元々多くの怪異を打倒していたが、この世界において酒呑童子を従わせるという偉業を成した為に名声が高まっている。

更に、源頼光に従った酒呑童子らまつろわぬ者達は、道長が設立した魔穴寮に組み込まれ、その暴力性を魔穴で思う存分暴れることで解消して人の世と折り合いをつけるようになっていた。

それが更に源氏の名を高めたらしく、各地の朝廷にとって重要な地の国司を源氏が担う事も多いようだ。


一方で、もう一つ既に朝廷内で密かに勢力を伸ばしているのが、平氏だ。


(……やはり、平将門のインパクトは大きかったようだな)


この世界では都で斬首された将門だが、そこで起こした超常の現象が、京に住まう公卿たちに強烈な印象を残してしまった。

その為、その祟りを受けないようにと、同じ平氏の武士を身近に置こうとする動きがあるようなのだ。

源氏と比較すると、対外的な脅威に対するのが源氏で、身辺警護が平氏と言った所か。

そして公卿が身辺に置くという事は、自然と政治的案件にも関わっていくことになる。

今は直接政治に関わることはないようだけれど、今後時が経つにつれて、影響力が増していくだろうことは、想像に難くない。


(……既に、武士の時代の種は蒔かれているというべきなのかもな)

(もっとも、芽吹くのはまだ先でしょう)

(まだ、摂関政治、そして藤原氏の権力は揺るがないだろうからな)


実際、道長の死後も藤原氏の統治は揺らぎそうもない。

地方豪族も本格的に事を起こすにはまだまだ力が足らず、何か起きるにしても数十年は先だろう。


(……当面平穏なら、京で生身生活を送るのもいいかもしれないな)


世が乱れるまでの一時の平穏を利用しない手はない。

俺達の精神的安定のためにも、ここで一つ生身生活を送った方が良いだろう。


(そうですね。何しろ、姉上まであの有様ですから)

(ああ……まさか、あんなにハマるとはな)


俺とツクヨミが視線を送った先。

そこでは、ハルカを始めとしたコアに宿る意思の内女性陣が、熱く熱く語り合う姿があった。


(ワタシはやっぱり、藤壺様を推したいわね……禁断の恋もそうだけれど、初恋って私にとって凄く重いのよ)


ハルカが光源氏初恋の相手を熱く語れば、


(私は六条御息所でしょうか。生霊になったというのはどうにも他人とは思えなくて)


イザナミが愛と嫉妬の末に生霊となった元春宮妃を推し、


(……実は、紫の上がとても気になって……父性に惹かれる気持ち、何となくわかるから)


アマテラスが遠き日の父への憧れと共に、養女から光源氏の妻となった少女の名を挙げる。

女性陣の集まりは、終わりが見えない様相を呈していた。


(やっぱり、劇物だったか……源氏物語は)

(無理もない。私でさえ読みふけりました故)


何が起きたかと言えば、彼女達は見ての通りに源氏物語にドハマリしているのだ。

何しろ、魔力の中からであれば、書きあがったばかりの源氏物語の初稿を読み放題。

元々後の世にも名高い源氏物語の存在は、彼女達も存在を知っていたのだが、知識だけであるのと、実物を見るのとではやはり大きな差があったらしい。


(……枕草子の時にも、熱中していたな)

(宮廷の女房たちに人気があったならば、こうなるのも道理かと)

(そうだな……)


なお、俺達も含め男性陣はそこまでハマっていない。

この時期に産み出された、凄いものであるという事は理解できるのだが……。

やはり、嗜好と言うのはそれぞれにあるものらしい。


(…ところで、アマタには読ませたので?)

(読ませたが、すぐに飽きた)

(なるほど……まだまだ子供ですな)

(ああ)


まだまだ終わりそうにない女性陣の盛り上がりを横に見ながら、俺とツクヨミは次なる生身生活の計画を立て始めるのだった。

以下のXアカウントで告知や更新のアナウンスをしています。

https://twitter.com/Mrtyin

日々、皆様のブックマーク登録や評価、反応などが更新の励みになっております。

誠にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感觉现在剧情中,人好像对于神已经没有什么认识了啊,明明在武家中,素盏鸣尊的试炼/试炼之鬼的传承没问题,但是即使是朝廷上层整体,似乎都只是单纯把魔穴当做自然矿产,而不是和神相关的事情了,明明以前大佛vs…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ