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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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ゼオライドの策略

とりあえず武器は手に入れた勇者。できれば使わずに…。

暖炉の上にあった飾り刀を手にする。


姫さまの精霊の加護は無いが、精霊女王の分身の力で細身のレイピアが赤く光る。


一応強化を施したなまくら3号を元の場所に戻す。出来れば使わずに済ませたい。


不意にドアがノックされる。


先ほどのロリメイドがやってきた。


「勇者様、ゼオライドさまがお話されたいとのことで」


僕ともえがソファーから立ち上がると


「申し訳ございません、勇者様お一人でお越しくださいとのことです」


心配そうなもえの頭をなでなでする。


「すいませんが、この子にだれか付いてもらえますか?」


「はい、それでしたら私にお任せください。勇者様のご案内は別のメイドがいたします」


もえにさっきのお菓子の残りを渡し、僕はゼオライドの元へと案内された。


---


「勇者様、大変お待たせしました。簡単ですが食事の用意をさせましたので、ぜひお召し上がりに。お連れ様にはこちらから食事をお運びしますのでご安心を」


僕はゼオライドの正面の椅子に案内された。


ゼオライドの勝ち誇ったような表情とは逆に、給仕係のメイド達は一様に表情が暗い。


食前酒が運ばれてきた。たぶんワインだと思うが、飲んでいいものか正直悩む。


ここで一気に酔いつぶれてしまうのも手かもしれないが、つぶれた後で何をされるのかも分からないのでやめておこう。


「この酒は妖精の国の中でも特に貴重な物で、口にできるのは王族か一部の貴族だけ。今日は勇者様のために特別に用意したものです」


そこまで言われて飲まないのもと、一口だけ流しこむ。メイドの一人が声を上げそうになるのを横目で確認。


うーん。これは本当に貴重なんだろうかという感想。


「いかがですか?勇者様?」


ゼオライドの期待に満ちた表情が、うっとおしいくらいに輝いている。


「申し訳ありません、これまでお酒にはまったく縁が無い生活をしてきましたので月並みな感想となりますが、すっきりとした飲み口で後を引かないのは良いですね」


何かのCMそのままの感じで感想を述べる。


「勇者様は元僧侶さまといったところですか?」


「まぁ、そんなところです」


こちらの世界の僧侶はワイン作って儲けたりしないんだろうか。


それから、運ばれてきた食事を口にするたびに、待機しているメイドの表情がころころと変わる。僕は何かの実験台なんだろうか。


食事の間、ゼオライドはどれだけフィリーを想っているのか、ラブレターをそのまま声に出して読んでいるかのような感じの話を延々と続けた。


話を聞く限りでは親同士が勝手に決めた許婚で、ゼオライドだけ勝手に盛り上がっている感じが否めない。


「勇者様、ついつい話し込んでしまい申し訳ありません。今日はお疲れでしょう。寝室を用意しましたのでそちらへ案内させます。お連れ様は別室にてお休みいただくよう準備させましたので」


---


勇者を寝室へ「軟禁」した後、ゼオライドはメイドたちを集めた。


「おまえたち、渡したビンを見せろ」


ゼオライドがそう命じると、メイド達はポケットから小さな空のビンを出す。


「どこかに捨てたりはしていないだろうな」


「間違いなく勇者様のお食事に入れました」


メイドの一人が震えながら答える。


「入れただと?これだけの量の薬を口にすれば効き目があっても当然じゃないか!」


ゼオライドはメイドの一人を指名する。


「ミランダ、お前が勇者の元に行って確実に飲ませて来い。私はあの勇者から取り戻さなければならないんだ!分かっているな!」


---


別室で寝かされているもえが心配だ。


僕はここから出てはいけないと念押しされている。なにかあればフィリーに迷惑が掛かる。


さっき魔導強化した偽レイピアも取りに行きたいのだが、ドアの外には複数のメイドと腕の立ちそうな護衛がいるらしいと、精霊が教えてくれた。


「こんなときにソネッタさんが居てくれたら…」


「エイトさま、お呼びですか?」


「うわっ!!!!!!!!!!!!」


口から心臓が出た!5センチくらい。


「てっきりお気づきになられてるものとばかり」


ああ、お菓子のメッセージはソネッタさんだったのか!精霊は分かってて黙っていたのか?問いかけたが返事が無い。ただのきまぐれのようだ。


「もえ様は別の者に見張らせております。今のところはもえ様へ何かしようとする動きはありません」


それなら一安心だ。


「エイト様が口にされたものはすべて無害なものです。あのメイド達が持っていた薬はすり替えておきましたので。あとメイドの何人かを味方に引き入れましたが、ゼオライドの手の者が見張っていてそれ以上は」


「それで、その薬というのは?」


「はい、それなんですが…だれか来たようです。しばらく隠れます」


ソネッタさんは音も無く闇の中に消える。


ドアがノックされる。


「はい、どうぞ」


どうぞといってもこちらからはあけることが出来ない。


「メイドのミランダです。勇者様のお話し相手になるよう、ゼオライドさまから申し付けられました」


彼女はトレイに乗せた酒と肴を持って部屋に入ってきた。


先ほどのメイド服ではなく、薄い寝巻きのようなものを羽織っている。


トレイの上のグラスがかたかたと揺れる。ミランダは震えている。


ドアは外から閉じられ、施錠されたようだ。


「とりあえず「話」だけね?」


僕は話という部分を強調した。


ミランダはどう見ても12、3歳。ゼオライドはいったい何を考えているのだ。


ソネッタさんがいなければ勇者は今頃どうなっていたのか!


次回「薬師、薬に飲まれる」(仮題)

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