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鉄と海の帝国  作者: 007
第4章 泥沼

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クレタ島侵攻作戦

1940年2月15日、第二神聖ローマ帝国と大英帝国によるクレタ島侵攻作戦が開始された。クレタ島は第一次世界大戦の講和会議であるジュネーブ講和条約締結後に、大日本帝国が連合国に戦時中の債務半減を約束しジュネーブ覚書を調印させオスマン帝国から割譲させたものであった。これ以降クレタ島は大日本帝国クレタ県となり、大日本帝国のヨーロッパ戦略を考慮した重要拠点とされた。

そしてクレタ島に配備している大日本帝国陸海空軍は、『地中海統合軍』として皇軍統合作戦司令本部直属の指揮下で統合運用される事になった。陸軍の地中海方面軍、空軍の地中海航空方面隊、海軍の地中海艦隊として各軍から抽出されて配備され、地中海統合軍総司令官に一括指揮されるというある種特異な部隊だった。

クレタ島の面積は8336平方キロでこれは広島県の面積(8479平方キロ)程度の島だった。島の形状は東西の長さが260キロであるのに対して、南北の幅は広いところで60キロ、狭いところ(イエラペトラ付近)で12キロほどという、東西に細長い島である。海岸線の長さは1046キロに及ぶ。地中海ではシチリア島、サルデーニャ島、キプロス島、コルシカ島についで5番目に大きな島である。そしてクレタ県は大日本帝国最西端にある飛び地の領土である為に、補給兵站線が遮断される最悪の事態を想定し中心部に地下要塞と地下貯蔵施設が建設されていた。地下要塞は沿岸要塞が突破された時に備えて、最終的な籠城戦を行う事を想定した構造物だった。地下10キロに司令中枢施設を建設し、総全長85キロに及ぶ複雑な構造を誇っていた。核兵器が現時点で存在していない為に、現状汎ゆる兵器への耐久性を有していたのである。

そこに地下貯蔵施設も建設されており半年分に及ぶ弾薬・燃料・食糧・医療品・補修交換機材が備蓄されていた。

だが大日本帝国は黒崎総理の決断によりこの地下要塞を実戦使用する事無く、総引き揚げする事になった。それは補給兵站線が遮断どころか、地中海全体が封鎖されクレタ県そのものが孤立状態になる、という想定外の事態となったからである。その為に安易な籠城戦を否定した結果の判断だった。長篠城のように援軍は間に合わず、大坂城のように大軍に包囲され孤立無援で落城するのが確定していたから、総引き揚げする事になったのである。

その予想通りクレタ県は、第二神聖ローマ帝国海軍と大英帝国王立海軍により360度完全に包囲されたのである。そしてクレタ県には第二神聖ローマ帝国海軍と大英帝国王立海軍による、鋼鉄の暴風となる艦砲射撃が開始されたのだ。

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