浄化の代償
縮んでしまった「はうはうどっぐ」の長。どうする勇者!
「勇者さま!おはようございます!」
二度寝した僕を姫さまが起こしてくれた。
さっき縮んでいたはずの女性は元に戻っていた。
「おはようございます」
「おはようエイト…。今朝何か変わったことはなかったですか?」
「いえ、特に変わったことは…」
体が縮んでいたことだろうか。
「あの、昨晩お名前を聞きそびれてしまって」
「私の名前はヴァルトです」
「ヴァルトさんですね!よろしくお願いします」
ソネッタさんが夕べのスープを温めなおしてくれたので、それを食べて朝ごはんを済ませる。
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ヴァルトさんの案内で、森の中に出来た魔素の沼に行く。
沼のサイズは魔素プールよりずっと小さいが、泥の深さはかなりありそうだ。
すでにどす黒い瘴気が漂っていて、危険な状態である。
念のため、僕とギルド長以外は離れた場所で待機してもらう。濃い魔素は人間すらも狂わせることがある。
僕はこのような状態でも体に変調は起こらない。
ギルド長はガスマスクのようなものを口に当てて早速サンプルを採取し、魔素濃度などを測定している。
「あった、魔果実だ!」
ギルド長の指差す先に、毒々しくも緑鮮やかな植物が一かたまりに生えており、その植物の先端には漆黒の小さな果実が実っている。
「ルティリナの妹はこれを食べられるものと間違って」
一通りの調査が終わり、いよいよ浄化をすることに。
前回のように迷宮を丸ごと浄化してしまわないよう、「すまほーちゃん」を使って精霊女王の分身を呼び出し、情報を調べる。
「すまほーちゃん」に表示された地図には迷宮や遺跡といった重要な地下構造はなさそうだ。
「地下に問題はなさそうです。そろそろ浄化をはじめましょうか」
「勇者殿、記録をとらせてもらってもかまわないか?魔素の浄化方法が確立できれば、異常発生する魔獣の対策も出来るかもしれない。」
「はい、ギルド長。何かの役に立つのであればよろこんで」
「もえ、「ザ・シード」を」
僕は後ろのほうで待機していたもえから「ザ・シード」を受け取る。
「あるじさま、お気をつけて」
沼の近くに「ザ・シード」を刺し、起動ワードを唱える。
「大地をあるべき姿に 種子よ芽吹け!ザ・シード!」
剣が光り輝き、手のひらからものすごい勢いで魔力が吸い出される!
「勇者殿!危険です!」
ギルド長が何か叫んでいるが、この力は一度スタートさせると完走するまでは止めることが出来ない。
視覚や聴覚といった感覚が一時的に失われる。ひどい耳鳴りとぼやけた視界の中でどす黒い沼が徐々にきれいな水に変わる。
沼の周りにあった魔果実の本体は枯れ果て、代わりに本来の植生が戻る。
浄化が終わり、「ザ・シード」が僕を解放した。ひざの力が抜けてその場に座り込んでしまう。
朦朧とした意識が戻り、全身の感覚が戻る。ふと気がつくとギルド長がものすごい剣幕で泣きながら怒っている。
「勇者殿!そんな魔力の使い方をしたらいつか死んでしまいます!こうなることをどうして先に教えてくれなかったのですか!」
一時的な倦怠感はあったものの、命に関わるとは思わなかったと説明する。
後ろで見守っていた皆も心配そうにこちらを見ている。
ギルド長が非常に取り乱しているので、一度この場を離れることにした。
いつも短めですが本日はとくに短めです。
取り乱したちみっこを勇者はどうなだめるのか!




