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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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荷物のピックアップを行う冒険者の監視と勇者

「勇者さま!先程荷物を置いた場所に誰か来ました!」


待つこと半ニール、1時間ほど。


人が近づかないはずの袋小路に二人組が現れた。


「マリス、あれかしら?」


「多分そうだ。依頼書にある絵と同じものに見える」


男女の二人組が背嚢の傍までやってきて依頼書と思われる紙と背嚢を見比べている。


マリスと呼ばれた男がしゃがみこんで背嚢のベルトに肩を通し、危なげなく持ち上げた。


「ルーチェ、道中の魔獣は任せた。思ったよりも荷が重い」


「大丈夫よ。初心者迷宮の魔獣くらいならなんとかなるわ」


二人は軽口をたたきながら元来た道を引き返していく。


中身が生ものだなんて絶対気付いていないよな。


冒険者へ依頼される荷運びは荷の中身を見てはならないと依頼書に但し書きがされており、この二人もみだりに荷を解いて確認しようとはしなかった。


几帳面ゆえに今回のような違法借金奴隷の運搬などという犯罪行為に加担させられているのだが。


二人にはドローンをつけ、迷宮内の定点カメラも合わせて追跡を行う。


幸い、出口方向には新たな魔獣の反応は見られない。


例の黒い魔獣はあれから見かけることもなく、散発的なトラブルだったと思うのだがどこから湧いたのか調べない事には再発するかもしれないし。


---


「荷物」を担いだ二人はそのまま迷宮を抜けて冒険者ギルドの出張所へと顔を出し、出坑手続きをして王都行の辻馬車を拾った。


ここから30分ほどは王都に向かう馬車に揺られるだけとなり、その間に冒険者ギルド長を迎えに行こうと思う。


まぁ、様子を見ようと思えばどこからでも確認が出来ますし、有事の際はバラの騎士団に出動してもらえるよう要請済みなので。


「姫さま、冒険者ギルド長を迎えに行ってきます。護衛はいつもの通りで」


「勇者さまお気をつけて!わたくしは引き続きあの二人組の様子を見ております」


何か起るたびに監視対象が増えていき、今回の件で見張っている場所は10か所ほどとなっている。


別件で見るべき映像もあってそろそろ大型モニタ1台では厳しくなってきたな…。


リビングにもう2枚くらい大型モニタを出して案件ごとに見張れるよう環境を整えますか。


今夜にでも着手することにして、まずはお迎えの算段を。


確認したところ冒険者ギルド長お一人が戻られるという話だったのでアヒルちゃんワンボックスを足に選んだ。


ワンボックスが万能すぎて赤竜王の出番が全く無いんですよね。


本人はちょっと運動不足っぽいので日を改めて魔獣探索にでも行こうと思っていますが。


元々が対大型魔獣用の決戦兵器なのでそう何度も出番があったら大変と言いますか。


そういえば人型兵器もだいぶ数が増えた気がする。


一番の目玉は70m級だろうか。


あれもあまり出番があっては困るのですが。


人型形態しか使用していないので双子からはタンクモードも試してほしいと言われてますがいつ使うんだろうという感じで。


両腕がドリルになっているロマン兵器らしいですが…殺意の塊としか思えません。


サイズで言えばタングラートに出現した100mのロックワーム、脅威度で言えば例のオケラが最大ではなかろうか。


あれらを超える魔獣はもう出ないだろうと十六夜さんが言うのだが…。特にオケラに関しては全星海の敵であり、あんなものが何体も存在したら星海そのものが危険という。


「サブロー、通り過ぎるにゃ」


「ああ、もう着いたんですね」


児童(・・)運転にしてちょっと考え事をしていたらいつのまにか大森林の野営地上空だった。


---


「全く情けない…ギルドの規定を見直しても阻止は難しいだろう…」


大森林からの帰りの車中、助手席に座った冒険者ギルド長がうんうんと唸っている。


まさかギルドに違法借金奴隷の搬送依頼がされるとは思ってもみなかったと。


「あまり考えたくは無いが違法な物品を運ばされていると考えるのが妥当か」


運ぶのは人ばかりではない。荷物ですと言い張れば何でも運ばされてしまうだろう。


「依頼主の身元は身分証で追えるというのに何故こんな馬鹿なことを」とギルド長が嘆く。


冒険者ギルドへの依頼は冒険者ギルド証、あるいは商業ギルド証が必須となる。


悪事に加担すれば身元がバレるというのに何故そんな危険を冒してまで冒険者ギルドを使うのか。


「おそらくですが中身を見た冒険者が報告をしないだろうとタカをくくっていたのでは?」


冒険者には守秘義務が発生し、たとえ荷の中身が法に触れるものであっても中を覗いてはならないという決まりがある以上、気が付いても報告が出来ないと依頼主は考えたのかもしれない。


まぁ、第三者である僕がミドリが入った背嚢を拾って中を改めるというイレギュラーまでは想定してなかったと思われるが。


「勇者殿、このあと時間をもらえぬか?早急に対策を…商業ギルド長にも来てもらって拠点の捜索方法を詰めたい」


「分かりました。話が大きくなりそうなのでオパール王妃もお呼びしますか?」


「であればこちらから出向くとしよう」


「分かりました。多分日の出荘で執務をしていらっしゃると思いますのでそちらへ…前振りだけ入れておきますか。商業ギルドへは直接顔を出しましょう」


日中の執務は日の出荘というのがすっかり通常となっている。


時々タマヨさまがいらして次元の窓越しにお話をされるとか。国の頂点を預かる者同士、なにかしらシンパシーのようなものを感じるのかもしれないですが。


先程迷宮から出た二人組はまだ配達の途中のようで王都の中心区付近に反応があった。

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