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第十一話「縋る」
『あなたは繰り返したい?』
「え?」
どこからか『彼女』の声が聞こえた。
『繰り返したい?』
返事を急かすような、緊迫した声だ。
『それとも、ここで永遠にお別れする?』
「それは、嫌だ」
口からはっきり出た言葉だった。それだけはしたくない。
彼女にまた会いたい。触れて、抱きしめたい。
『私は《光》が嫌い。暗いのも嫌い。でも、光は《光》を殺せる』
彼女がそう言うと、暗闇が差し込む光によってなくなっていく。
正直、良くわからない。
『待ってるわ』
彼女の声は震えていた。まるで、泣くのを我慢しているような、そんな声色。
「待ってろ!」
力強く、叫んだ。
叫んでしまった。
彼女に出会えたとき、笑いかけてあげられるように、いつも使わない顔の表情筋を動かして。
にっこりと笑いながら。
@ @ @
+ + +
「これで、もう繰り返さなくなるのかな……」
――八月三十一日。
彼が前に飛び降りたビルから落ちていく彼女の呟きは、誰に届くわけでもない。
けれど、こんなルートは初めてだった。
何百回、何千回とこの夏を繰り返して、一度もなかった。希望が見えた。
希望が見えたら、希望に縋るのは当たり前だろう。
そしてまた、ループが始まる。
【◎Loop◎】
+ + +




