精霊の追憶(すぷらいつめもりー)
酔っ払いに寝込みを襲われ組み伏せられた勇者。
勇者の精神が危ない!
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気がつくと真っ白な部屋に倒れていた。
頭がガンガンする。
たしか無理やり「記憶交換会」を実施されていたはずだ。
「小僧、今回は危なかったぞ。おぬしが酒に弱かったから助かったようなものじゃ」
十六夜こと「預言書」のメガネロリが僕を見下ろしている。
いつもの真っ黒なロリータ服だ。
話がまったく見えないが、この位置からだとしましまなら見える。
横を見ると頭に大きなこぶを作った精霊女王がのびている。
「この精霊女がおぬしに莫大な量の記憶を一気に流し込もうとしたのじゃ。そのままじゃったらおぬしの精神はあっというまに崩壊しておったわ」
「その直前におぬしはこの精霊女の口に残っていた酒で酔いつぶれ意識を失って「境界の地」に来たというわけじゃ。まさに間一髪」
また「ぶちゅー」をしたのか!という顔で十六夜がこちらを見る。
刺激的過ぎる。一歩間違えなくても廃人まっしぐらだったのか!
「精霊というのはそもそも違う次元の存在じゃ。この女は人のように振舞ってはおるが、人に見えるのはうわべだけじゃ」
「本来であればこのように接することもままならぬはず。相手がその気になれば小僧など即居なかったことになる。注意するのじゃ」
もっともらしいことを言ってるが、本心は別のところにありそうだ。
「そうなると強大な力を持った十六夜さんとの接し方も考えないといけないですね?」
「ば…ばかをいうな!わしはおぬしをとって食おうとは思わん。い、今までどおりで問題は無い!」
「はい、では今までどおりに」
起き上がった僕を人間座椅子にしてぷんすかしている十六夜の頭をわしわしとなでる。
精霊女王も意識を取り戻す。
「女王、ひさしぶりじゃの」
「あ、ああああ!あなたは!あなたさまは!」
精霊女王はなにやらテンションが上がり、僕には理解できない言語で十六夜と話をしている。
勝手知ったるなんとやらで、白の間(適当に名づけた)を出て給湯室へ向かい、お茶を入れることにした。
どこにでもありそうな給湯室そのままだが、ウォーターサーバーもお湯を沸かすポットも魔導具製だ。
紅茶を探したけれど緑茶しかなかった。
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「小僧、気が利くの」
「エイト、すまぬことをした。エイトがいろいろと人の枠から外れておるから、つい無茶を」
ほめられているのかそれとも(ry
3人で緑茶を飲みながら座談会となった。
十六夜と精霊女王は旧知の仲らしいが、詳しいことは秘密のようだ。
「今、記憶の話をしておったのじゃが、無理に詰め込まなくとも、小僧の中にいる分身を使えば事足りるという結論に至ったところじゃ」
「小僧が持っている絵が動く石版があるじゃろ。それと分身をつなげばいつでも精霊の記憶を見ることが出来るようになるのじゃ」
「ただし…ああ、記憶の精査が終わるまで、しばらく待つのじゃ」
いつのまにかズボンのポケットに入っていたすまほーちゃんを取り出す。見慣れないアイコンをタップすると、画面から幼い精霊女王の姿をしたアバターが「浮かび」上がる。
準備中と書かれた看板を持ったアバターをつつきまわして遊んでいると、突然すまほーちゃんの呼び出し音が鳴る!
すまほーちゃんの画面には「十六夜」という名前が出ている。おそるおそる応答をタップする。
「もしもし、わしじゃ」
「わしわしさん?十六夜さん?」
また前回の続きになりそうなのでからかうのをやめた。
「緊急連絡用に魔導回線を用意したのじゃ。ちなみに「めぇる」というのも出来るから「めぇるとも」になってもらってもかまわんぞ」
ふと見るとレトロな黒電話を抱えた十六夜が受話器に向かってまじめな顔をしてぼそぼそと話している。
黒電話で「めぇる」は無理だろうと思ったら、なにやらディスプレイのようなものが見える。
「おぬしはいくつかの条件がそろわぬとここへは来られぬ。わしに会いに来るために毎回気絶していたのでは身が持たぬだろう。有効に使うのじゃ」
「さて、そろそろおぬしたちを帰す時間じゃ。また会おう。さらばじゃ」
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「今回は猛獣愛撫を免れた。よかったわい。さて、すこし茶を飲みすぎたの。小用を足しに」
「あ、足がしびれて立てぬじゃと!中座するのはまなーいはんと思い、限界まで我慢したのはうかつじゃった!」
ずっと正座をしていた「預言書」はしびれた足をかばいながらトイレまで這って行くも途中で力尽き、地図を作ることとなった。
「おのれ…小僧。わしに茶を飲ませたのはこのためか!」
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朝。
さけくさい!
僕の上には精霊女王がつっぷしている。
全裸で。
女王の半身は隣に寝ている姫さまにのっかり、姫さまは苦しそうな顔をしている。
とりあえず精霊女王をどかそうと手を伸ばす。なにかやわらかいものがてのひらに当たる。
ジャストタイミングで寝室に飛び込んできた影。
「勇者!こっちに引っ越したって聞いて!あーーーーーーーーーーーーーーー!」
アイリスさん、いい加減に学習してください。
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「自宅」の庭先。
さすが国王の住んでいた家。
贅沢にも防音と視線遮蔽の透明な魔導結界が張られ、外から見るとただの青い芝生にしか見えない。
ちなみに中から外は見える。
そこで突然始まった試合に新人メイドのナタリアはおろおろしている。
カァン!がきっ!ぽす!がつっ!
怒りの形相のアイリスが打ち込んでくる木刀を受け流す。
ただ受け流すのもアレなので、隙だらけのわき腹などに軽く一撃を入れる。
あざになっていたら姫さまかフィリーにお願いしてヒールしてもらおう。
「この!おっぱい!大好き!魔獣め!ボクが!退治して!やる!くっ!まだまだ!」
あの野営地でシャープ筋肉のおっさんに言われた殺気の残像のことを思い出し、その先に動く本体を追うように心がける。
そういえばアイリスは先日買った胸当てをちゃんとしているようだ。胸当ての残像を追ってはいけない。
何度かわき腹のあたりをつつくとアイリスの動きが止まった。どうやらスタミナが切れたようだ。
肩で息をするアイリスにタオルを渡す。
「アイリス、気が済んだか?というか寝室に入るときはノックくらいしよう!」
「きょ、今日はこのくらいしておいてやる!おっぱい魔獣め!今度はノックじゃなくてノックアウトしてやる」
アイリスはそう言い残すとしぱぱぱぱぱぱと走って行った。ああ、あざの確認をしなかった。
ようやく起きだして、その様子を見守っていた精霊女王。
何度かお願いをしているので全裸ではないが、薄手の肌着1枚はやめてください。
「おっぱいがどうのと争っていたようだが、いったい何が原因なのだ?」
女王さまの豊かな胸に聞いてみてください…。16歳モードでも立派過ぎます。シルフィール姫に分けて(ry
「エイトよ、今日は残念ながら別行動だ。叔母のところで話をしてくる」
「そういえばおばさまがいたとか言ってましたね」
「「精霊のもてなし亭」の女将がわらわの叔母なのだ!長い間行方がわからず、ずっと探していたのだ。エイトよ、おぬしには本当に感謝している。何か礼をしなくては!」
今知った驚愕の事実。あの熊のようなおばさんが精霊女王の叔母?
精霊ってやっぱりつかみどころがない。
ナタリアは展開についていけないようで、そのまま家の中に引っ込んだ。
ちなみに昨日は地精霊も交えて三人で飲み明かしたそうだ。
そういえば地精霊の姿が無い。
「ああ、地精霊なら昨晩の飲みすぎがたたってトイレにこもっておる。あとで薬をもらえぬかの?それではいってくるぞ」
メイド服に着替えた精霊女王を見送り、片付けのために庭に戻る。
精霊に利く酔い覚ましはあるのだろうか…。
そんなことを考えていたら、突然庭先に人影が現れた!
「勇者殿!!!!!!!」
がしぃ!と抱きつかれ芝生に押し倒される。
「ひさしぶりだ勇者殿!」
この声は目つきのするどいメイドさん?
あの遠慮がちだったメイドさんが僕の胸に頭をぐいぐいとおしつけている。
「迎賓館に誰もいないから心配した!」
僕たちが引越しをしたことを知らずに、夕べは真っ暗な迎賓館で一晩過ごしたそうだ。
諜報担当なのにちょっとぬけているところが目つきのするどいメイドさんらしい。
「あと、お土産。たぶん勇者殿好み。というのは冗談」
傍らに置いた大きな袋から出てきたのは、目つきのするどいメイドさんより若干肌の色が濃い
「子供?」
額に角のある、小さな女の子だ。
目つきのするどいメイドさんが連れてきた子供。
新たな火種なのか!それとも!
次回 帰ってきたメイドさん




