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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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「はうはうどっぐ」の長

いきなり人型になったルティリナの妹。

おやくそくのすっぱだかです。

すっぱだかのようじよが震えながらこちらをじっと伺っている。

瞳はまだ赤く輝いてることから、魔獣化を免れたわけではなさそうだ。


洞窟の中は寒々としている。

いきなり毛皮を失い、すっぱだかになれば当然次の現象が起こる。

「っくしゅん!」


いぬみみようじよから、かわいらしいくしゃみが出た。

そして、くしゃみと同時に魔導結石とは異なる黒い粒が落ちる。


すると今まで苦しそうにしていた表情がおだやかになり、瞳の真っ赤な輝きも消える。


彼女は自分の身に起こったことにようやく気づいたようだ。


いぬみみようじよは人の姿に戻っていたルティリナを不思議そうに見つめている。


「おねえちゃんなの?わたしどうしたの?」


「おまえ、たすかった!」


ルティリナは妹をマキシマムパワーで抱きしめる。


「おねえちゃん!いたい!いたいよ!」


「ルティリナ!ほら強すぎるって」


僕はあわてて二人を引き剥がす。


「姫さま、念のためこの子にヒールを」


「はい、勇者さま!」


魔獣化の途中でかなり衰弱したようなので、姫さまにヒールをかけてもらう。


ちみっこギルド長は、足元に落ちていた黒い粒を拾い上げ、調べている。


「これは、魔果実。どうしてこんな場所に」


「っくしゅん!」


洞窟の中は冷える。そして魔素も若干濃い。何が出るかわからない。


いぬみみようじよに僕の着ていた上着を羽織らせる。


「一旦外に出ましょう」


ランタンの明かりを頼りに洞窟を出る。


先ほど洞窟の入り口に待機していた「はうはうどっぐ」にルティリナが何か伝えている。


「はうはうどっぐ」はうれしそうに飛び回ると、森の中に消えていった。


「妹の無事、皆に知らせた!」


森の中は日が暮れるのが早い。ここで野宿するわけにも行かないが、双子がまだ回復していない。


赤竜王を僕だけの力でも大丈夫な歩行モードで移動させ、野営地に向かうことにした。


---


野営地に着いた。


他の冒険者や商隊の姿は見えない。


「そういえばギルド長直々にたずねてこられたのはどうしてなのです?」


ギルド長が「自宅」の前で待っていた件についてたずねる。


「実はワイバーン領で保管されている「りざーどまーん」の魔導結石の確認にギルドの職員を派遣したのだが、帰り道、森の中に巨大な影を見かけたと報告があり、勇者殿に調査を依頼するつもりでたずねたのだが」


すでに日は完全に暮れており、森は黒々とした闇に覆われている。


「その巨大な影については明日にでも調査しましょう!」


ほかの女子の皆さんにはお夕飯の準備をしてもらっている。


僕は煮炊きに必要な薪をつくり、焚き火を囲んでちみっことお話の最中である。


実はさっきの森でいい感じに枯れた倒木を1本失敬して赤竜王で運んできたのだ。

余りは簡易炊事場に積み上げておいた。だれかが使うだろう。森の恵みは分かち合うのだとルティリナが言ってた。


そのルティリナの妹は僕のひざでおねむである。


ちみっこはいぬみみようじよをじっと見つめている。


「先ほどの「はうはうどっぐ」の変化についても調べたいところですが…。」


アンクル兼首輪は一度はまってしまうと外れないようだ。それ以前にルティリナは何があっても外そうともしないが。


「勇者さま!、ギルド長さん!おゆうはんです!」


姫さまが呼びにきてくれた。


野営地定番のすこし固いパンに干し肉の入ったスープを頂く。双子もようやく復活したようだ。

ルティリナの妹もすこしづつパンをかじっている。


数頭の「はうはうどっぐ」が様子を見にやってきた。代わる代わるルティリナの妹を確認し、満足そうな表情をして戻っていく。


「仲間にも見張り頼んだ!リーダーは早く寝る!」


その前に、せっかくここに来たのだから、温泉に入らねば。


---


かぽーん。


場違いな露天風呂に皆が集結する。


その間の見張りは「はうはうどっぐ」のみなさんにお願いをした。


まずはルティリナの妹を洗う。


髪は3回ほど洗うとさらさらになった。

姉妹なのに手触りが違う。まだ幼いせいもあるのだろうか。

しかも、妹はたれ耳さんなのである。

うつろな目でなすがままにされるたれ耳ようじよをじっと見守るルティリナとギルド長。


「勇者殿、体を洗うのにそれほどの魔力が必要なのですか!」


ちみっこギルド長には僕の手からあふれる魔力が見えるらしい。


「ギルド長も体験してみればわかることです」


放心状態の妹をルティリナに預け、水着姿のちみっこを座らせる。


「それじゃ、覚悟はいいですね」


香りのいい石鹸をたっぷりとつけたスポンジに「力」をこめる。


「~~~~~~~~~~!!!!」


野営地にひときわ甲高い声がこだまする。魔力に敏感なちみっこには出力が高すぎたようだ。


それに同期して「はうはうどっぐ」の遠吠えがミックスされた。


心をこめて背中を流した後、たましいの抜け殻が1つ出来上がった。お着替えはソネッタさんにおまかせしよう。




「ルティリナ、今日の分は埋め合わせするよ」


ルティリナをわしわしと洗いながら声をかける。例の2時間拘束の件が宙に浮いたままなのだ。


「リーダー、妹たすけてくれた!それだけでいい!」


「そうは言っても助けたのは偶然みたいなものだし。そういえば妹の名前は?」


さっきから妹としか呼んでないので非常に違和感がある。


「妹、名前まだない。「はうはうどっぐ」の長が決める。たぶんもうすぐ」


「はうはうどっぐ」は生まれてからしばらくは名前なしで過ごし、森で生きられるだけの最低限の力をつけてから初めて名前をもらえるそうだ。


妹はその試験を受けている最中、急におかしくなったという。


そんな感じで、双子ともえ、姫さまと洗いまくり、最後にソネッタさんのリクエストに応じてお風呂は終了した。


これについては「ソネッタさんのたくらみ」という別の機会で詳しく語られるであろう?


---


真夜中、皆は赤竜王をベースにして張った簡易天幕で寝ている。


見張りはいいといわれたが、それでも僕は姫さま達を守りたい。


時々「はうはうどっぐ」が様子を見に来て何か報告をしてくれる。おせっかい精霊が通訳してくれるのだがいまいちわからない。


たぶん異常なし!なんだろう。


そうして深夜2時を回ったころ、それは現れた。


暗闇に目を凝らすと何かが動いている。


異常な気配に天幕からギルド長とソネッタさんが飛び出してきた!


「エイトさま!危険です!」

「勇者殿、森から巨大な魔力の塊が!」


「でけえよ!」


こちらの世界に来て何度目かの「素」が出てしまう僕。


「ぶるーぶる」の倍くらいはありそうな巨大な「はうはうどっぐ」がのっそりと現れ、僕たちを見下ろしていた。


「人間よ、わたしたちの森へようこそ」


頭の中に直接女性の声が響く。

現れた巨大な影は敵か味方か!

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