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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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ゴーレムの生贄

「ひめたべラジオ第五回放送」

「五回目の放送、今回は男装が似合う女子のアイリスちゃんと、私、エルフのベルリネッタがお送りしますわ!私については「エンドレス・カーニバル」を見ていただければ。とさりげなく宣伝を」

ベ「突然ですがアイリスちゃん、エイトさんとはどういう関係かしら?」

ア「あいつはボクの敵!憎むべきおっぱい魔獣だ!」

ベ「あら、ずいぶんと物騒ね。おっぱい魔獣とボクっ子で1本書けそうですわ」

ベ「さて、お便りの紹介ですわ。ラジオネーム「あるこーるこわい」さんからね。「寝起きの寝室に飛び込んでくる女の子を防ぐ方法を知りたいです!」」

ア「鍵も掛けずに女の子をはべらせてだらしなく寝ているやつが悪い!そうに決まっている!寝込みを襲われたくないならボクも一緒に寝てやる」

ベ「最後のほう、ちょっと変でしたわね?「あるこーるこわい」さん、どうでしたか?」

ベ「それでは時間が来たようですのでまた来週!」

---


時をさかのぼること数時間前。


ぴちょーん。

ここはライスリッチフィールド城の地下にある営倉。

先日までは腐敗兵士が入れられていたが、彼らは精神拘束魔導により心の自由を奪われ、ミートシールドとして迷宮内で活躍中だ。

今日も肉の盾としてヒールの練習台としてその罪を償い続ける。


今の住人はワイバーン領で勇者に倒されたゴーレム術者と、マッスルキングがひそかに無力化して連行した何名かの不審者。

「われこそがゆうしゃ!よげんしょのゆうしゃはにせもの!」

皆同じようなうわごとをつぶやくだけである。


---


「洗脳はまだ解けないのか?」

営倉の隣にある監視室で、不審者の様子を見ていた筋肉の帝王が尋ねる。


「宮廷魔導士が解呪を試みていますが、思いのほか強力な暗示が掛けられているようで、無理に解こうとすれば廃人になる恐れが」

メイド姿の女性がそれに答える。


「情報を引き出せなければ元も子もない。慎重に進めるのだ。それと例の教会で保護した少女はどうしている?」


「昨晩は追っ手の様子を見るため、無人の迎賓館にて待機をさせました。特に動きがなければ朝にはエイト様の下へ」


「そうか、引き続き監視を頼む」


メイド姿の女性は山脈を揺らし、影に溶け込んで行く。


「精霊女王の次は魔族の子。エイト殿にはいろいろと押し付けてしまっているな」


「…エイトにはいい試練じゃ」


筋肉の帝王が声のした方向を見るが、すでに気配は無かった。


「ここはたまにゴーストが出ると聞いていましたが、こうもはっきり聞こえると…」


筋肉の帝王は自慢の筋肉を震わせる。怖い話が苦手であった。

理由は簡単。「怖い話」自体には物理攻撃が利かないからである。


---


そして同じころ。

魔族の少女がとらわれていた某国の某所。


「報告します!ゴーレム兵の覚醒儀式に使う魔族の娘が何者かによってさらわれました」


バン!と机を叩く長髪の女性。


「また、あいつか!」


虎の子の精霊ゴーレムを倒したという偽勇者の事を思い出す長髪の女性。


「いえ、侵入者を追跡した者の話では女のようです」


「あの偽勇者の差し金に違いない。時間が無い!多少性能が落ちてもかまわぬ!他の「よりしろ」を用意しろ!落ちた性能は数でカバーだ。魔果実の加工も急がせろ!」


「ははっ!」


長髪の女性は苛立ちを隠さず、その黒髪を無造作にかきあげる。


「世界を救うためにここに来て何年も費やしたのだ!私が終わらせる」


---


時間は現時刻に戻る。


寝室ですやすやと眠る小さな角の生えた少女。


目つきのするどいメイドさんは食堂でお食事の最中だ。


僕は寝室の片隅で、少女が目覚めるのを待ちながら本を読んでいる。

勇者が活躍する創作本ではなく、もっと前の時代の伝承やおとぎ話など。

「自宅」の書斎にあったものを何冊か借りてきた。たぶん国王か王妃がそろえた本であろう。


世界の危機に関する情報が無いかと斜め読みをしてみたが、これといった収穫は無かった。

妖精や精霊に関する教訓めいた話はあったが、フィリーや精霊女王にはまったく当てはまらず、あまり参考にはならなかった。


それにしても、こうやって腰を落ち着けて本を読むのは何日ぶりだろう。

こちらに飛ばされる前、休日の日課はアニメを見るか、本を読むか、車を洗うか。

たまにイベントなどにも出かけたりしたが、どうしても次の日の仕事のことを考えてしまい段々と外に出なくなってしまった。


ひざの上にいる「はうはうどっぐ」状態のルティリナをなでながらページをめくる。


ちなみにおこさまズも眠っている。


さっき「十六夜」さんから異常はないかという確認の「めぇる」が届いたので、角の生えた少女の写真をつけて「この子の情報がほしいのでよろしく!」と返信しておいた。

しかし返信は無かった。


「勇者さま…」


シルフィールがちいさな声で僕に呼びかける。


少女が目覚めたようだ。


正直、僕は油断をしていた。忘れていたのだ。女の子が寝ているベッドを覗き込んだらどうなるかを。


「いやーーーーーーーーーーーーー!」


ベッドを覗き込んだ瞬間、僕のあごのあたりに少女のかわいらしい足がめり込んでいた。

足の裏のやわらかい感じがあごを捉える。物理ダメージより精神的ダメージが大きい。


地精霊が飲みすぎて倒れていたのは不幸中の幸いか、蔦による拘束は無かった。


---


少女はベッドを飛び出すと部屋の隅に移動し、こちらを最大レベルで警戒している。


「いや!こないで!人形の術なんて使いたくない!」


ここまで警戒されてしまうとどうしようもない。


さわぎを聞きつけた目つきのするどいメイドさんが寝室に入ってきた。


「おねえさん!たすけて!」


少女は目つきのするどいメイドさんにしがみつく。


僕は目つきのするどいメイドさん、カレラさん(仮名)から事情を聞くことにした。


---


カレラさん(仮名)の話をまとめると謎の教会でこの少女を保護し、世話をするうちになつかれたという。


何しろカレラさんは

「たすけたらなつかれた」

としか言ってくれないのでよくわからないのである。


カレラさんは少女をなだめようとしているが、どうにも不器用な感じだ。

「あの人は勇者。世界を救う」


少女は震えながら答える。

「私を捕まえた人も勇者と名乗って世界を救うといってた!おまえは世界を救う犠牲になるのだと!」


少女はあまりの緊張からか、そのまま気絶してしまった。


---


「しばらくは僕が近寄らないようにして、おこさまズと遊ばせてみようか…」


「エイトさま、ずいぶんと落ち込んでいらっしゃいますね」

ソネッタさんが心配そうに僕を見ている。


「あそこまで嫌われてしまうと…」


そこにラフな格好をした筋肉の帝王、国王さまが現れた。


「エイト殿、少女を保護した件で報告を受けましたので様子を見に来ました」


---


「魔族ですか?」


国王さまが外見的特長から魔族ではないかと言う。

妖精や精霊と同様、人との関わりはほとんどもたない種族。

魔導とは異なる術を操り、戦闘能力も相当にあるらしい。


「エイト殿、あまり元気がないようですが」


先ほどのやり取りを簡単に説明する。


「そうでしたか…。試練というのはこの事…」


「試練ですか?」


「いえ、独り言です。申し訳ない」


国王さまはあきらかにうろたえているので、理由を尋ねてみた。


地下の営倉で聞こえたという僕のことを言っていたと思われるゴーストのささやき。

内容から浮かび上がる一人の人物。


「ちょっと失礼します」


僕はすまほーちゃんを取り出して「めぇる」を打つ。


宛先:十六夜

件名:試練の件

本文:おもらし ばらす 魔族の少女の件 サポート よろしく


脅迫文めいた感じで打ってみた。


送信したら10秒で返信が来た。


差出人:十六夜

件名:Re:試練の件

本文:わかったからそれだけはやめfsぽえいs


了解とだけ返信しておいた。


急にニコニコしだした僕を見て国王が心配そうに尋ねる。


「エイト殿?」


「少女の件は強力な助っ人に連絡を取りました」


「預言書」を脅迫したとはとても言えないのでお茶を濁す。


ただ待っていても仕方ないので、思いついたことから実行をする。

カレラさんは少女をつれてここに戻る途中、屋台で何度か食事を取っていたという。

ソネッタさん、フィリー、ナタリアに頼んで、屋台村に行って買出しをしてもらう。

お昼ごはんはB級グルメづくしにしよう。

勇者立案による安直な懐柔作戦はどうなるのか。

そして、ゴーレム事件の裏で暗躍する人物が動き出す。


9/2 本文修正しましま

僕は書斎で→僕は寝室の片隅で


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