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よくわかる日本の歴史 ~ただし、原始時代から日本にのみダンジョンがあったものとする~【第三部完】  作者: Mr.ティン
間章5 ~大平安魔人伝~

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相模の国と駿河の国の境、足柄山には、金太郎の伝承がある

余り捻りのない話になってしまった……。

【金太郎】


オイラの名前は、金太郎。

足柄のお山に住んでる。

お山は、里の人らが言うには、相模の国ってところと駿河の国ってところの境にあるらしい。

ここが、オイラの家なんだ。


オイラは、山で生まれて、山で育った。

父ちゃんも母ちゃんも、山の民だ。

山の民ってのは、昔っから山で暮らしてる人たちのことだ。

里の人たちとも仲良くしてるけど、基本は山で暮らしてる。


オイラの友達は、いっぱいいる。

鹿も、猪も、猿も、みんなオイラの友達だ。

特に仲がいいのは、角を持った鹿だ。

その鹿は、二本足で歩けるんだ。すごいだろ?

しかも、角を手みたいに動かせる。

オイラと一緒に、木の枝にぶら下がって遊ぶんだ。


「おーい、待てよー!」


オイラは、鹿を追いかけて、木から木へと飛び移る。

鹿も、オイラを追いかけて、同じように飛び移る。

楽しいんだ、こういうの。


「つかまえたー!」


オイラは、鹿に飛びついた。

鹿は、角でオイラを押し返そうとする。

けど、オイラは負けない。

オイラは、鹿を抱きしめて、そのまま地面に転がった。


「ははは、楽しいなー!」


鹿も、何か鳴いてる。きっと、楽しいって言ってるんだ。


オイラの遊び相手は、鹿だけじゃない。

熊もいる。

大きな熊だ。

オイラより、ずっと大きい。


「おーい、熊ー! 遊ぼうぜー!」


オイラは、熊に駆け寄った。

熊は、オイラを見て、大きな口を開けた。

そして、オイラに襲いかかってきた。


けど、オイラは怖くない。

これは、遊びなんだ。

相撲だ。


「おっしゃー!」


オイラは、熊に組み付いた。

熊も、オイラを押さえ込もうとする。

熊の爪が、オイラの肩を引っ掻く。

熊の牙が、オイラの腕に噛みつく。


けど、全然痛くない。

ちょっとくすぐったいくらいだ。


「へへ、そんなんじゃ、オイラには効かないぜ!」


オイラは、熊を押し返した。

熊は、オイラの力に驚いたみたいだ。

けど、すぐに立て直して、また押してくる。


オイラと熊の相撲は、しばらく続いた。

最後は、オイラが熊を押し倒した。


「やったー! オイラの勝ちー!」


熊は、倒れたまま、大きく息をしてる。

オイラは、熊の腹に乗っかった。

熊は、何か言ってるみたいだけど、オイラには分からない。

きっと、「また遊ぼう」って言ってるんだ。


オイラの父ちゃんと母ちゃんは、山の民だ。

山の民ってのは、いろんな血が混ざってるんだって。

人の血もあるし、動物の血もある。

動物が人になったり、人が動物になったりした者たちの子孫なんだ。


オイラにも、いろんな血が入ってる。

熊の血、狐の血、大神の血。

それに、昔々、都にいた偉い人の血も入ってるらしい。

その偉い人は、何かあって都を追われて、山に逃げてきたんだって。


だから、オイラの髪は、ちょっと変わってる。

黒い髪の中に、濃い茶色とか、金色の髪が混ざってるんだ。

里の人たちは、それを見て、オイラを「金太郎」って呼ぶようになった。


「金太郎、今日も元気だなー」


里の人が、オイラに声をかけてくる。


「おう! 元気だぞー!」


オイラは、時々、里に降りて、人たちを手伝う。

重い荷物を運んだり、木を切ったり。

オイラは、力が強いから、そういうの得意なんだ。


「金太郎、ありがとうな。助かったよ」


里の人たちは、オイラに食べ物をくれる。

オイラは、それを持って、また山に戻る。


そんな暮らしを、オイラは続けてた。

山で遊んで、里を手伝って、また山に戻る。

毎日、楽しかった。


けど、ある日、変わったことが起きた。

立派な武士が、オイラを探しに山にやってきたんだ。



【源頼光】


あの地下での鬼との遭遇から、数年が経った。

拙者は、さらに修行を重ね、朝廷に正式に出仕した。

春宮権大進という役職を賜り、東宮様にお仕えしている。

だが、拙者の本分は、清和源氏の発展にある。


「頼光殿、郎党の訓練は順調か?」


父、満仲が拙者に尋ねた。


「はい。皆、日々精進しております」


拙者は、清和源氏の郎党を鍛え、また新たな郎党を引き入れることに、精力的に取り組んでいた。

清和源氏が、武門として朝廷を支えるためには、強き郎党が必要なのだ。


「良い。だが、まだ足りぬ。もっと、優れた者を集めよ」


父の言葉に、拙者は頷いた。


「承知しております」


拙者は、常に優れた武人を探していた。

そして、ある日、興味深い噂を耳にした。


「足柄の山に、人とも獣ともつかぬ者が出るそうだ」


郎党の一人が、拙者に報告してきた。


「人とも獣ともつかぬ、とは?」


「はい。熊を従え、山を駆け回る少年だとか。その怪力は、熊をも上回ると」


拙者の興味は、一気に高まった。


「面白い。拙者自ら、確かめに行こう」


拙者は、数人の郎党を連れて、足柄山へと向かった。


山道を進むうち、拙者は不思議な気配を感じた。

濃密な霊力が、この山には満ちている。

魔穴に似た、力の流れだ。


(なるほど、この山で育てば、自然と力を取り込むことになるか)


拙者が、そう考えていた時である。

遠くから、声が聞こえてきた。


「おりゃー!」


拙者は、声のする方へと向かった。

すると、開けた場所に出た。

そこで、拙者は見た。


一人の少年が、大きな熊の背に乗って、山を駆けている。

少年の髪は、黒の中に茶色や金色が混ざっている。

その表情は、無邪気そのものだ。


「おもしれー!」


少年は、熊を駆りながら、笑っている。

熊も、少年を背に乗せたまま、山を駆け下りている。


拙者は、その光景に、思わず見入った。


(これは……面白い)


拙者は、少年に声をかけた。


「そこの少年!」


少年は、拙者の声に気づいて、熊を止めた。

そして、拙者を見た。


「おう? 誰だ、お前?」


少年の口調は、粗野だが、悪気はなさそうだ。


「拙者は、源頼光という。清和源氏の者だ」


拙者が名乗ると、少年は首を傾げた。


「ゲンジ? なんだそりゃ?」


少年は、源氏のことを知らないようだ。

まあ、山育ちなら、当然か。


「お前の名は?」


「オイラは、金太郎だ!」


少年は、元気よく答えた。


「金太郎、か。良い名だ」


拙者は、少年に近づいた。


「金太郎、お前の力を見込んで、拙者の郎党にならないか?」


拙者の言葉に、金太郎は目を丸くした。


「ロウトウ? なんだそれ?」


「拙者の配下となり、共に戦う仲間のことだ」


拙者が説明すると、金太郎は少し考えた。


「へー。でもさ、オイラを手下にしたいなら、オイラに勝たなきゃダメだぞ!」


金太郎の言葉に、拙者は少し驚いた。

だが、すぐに理解した。

この少年は、動物的な価値観で生きているのだ。

強い者が、弱い者を従える。それが、この少年の常識なのだろう。


「良かろう。では、勝負だ」


拙者の言葉に、金太郎は嬉しそうに笑った。


「おっしゃー! じゃあ、相撲だ!」


金太郎は、拙者に組み付いてきた。

拙者も、金太郎を受け止めた。


相撲が、始まった。


金太郎の力は、想像以上だった。

拙者を押す力は、まさに怪力だ。

普通の人間なら、一瞬で押し倒されるだろう。


だが、拙者も、魔穴で鍛えた身体を持っている。

霊力を取り込み、超人的な力を得ている。

拙者は、金太郎の力に耐えた。


「おお! すげー! 耐えてる!」


金太郎は、驚いた様子だ。

おそらく、この少年の怪力に耐えられる者は、ほとんどいないのだろう。


「熊でさえ、オイラの力には耐えられないのに!」


金太郎は、さらに力を込めてくる。

拙者も、負けじと踏ん張る。


二人の力が、拮抗する。

だが、拙者には、技がある。

魔穴で、多くの獣と戦い、身につけた技だ。


拙者は、金太郎の動きを観察した。

力任せだ。技はない。

ならば、隙がある。


拙者は、その瞬間を待った。

そして、金太郎が大きく押してきた時、拙者は身体を捻った。

金太郎の力を、受け流す。

そして、そのまま投げた。


金太郎の身体が、宙を舞う。

そして、地面に倒れた。


「あっ!」


金太郎は、驚いた顔で、拙者を見上げた。


「負けた……オイラが……」


金太郎は、信じられないという顔をしている。


拙者は、金太郎に手を差し伸べた。


「良い力だった。だが、力だけでは足りぬ。技も必要だ」


拙者の言葉に、金太郎は手を取った。


「すげーな、お前! オイラ、お前の配下になるよ!」


金太郎は、素直に認めた。

この素直さも、この少年の良いところだろう。


「ならば、拙者と共に、都へ来い」


拙者の言葉に、金太郎は目を輝かせた。


「都! 行く行く!」


こうして、拙者は金太郎を都へと連れ帰った。


金太郎には、新たな名を与えた。

坂田金時。

この名で、金太郎は拙者の郎党となり、やがて渡辺綱、碓井貞光、卜部季武らとともに、四天王の一人として、数多の怪異を倒し、名を馳せることになるのだ。


拙者は、金時を見つめた。

この少年は、必ずや、拙者の力となる。

そして、清和源氏の発展に、大きく貢献するだろう。


拙者は、そう確信していた。

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