戦え!ぼくらの赤竜王
真っ赤なボディのにくいやつが登場します。(誰
眼前に迫る巨大な火の玉。
すでに回避不能。
もえと姫さまを守るため、二人を抱えて火の玉に背を向ける。
「てやーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
巨大なファイヤボールにルティリナの蹴りが炸裂し、はじき返された火の玉は巨大ゴーレムのそばにいた男のそばに着弾。
しかし、男の周囲にも魔導障壁が展開され、ファイヤボールは四散した。
「ルティリナ!ありがとう!」
「リーダーまもった!あとですわせろ!」
何を吸う気だ。
これを合図に宮廷魔導士の攻撃が始まった。
巨大ゴーレムに向けて魔導攻撃を行うも、「ほぼごぶりん」の時と同様に効く様子が無い。
バラの騎士がゴーレムの足元に向けて波状攻撃を行うが、障壁に阻まれ傷すらつけられない。
巨大ゴーレムの頭部にある水槽。その中の精霊がうつろな目でこちらを見る。
「たすけて…こわい…だれか…」
巨大ゴーレムはファイヤボールをめちゃくちゃに撃ちまくりながら暴れだした。
「みなさん、下がって!」
言い終わる前に騎士団の前方にファイヤボールが着弾し、先頭で指揮を取っていたマーガレットさんが吹き飛ばされた!
「マーガレットさん!!!!!」
「あぶない!」
地精霊が蔦を伸ばし、マーガレットさんを受け止める!
下りてきた蔦からマーガレットさんを抱きとめると、すかさず姫さまがヒールをする。
ぐったりとして動かない。
「マーガレットしっかりして!目を開けて!」
がっくんがっくんと揺らされても目を覚まさないマーガレットさん。
姫さまが泣きながらヒールを続ける。
「この子、気絶しているだけのようね。特に怪我もなさそうだわ。それにしても隠れ巨乳ってのがゆるsげふんげふん」
地精霊がマーガレットさんの体に蔦を這わせて確認をする。最後のは何。
「マーガレット生きてるのね!」
ほっと胸をなでおろす姫さま。
突然、後ろから双子の声が聞こえた。
「「マスター!そろそろきます!」です!」
「シースさん!レーネさん!外に出てはだめです!」
屋敷から双子が走ってくる。その後をテスラが追いかけている。
「だめだ!あぶないから部屋の中に居なさい!」
「「くまちゃんうんそうのはいたつうけとり」です!」
僕が立っているすぐ横に大きめの魔導陣が浮かび上がる。
そこから唐突に「くま」が現れた。
正確には等身大のくまのぬいぐるみが2体。
調査出発前、車の警備用にと双子が作ったぬいぐるみに似ている。
でもこんなサイズじゃなかったはずだ。
「「ごくろーさまー」ですー」
くまは双子に伝票を渡しサインをもらうと、魔導陣の中から巨大な白い包みを取り出す。
「「マスター!はやくあけて!」です!」
「シース!レーネ!こんなときになにを!」
いつものおふざけかと思い声を荒げてしまう。
「「せいぎのみかたをよびました!」です!」
双子がすまほーちゃんをこちらに向けてにこにこしている。
画面には「配達完了」の文字が表示されていた
「正義の味方?」
僕が包みに触れると、びっくりばこのように「ばん!」と開き、中から見覚えのある赤い何かが出てきた。
「赤竜車?」
城に置いてきたはずの自分の車が突然現れた。もうわけがわからない。
巨大ゴーレムはルティリナがけん制してくれているので、ゴーレムの術者はこちらの様子には気づいていないようだ。
「「ほんばんはこれから!」です!」
双子は光の玉に変化すると。赤竜車に吸い込まれる。
「「こーるれねしす!とらんすふれーむ!ちぇんじ!せきりゅーおー!」です!」
車が真っ赤な光に包まれると「変形」を始めた。
ボディが何分割かされ、胴体と手足が形作られ、数秒のうちに人の形になる。
それはおもむろに立ち上がり、
「悪の闇あるところ、正義の紅き光あり!赤竜王 顕現!です!」
どこかで聞いたようなせりふがなぜかヒーローっぽい声で再生される。やっぱり「です」がつくのか。
そこには身の丈数メートルの真っ赤な金属製のゴーレムが立っていた。そのシルエットは武者鎧を連想させる。
「「マスター!はやくのってそうじゅうするの!」です!」
油圧駆動のような音がして赤竜王の胸のハッチが開き、操縦席と助手席が現れる。
気絶したマーガレットさんを地精霊にあずけ、巻き込まれないよう後ろにさがってもらう。
すこし後ろにオフセットされた助手席に姫さまともえを押し込むと、僕は操縦席に座る。
ハッチが閉まると内側にはめ込まれたフロントガラスがせりあがり、外の様子が映し出される。
航空機を思わせるシンプルなHUD、ダッシュボードにはいくつかの計器が並び、レクティルの向こうに巨大ゴーレムが見える。
操縦といっても、某アニメのようにハンドルとアクセル、ブレーキなどがあるだけだ。
姫さまはあわあわして、もえは興味深そうにコクピットの中を見回している。
「勇者さま、これはゴーレムなのですか?中に入って何を?」
「あるじさま!つよそうなゴーレムです!」
おっとシートベルトをわすれずに。
「いまからすごくゆれるかもしれないから、しゃべっていると舌を噛むかも」
姫さまともえは口を閉じて手で覆うしぐさをする。
さてどうやって動かしたらいいのか。
モニターには[基本システム起動中]の文字とプログレスバーが表示され、今のところ8割くらいまで伸びている。
外から巨大ゴーレムの術者の声が聞こえる。こちらの異変に気づいたようだ。
「バケモノのゴーレムか!そんなおもちゃひとひねりにしてやる!」
巨大ゴーレムが動き出し、両手から大量のファイヤボールが撃ち出される。
赤竜王が見えなくなるほどの弾幕となり、辺りは巨大な火柱につつまれる。
「リーダー!」
「勇者さん!」
「エイトさん!」
ルティリナと地精霊、テスラが叫ぶ!
ゴーレムの術者が笑っている。
「ふはははは、すこし攻撃しすぎたようだ。影も形もなくなって。 な…なんだと?」
火の勢いが収まると、そこには無傷の赤竜王が立っていた。
ルティリナと地精霊が抱き合って喜んでいる。
テスラは目の前の状況を飲み込もうと必死になっている様子だ。
マーガレットさんは気絶していて正解かもしれない。
いきなり最大火力と思われる攻撃をされてかなりあせった。
「うわーびっくりした。ロボの起動中に襲うとかどんだけ礼儀知らずなんだ!そこは待たなきゃだめだろー。ところでこれどうやって動かせば」
またも素が出てしまう勇者。
「「マスターまかせて!」です!」
頭の中に何かが流れ込んでくる。
モニターには[起動準備完了]の文字が表示されていた。
それを理解し、クラッチを踏み込み、ギアを1速にいれ、アクセルをふかしてクラッチをつなぐ。
「きゅいいいいいいいい」
「「せきりゅーおーはっしん!」です!」
一瞬ボディが沈み込み、背中のジェットパックを使い急加速した「赤竜王」は一瞬のうちにゴーレムに肉薄する。
「ぐあああああ!ぶつかるー!ここでインド人を(ry」
あわててブレーキを踏み、ハンドルを右に切ると左腕からパンチが繰り出される。
「「ドリフトパンチ!」です!」
双子の声が響く。
急停止したため赤竜王のコクピット内はジェットコースター状態になった。
巨大ゴーレムの胸倉に赤竜王のこぶしがヒットすると、表面で何かがスパークしてゴーレムがもんどりうって倒れる。
ゴーレムの頭部にいる精霊へのダメージが心配だが、水槽の中身に緩衝作用があるのかそれほどゆれていないようだ。
そして今の一撃で魔導障壁が消えたのか、ゴーレムが倒れた際に魔素プールから巻き上げられた泥が、ゴーレムの術者に降り注ぐ。
「うがああああ」
大量の魔泥に襲われた術者は行動不能になった。
「魔素の泥は触ると麻痺しますから大変です」
ソネッタさんが現れて、男を投げ縄で確保すると森のほうへ引きずって行った。
一旦バックして巨大ゴーレムから距離をとる。
魔導障壁の無くなった巨大ゴーレムがふらふらと立ち上がり、なおもこちらに攻撃をしかけてくる。
赤竜王にファイヤボールがガンガンとあたる。ダメージは無いが、非常に揺れるので姫さまの顔が青くなってきた。
「胸のクリスタルが弱点というのは内緒らしいよ!」と遊び人精霊の声が聞こえる。
クリスタルへの攻撃手段が無いかと思っていると、もえが「ザ・シード」を手渡してくれた。
「あるじさま、「ザ・シード」は赤竜王の武器にもなります。シースさんとレーネさんの声が聞こえました」
もえにだけわかるように伝えたのだろうか。
それはイグニッションキーに変化した。頭の中に情報の渦が流れ込む。
いわれるままにダッシュボード上のキーシリンダーに差し込んで一気にまわす。
突然アラームが鳴り、目の前のモニタにオレンジ色の文字が点滅する。
[特殊兵装 影霧丸を開放]
赤竜王の手に巨大な日本刀のようなものが出現した。
脳内におなじみの起動ワードが流れてくる。
「ターゲット 敵ゴーレムのクリスタル。影霧丸 悪を憎んでこれを斬る!「悪消滅暫」」
アクセルをめいっぱい踏み込んで赤竜王を加速させ、ハンドルを左右に切ってファイヤボールをかいくぐる。
すれ違いざまクリスタルの表面のみに傷をつける。
クリスタルが一瞬まばゆく輝き、そこから大量の黒い魔素が噴出すると、ゴーレムは活動を停止した。
ゴーレムからがしゃんがしゃんとよろいが剥げ落ち、本体はざらざらと土に還っていく。
頭部の水槽が砕け散り、緑色の液体と共に中に捕らえられていた精霊が空中に投げ出された!
ゴーレムからはじき出された精霊!
勇者は救うことができるのか!
次回「わらわと契約せよ!白い精霊女王現る」(仮題)




