変型合体するドローンに驚く勇者
二人を追跡するドローンの映像を確認すると王都のメイン通りから2本ほど外れた場所を歩いているようだった。
ほどなく二人の足が止まり、看板を確認するとモンドル商会と書かれていた。
ここが配達先のようで荷を背負ったマリスという男性冒険者がドアをノックする。
ほどなくドアが開き中から出てきたのは10代に見えるもふもふ少女。
『冒険者ギルドからの依頼で迷宮から荷物を運んできました。モンドル商会さんであっていますか?』
『はい、モンドル商会はうちです。荷物の件は聞いております。お店の中に運んでください』
どう見ても悪事に加担しているとは思えない少女がマリスを店内に案内する。
たしかルーチェと呼ばれていた女性冒険者は入口に立ったまま周囲を警戒している。
一緒に中に入らないのだろうか?
店内はどこにでもある雑貨屋という感じだが、在庫などは殆ど無く本当に商売をしているのかと不安になりますが。
巨大な背嚢は店内の一角に安置され、マリスは懐から依頼票らしきものを取り出す。
『問題が無ければこちらに受領のサインをお願いします』
少女は荷を改めることなく、そのままサインを。
冒険者二人はそのままモンドル商会を後にした。
二人には別のドローンをつけ、同行を探ることにしてまずは店内の様子を見ることに。
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『ご主人様、荷物が届きました』
『分かった。これから荷を改める。おまえは店の外に出ろ』
『わかりました。それでは夕食の買い出しに行ってきます』
先程荷を受取った少女は買い物かごらしきものを抱えて店の外へ。
少女が主人と呼んだ中年男性は背嚢を担ぎ上げ、店の奥へと移動を。
商人らしい雰囲気だが力はあるようだ。
そして店の奥にはやはり地下室への出入口が存在し、男は確かな足取りで地下へと降りて行った。
地下には薄暗い魔導ランプが一つぶらさがるだけで他に光源は無い。
まっどほっぐの檻らしきものが4つあり、そのうち2つに人影らしきものがうずくまっている。
空いている檻の前で背嚢の紐を解いて地下室にあった釘抜のような物体でもって蓋をこじ開け、中身を取り出す。
中の人はまだ目覚めていないようだ。
脱力しきったもふもふさまを担ぎ出し、檻の中にある粗末な寝床へと転がすと厳重に施錠。
地下室の中を見ると同じような背嚢がいくつも転がっている。
あれは再利用されているのか?
「なんとむごいことを…」
一緒に映像を見ていた冒険者ギルド長が怒りをあらわにしている。
「モンドル商会、後で商業ギルドに確認しましょう」
これから冒険者ギルドの裏庭に降りてまずはギルド長が帰還の報告を済ませた後で商業ギルドへ顔を出し、一緒に日の出荘へと向かうことになっている。
オパール王妃からはいつでも大丈夫と返信をもらっているのでそのまま移動するつもりだ。
アヒルちゃんワンボックスを降ろすとギルド長はそのまま冒険者ギルド内へと走って行った。
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「とりあえず今分かっている内容はこんな感じです」
日の出荘の執務室に集まったメンツに事態のあらましを説明。
ちなみに書類を運んでいる派遣メイドさん達には念の為に退席をしてもらった。
2階のラウンジで休憩してもらうよう伝えてある。
今の時間帯だとここの住人はツクヨミ神社で作業中であり、ラウンジを使っても問題ないだろう。
自販機もいくつか出してあるので好きなものを飲んでもらうことに。
今回情報収集していて一番の収穫は元締めと大教会のつながりが判明したことだろうか。
直接のやりとりは見ていないが、特徴がありすぎる白いローブが動かぬ証拠となる。
あのけばけばしい自己主張バリバリのデザインは大教会以外で見たことが無いですし。
ガサ入れをするにしても問題になるのが大教会の予知能力だ。
殆どの場合、ガサ入れ前にもぬけの殻となり、何の物証も得られないことが殆ど。
だが、今回は事前にドローンを展開出来ており物証なども事前に抑えることが可能となっている。
「捕まっている少女達の身の安全を確保するのが先決でしょう。突入は今夜。バラの騎士に出動命令を!」
そうと決まれば物証を先に押さえてしまうのが良いだろう。
幸いにもマッチング業者の元締めは外出中らしく、会長室はもぬけの殻。
取引台帳などが納められた魔導金庫は事前に魔力紋をこっそり確認しており、開錠は一瞬である。
『『どろーんへんけいがったいなの』です』
ここにはいないはずのシースとレーネの声がすまほーちゃんから響くと、元締めの部屋に展開していた小型ドローンがいくつか集結し、あっという間にお子様サイズのヒトガタとなった。
ドローンが変形するなんて聞いてないんですが…。
ちなみに変型後も隠蔽魔導が働いているらしく、僕たちには見えるが現場では空気の揺らぎ程度にしか感知されないようで。
ヒトガタは魔導金庫を開くと中に収められていた取引台帳を引っ張り出し、超高速でスキャンしはじめた。
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判明しただけでも30か所以上の商会が傘下に収められていると思われ、それぞれの奴隷の移動経歴も詳細に残されていた。
おそらくは何か所もの商会を移動させることで足をつきにくくする目的があったと思われるが、まさか元帳を見られるとは予想もしていなかっただろう。
システムで言えばrootを取ったも同然で、末端にある移動記録と照合すれば何処で攫われて、どこに売り飛ばされたのかが一目瞭然になると思われる。
捜索範囲が広がったのでアヒルちゃん部隊を編成し、今夜の夜襲?に備えることに。




