境界の地で全身をくまなく洗われる勇者
本日の境界の地での活動は昨日の捕り物の様子を説明するだけで終わってしまった。
連日宴会を催していたらさすがにおにくのありがたみも薄れますし、何より本日はそんな気分にもなれないというのが正直なところなのですが。
ななや旅館の大広間に集まった皆さんは順次露天風呂へと移動をしている。
先に説明を聞きたいという姫さま達の要望に応えていつもと順序を逆にしたのですが。
そういえば現実世界でお風呂に入ったばかりなのですが姫さまがどうしてもというので僕も付き合うことにした。
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そんなわけで露天風呂の洗い場へ連行された僕の回りを取り囲むうちの子達から容赦なく体を洗われているのですが。
背中だけでも5人がかりという体制でそこまで人が必要なのかと不安にもなりますけれど。
あれ?ミドリも混ざっている。彼女は正式にうちの子になったわけでは無いと思うのですが。
彼女からは借金をしている村の窮状を救ってほしい。代わりにいつでももふもふしてもらって構わないという僕とユークレスさんが狂喜乱舞するようなご褒美を頂くことになっているのですが肝心の村の状況はいまだ掴めておらず、隣村に出かけたという村長を見つけてまず話を聞かないとならず。
たしか2日か3日で戻るという話だったので改めて村を見に行く予定だ。
後は炭の村にも顔を出さなくてはならない。あそこも違法な金貸しに騙されて違法借金奴隷としてパトラさんが差し出されている。
ちなみにパトラさんは僕の左手担当として頑張っている様子。
そんなに洗う場所は無いと思うのですけれど…。
ちなみに前を執拗に洗おうとする方はブロックさせていただきました。
ユークレスさん本当に油断も隙もあったものではない。
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「勇者さま、明日も捕り物に参加されるのでしょうか?」
「捕り物はとりあえず昨日回ったところで打ち止めのようですが…もし証拠物件から新たな情報が得られれば参加する事になると思いますけれど」
今のところ元締めとなるマッチング業者から得られた帳簿類からは新情報を得られていない。
帳簿は大型魔導金庫に数冊入っていただけで、その殆どが違法借金奴隷の移動記録だった。
今回仕入れ先と売り渡し先が判明しており、今後の調査は売り渡し先から何処へ違法借金奴隷が移動したかの確認となる。
昨日の時点では偽の証文が大量に押収されており、証文に記された最終顧客の情報を得るところからスタートとなる。
割り出し作業は早朝から行われることになっており、借金奴隷の行先が判明次第順次兵士を送り込むことになっている。
そのほとんどが下級の管理貴族であろうという推測がなされている。
というのも上位の管理貴族は身元を確認出来ない借金奴隷は決して雇い入れないというので。
国に一番近い上位管理貴族は自分の立場が危うくなるような事には決して手を出すことは無い。
それは下級管理貴族も同じだと思うのですが、若干締め付けが緩いということもあり、あまり素性の良くない商会とずぶずぶな関係をもっていたりする。
今回の事件で下級管理貴族の多くがその地位を落とすか最悪取り潰しという事になりそうだが、あまりやりすぎると末端の村を束ねる貴族がいなくなり、下級貴族の再割当がされるまでの間の税収が滞る事となる。
多くの下級貴族は厳重注意と何かしらの制裁で済まされることになりそうだが、再犯の恐れもありそうな貴族を野放しにするのはどうかと。
ただ、僕自身がこの世界の政治に横やりを入れるのはどうかという話もあって…。
一番許せないのは何度もいうがカズラヤの態度。
シロさんが報復措置を取るから任せろと言うのでおまかせしているのですけれど。
カズラヤの犠牲となっていたココナは僕の隣に座って温泉を堪能している。
以前は表情も硬く、何かに怯えるようなそぶりも見せていたが最近は自然に笑えるようになってよかったと思っている。
ユークレスさんへの警戒度は全く下がらないのですが…。
ここまで拒絶されるのはユークレスさんとしても思ってもみなかったことのようで何とかご機嫌を取ろうとしているのだが、ことごとく失敗している。
やはりファーストインプレッションは大事だなと思った次第で。
お風呂上がりのおしっぽさま水飛ばしだけはやってもらっているようですけれど。
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「おはようございます勇者さま!王城より勇者さまあてに伝令が来ております!」
ちょっとだけ寝坊をしたようで大寝室にはまばらにしか人影が無い。
双子もまだ寝ているようだ。というか僕の足は抱き枕ではないのですけれど。
両足から双子をパージしてまずは身支度を行い、いつものアロハとジーンズ姿となって伝令の方の待つ客間へと向かった。
「預言書の勇者様、下級貴族宅捜索の指揮をお願いしたく。国王様より書面を預かってまいりました」
伝令としてやってきたのはバラの騎士の一人。
電話を掛ければ済む話なのに、書面を持ってくるというのは割とおおごとなのか?
「立入先は現時点で数十箇所、既にバラの騎士と衛兵の割り振りは終わっております」
僕は王城に行って成り行きを見守ればよいらしい。万が一に備えてアヒルちゃんを全部隊に貼り付ける予定ですが。
朝ご飯は捜索部隊を送り出したのち王城でいただくことに。




