結婚
エリーゼとハルトの挙式が行われるのは王城内にある聖堂だ。王族の婚姻の際はこの聖堂を使用する。
この国唯一の公爵家であるシールズ家の次期当主と養女とはいえ、筆頭侯爵家であるウォルト家の子女の婚姻なのでこの聖堂が使用されることとなった。
そんなエリーゼは朝かカレンたちと王城のメイドたちに全身を磨かれていた。
前日、泣いた影響はないようだ。
化粧をして、髪を結い上げる。そして、この日のために用意した純白のウエディングドレスに袖を通すエリーゼ。
デコルテラインの生地は薄い物だが、刺繍を施してあるので肌は見えそうで見えない。
彼女の肌を露出させたくないハルトの意向が汲まれている。そしてベールを被せたら準備は完了する。
「シールズ小公爵様がお越しです。お通ししても宜しいですか?」
カレンが微笑む。
「ええ。お願い。」
少し緊張した様子のエリーゼが答える。ガチャと扉が開き、ハルトが入ってくる。
「リゼ、綺麗だ…。天使…いや妖精…か…?この世の存在とは思えないほどに美しいよ…。
ああ、その恥じらう表情もまた…」
エリーゼを見た瞬間からハルトは褒めることが止められない。
「ハル、恥ずかしいから…それ以上は褒めないで…」
「どうして?」
「歩けなくて、挙式どころでは…」
「では、このまま我が家へ…」
「ハル!?こ、国王陛下が来られているのよ!?」
「ん?伯父上なら大丈夫だよ。俺の独占欲の強さを知ってるし、デューク殿下のことで俺に貸しがあるからね。」
「そういう問題じゃ…」
呆れているエリーゼにクスクスと笑いながらも
愛おしそうに彼女を見つめるハルト。
「そろそろ、お時間です。」
案内人が扉の外から声をかけてきた。
「リゼ、行こうか?」
「ええ。行きましょう。」
ハルトの手を取り、立ち上がり聖堂の入口まで歩き、そして扉の前に立つ。
「緊張して、転んだらどうしよう…」
入口に到着してから、エリーゼの緊張はピークに達している。
「大丈夫だよ。俺にしっかりと掴まっていればいいからね。ゆっくり深呼吸して?」
「すう…はあ…」
「そ。また緊張したら深呼吸したらいい。それに、挙式はそんなにかからないから気を楽にして。俺が傍にいる。」
「ハル、ありがとう。
貴方を好きになってよかったわ…。
ハル、愛してる…。」
「えっ!?」
エリーゼの突然の愛の告白に珍しくハルトが狼狽える。
そしてタイミング良く、入場の時間となり聖堂の扉が開かれた。
何事もなかったように入場するふたりだがハルトは内心は狼狽えたままで、エリーゼは自分から愛してると言ったことにドキドキしていたのだった。
そして神の御前で愛を誓いあい口づけをする。
「リゼ、ふたりで幸せになろう…。
愛している…。」
「ハル、愛しているわ…。」
ふたりの口唇が重なる。幸せすぎてエリーゼの目から涙が零れる。
口唇が離れたふたりが微笑みあう姿はとても幻想的だった。




