解決?
馬車の扉が勢いよく開く。
「リゼ!無事か!?」
「ハル!」
ハルトは扉を開けた勢いそのままにエリーゼを抱きしめた。そして、エリーゼもハルトを抱きしめる腕に力を込めた。
「君たち、見せつけてくれるね?」
デュークは嫌味な視線を向ける。
「デューク殿下、これはどういうことですか?」
聴いたことのないハルトの声にエリーゼがビクリとする。
「ん?小公爵の婚約者と話していただけ。ね、リゼ?」
デュークは戯けてみせる。
「殿下、私の大切な婚約者を拐おうとして、更には愛称で呼ぶなど到底、見過ごすことはできません。」
「愛称呼びは、彼女が子爵令嬢時代から許可を得ていることだよ。」
「リゼ、そうなのか?」
「あっ、うん…。
あの、殿下はガレント商会の常連さんで同じ歳の伯爵子息だと思っていたから…」
抱きしめた腕のを緩めることなくエリーゼはハルトの問に答える。
「はあ…殿下、所定の手続きを踏んでいただければ、エリーゼを伴って登城しますよ。私のリゼを返してください。」
では!とふたりは馬車を降りた。
「俺のほうが早くエリーゼのこと…でも、あれは相思相愛だから無理か…」
デュークは王城への帰り道で独り言ちた。
会場へと戻るのに、ハルトに抱きかかえられているエリーゼ。
「ハル、怒ってる…?」
馬車を降りてから何も話さないハルトを不安で見つめるエリーゼ。
「…醜い嫉妬だよ…ごめん…どうしても俺は君のことになると余裕がなくなるんだ…
それにデューク殿下はリゼを妃にと望んでいたんだ。」
「えっ!?わ、私なんかを!?」
「リゼ、またなんかって…君は自分のことを解っていない。サイクスやマリア夫人と出掛けていて君は周りの貴族から様々な視線を向けられていたんだよ?」
「私、全然気がついてなかったわ…」
「だろうね。
でも、君は今のままでいい…こうやって、俺が助ければいいんだから。」
「お嬢様!!」
エリーゼを見つけたカレンが走ってくる。
「カレン、大丈夫!?」
「ええ。大丈夫です。お嬢様、お怪我等はされていませんか?」
「大丈夫よ。貴女にも迷惑かけたわね。」
「滅相もないです。お嬢様をお守りできず、
小公爵様、申し訳ありません。」
「気にするな。ただ、会場を離れた時間が長すぎたから、カレンには一芝居打ってもらうよ。」
「はい。何でもいたします!」
彼女は足を挫いてしまい、部屋で手当を受けていた。ということにした。
カレンは慌てたフリをして侯爵夫妻に状況を説明。挨拶もなく主役がいなくなるのは問題だろうと、ハルトはエリーゼを抱きかかえたまま会場へ入ることにしたのだった。
「派手な再登場ね…」
エリーゼはハルトを見る。
「君が護衛をつけなかった罰かな?ほら、皆俺たちを見てるよ?」
会場中の視線を一手に集めている。
「ハル、ごめんなさい。」
恥ずかしくて俯くエリーゼ。
「さて、挨拶して部屋へ戻ろう。降ろすけど、足痛そうにしてね?」
「大丈夫よ。それ位なら。」
ふたりの挨拶でパーティーは締めくくられたのだった。




